お見舞い。
「所でご用件は何かな?見ての通り今日はこんなだけど出来ることなら答えるよ。」
部屋に通されリビングらしき所で改めて聞かれる。
「用っていうか、おばさんが真紀斗さん調子悪いって言ってたからお見舞いに来たんですよ。」
私の言葉にだから住所知ってたんだねっ、斗納得する真紀斗さん。
「そっか、わざわざありがとねっ。
そういえばイナリ君は、来てないね...。」
少し寂しそうに言う真紀斗さん。
「はい、図書館行ったりしたんですけど見当たらなくって。」
なんか申し訳なくなる。
「いや、良いんだよっ、僕は凛火ちゃん達が来てくれただけで嬉しいからっ。」
そう微笑んでくれた真紀斗さんにジーンと来る。
「ヴゥ...。」
「あっ、ホントですか?
朗報ですよっ翡翠がイナリ君呼んで来てやるって言ってます!」
ニッコリと笑って言う由馬佐さんに分かりやすくパァーっと表情が明るくなった真紀斗さん。
「ホントっ!?」
「嘘言ってどうするんですか、
多分すぐ来ると思いますよっ。」
由馬佐さんがお願いしますと言い、翡翠がシュッと姿を消す。
「わ、なんかすごい。」
「なんかすごい。」
私と真紀斗さんがハモっている間に玄関の方から
ピンポーンと音が鳴った。
「あっ、真紀斗さんは休んでてください、
私出ますからっ。」
「うん、お願いねっ。」
玄関へ向かいドアを開ける。
「っ...。」
そこには予想通り、
照れ臭そうに目を逸らして立っているイナリがいた。
「よ、よう。」
「どうもっ、ほらっ真紀斗さんがお待ちですよっ。」
私の言葉にそわそわするイナリの背中を押して真紀斗さんの元へ向かった。
*
「ほ、ホモいんだけど。」
「別にそう言うつもりは無いでしょうけどね〜。」
さっきイナリの姿を見た瞬間飛びついた真紀斗さんは
あれからかなり経つけどイナリにデレデレべたべたしていた。
熱のせいか理性のストッパーが外れているのだろうか。
「別に偏見はしないけど私は許しませんよ。」
「え、お母さん?」
そんな茶番のようなことをしていると、
私のスマホが鳴った。
「あれ?...」
急いで画面を見ると綾瀬さんからの電話だった。
いきなり電話なんてどうしたんだろと
通話開始ボタンを押しスマホを耳に当てる。
「もしもし綾瀬さんどうし_」
「ハッブシュンッ!!!!」
何だろうか、
何か前にもこんなことがあった気がしてならないと感情が
スゥーっと冷め一旦冷静になる。
「...。」
「あ、凛火、ズビッ、いや実は言い難いんだが、ハックションッ!!!
......また、犬拾っちまっ_」
「こんっのッアホタレッ!!!
あんだけ犬拾ってくるなって言っただろうがッ
清の頭には何入ってんだよッこのバカ清ッ!!!!」
「口悪ッ!?...そこまで言わなくていいだろー、
捨てられてるの見ちゃったらほっとけねーよ。
てゆうか、下の名前呼び捨て.....。」
バカな大人に子供らしくまぁ台詞は子供ではないが気持ちのままに
感情を打つけると困惑したような弱々しい返事が返ってきた。
「なんでもいいから仕事家で待っててくださいねッ!!!!!」
「あっ、でも来てくれるん_」
何か言っていた気がするが強制的に終了ボタンを押した。
「清...。」
真紀斗さんが少しビックリしたような顔をし呟く。
「どうかしましたか?」
「何でもないよっ、気にしないで。」