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風鈴の音。  作者: 椎羅儀 経
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金眼。

朝食を食べに皆で食堂へ行くと久子さんに新聞を取ってきてくれないかと頼まれ、

皆の分も朝食作ってくれているしと思い、素直に受け

寝起きでボーとしながら廊下を歩く。


「アンバーッ!

おはようござイマスッジャパニーズ金眼初めて見まシタッ!

アッシュブラウンの髪ともよく似合ってマスッ」


たどたどしい日本語で目の前から走り寄ってきたのは

ライヤちゃんの母、正確にはライヤちゃんを拾った人、

名前は確か、リサさんだった気がする。


「お、おはようございます。

ははっ、これって金眼って言うんだ、

髪も一応天然なんですよこれ。」


父譲りの髪と目の色。

前久子さんが言った通り、父と私は写し鏡のようによく似ていた、

誰が見ても親子だとすぐわかったくらいだ。


父が死してまもない頃はよくあの強い母は

私が父と同じようなことをするとよく泣いていた。


「私の国では琥珀色のことをアンバーって言うんデスヨッ

でもこんな綺麗な金眼初めて見まシタッ

正にWolf eyes!

べっこう飴みたいで綺麗デスヨッ

髪も天然なんデスネッではアッシュブロンドのほうが正しいのでショウカ?」


「どうなんでしょうかー、はははー...、」



恐ろしく元気な母だ、いや、外国人はこんなものなのか、

でも分かることはライヤちゃんは相当落ち着いたお婆さん少女というこだ。


*


現在綾瀬さんに写真スポットを案内してもらっているわけだが、


「なぁ、本当に行くのか?」


「偶には自然に触れるのもいいっしょっ!ということになりまして」


普通に慣れた様子で会話する綾瀬さんと煇。



「ぁあ”ッ虫虫ッあっち行けッ!!」


「...何がダメなのか分からない...。」


いつもの調子で会話する幼馴染共。



今の状況は端から見たら勘違いするであろうと私でも分かる。


銀は昔からどうしてか虫が苦手で片手ずつ、

ポチのリードを持つ優里と、ちぃーの後ろ足を踏まないよう気をつける

私にしがみ付き、私は私で綾瀬さんにお前は転びそうだからと言われ

綾瀬さんのシャツを掴んでるという、

端から見たらなんか訳わからん状況なのだ。



「宮野先輩ってたらしっすか?」


「ゴラッ口を慎めガキンチョッ!」


ほら、後ろで玲央くんと愛華が小声で言うとる。


私が聞きたい。





女子だったらラッキーハプニングだった状況を切り抜けた

私、凛火は今とても感動していた。



「...り、リアルファンタジーやぁー...。」


森を抜けると小鳥達が美しく鳴きコバルトブルーの小さな池がいくつもある広い草原に出た。


いつもの鳥居の所よりずっと美しく儚い感じ、

多分雑誌とかに応募したらCGと疑われ即落選されるレベルだ。


「優里ーポチ放して良いよー...」


「...おう。」


茶トラと黒の長毛猫の2匹が駆け回っている。

ポチは見た目猫っていうか、コーギーぽいけど。



「おー、おじさんやるじゃーん。」


「マジでこんなとこあるんだなおじさんっ。」


「今目の前にあるからだろ。...お兄さんな。」



私が幼馴染と感動している隣で双子に鋭くつっこむ綾瀬さんに哀れみを感じた。


あぁ、私達が20の頃には綾瀬さんは三十路なんだと。


せめてお嫁さん見つけてあげよう。








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