お似合い。
「ほっとー、オイ着いたぞ。」
何事もなかったかのようにスッと私を降す
「オイ着いたぞ。じゃないよ、 阿呆なの頭わいてんの?」
「失礼だな!?」
私の言葉に目を見開いて
ありえんという顔をする綾瀬さん。
私は当然のことを言ったまでだ。
「マジありえないんですけど、
花の女子高生を普通断りもせず
お姫様抱っこしますかッ?」
「お前がチンタラして調子悪そうにしてたからだろ。
俺は悪くない。」
「ッ〜‼︎」
綾瀬さんの言ってることが
あながち間違ってはいないため押し黙る。
「ナーンー。」
ちぃーが急かすように鳴く、
早く帰ろうと言われてるのだろう。
*
「あっ凛ちゃんおかえりなさいっ
あらっ?ふふっお隣は彼氏さんかしらっ?」
二人と一匹揃って帰ると
久子さんが口に手を当てていたずらな笑みで言った。
「違います!」
顔に血が昇るのを感じながら否定する。
「あらあら〜お似合いね〜うふふっ」
「何言ってんですか、ヤですよこんなガキ。」
気だるそうに頭を掻く綾瀬さん。
「ハァ〜ッ?
ガキじゃないんだけどッ
私だってもう17になってんだからッ‼︎」
「じゃあもう結婚できるわね〜」
手を合わせうふふっと可愛らしく言う久子さん
いや久子さんそこじゃないです。という気持ちを抑える。
「17なんてまだまだガキなんだよ
R18の官能小説書いて
お前が見れないようにしてやろうかっあ”ぁッ?」
「何それおっとなげなぁ‼︎」
「んー?お前もう大人なんだろ〜?
ならいいじゃねーのー?」
「ムッカー‼︎」
ニヤニヤと煽るように言う綾瀬さんに
ついついのせられてしまった。
*
「どう?むこうでは」
電話越しの母が尋ねる。
「まぁまぁだよ、特に変わったことは、_」
ふと、綾瀬さんのことを思い出し首を振る。
「 .....な、ないし。」
明らかに何か隠しているのは母にはきっと分かるだろう。
だかあえて聞かない母。
「そうっ、じゃあ私は仕事あるからしっかりしなさいねっ」
「はーい。」
電話をプツリと切る。
此処に来て数日、ある意味いろいろあって、
気づいたと思う。
今日会った綾瀬さんのこともそうだけど、
その綾瀬さんが言ってた
普通の人には見えないもの。
それが何となくわかった気がした。
きっと、あの空を見た時の一瞬通ったもの。
小さい頃此処に泊まった時見たもの。
きっとあれがそうだ、
我が家にいた時もはっきり言って自分は皆とどこか違くて、
普通の人には見えないものが見えていた気がする。
大きな出来事を言ったら小学校低学年の時に見た。
今は亡き父は私を庇って死んだ、あの黒くて大きいバケモノは父を食らったのだ。
私と父にしかきっと見えていなかった。
父は逃げろと言った、私は状況が理解できず押し黙ってた。
警察が来て取り調べを受けて、素直にバケモノのことを話したが私が子供だったら大人がバケモノに見えたんだろうと話しを信じてくれなかった。
結局、殺人犯による残虐な殺人事件とされた。
だけど、きっとあれは私の所為だ、バケモノがいなければ父は死ななかったけど、私が黙ってたから父は自分も逃げることもせず死んだんだ、父を殺したのは私だ。
*