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風鈴の音。  作者: 椎羅儀 経
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退屈。

「退屈だなぁー...。」



現在昼の二時くらい、母は早朝に我が家に帰った。


今日から夏休みの間はずっと久子さん夫婦と一緒に過ごす。


母は多分、次に会うのは家に帰る時だろう。


「ヒィー...。」


私に腕枕をしてもらっているちぃーがつまらなそうな声を出す。


ここは確かにつまらない。

部屋でゴロゴロするか、ちぃーを室内に入れることを許してもらった図書館、


それか、


「森...行くか。」





*



久子さんに散歩に行くとだけ伝え、

財布とスマホと水の入ったペットボトルと、

趣味で写真を撮るための一眼レフカメラだけ入った斜め掛けリュックを肩に掛け

ただひたすら続いてる田んぼ道を進む。


真っ黒い体のちぃーが一歩後ろを歩き太陽の熱を吸収しすぎている。

歩きながらリュックを後ろから前にずらしチャックを開け

水の入ったペットボトルを出す。


「ちぃー、飲んでいいよー」


しゃがみペットボトルの中の水を少しずつ自分の掌に流すと、


「ハァーン...」


まるでお礼を言ってるかのように鳴き、

掌に落とされる水を飲んでいくちぃー。


「今日は暑いなぁ...夏まだ始まったばかりな気がしてたんだけどなぁー...。」


私は生まれつき色素が薄い。

そのため太陽が人より眩しく感じるから目を細めながら空を見上げた。


「鳥になりてぇ...。」


青空を自由に飛ぶ鳥達を見て呟く。


いつの間にか水を飲むのを止めていたちぃーも

目を丸くしながら鳥を見上げていた。


「ん...?」


今一瞬、何かが横切ったように見えたような気がした。

多分気のせいだろう。


「さてとっ。」


残り半分ほど水の入ったペットボトルをリュックにしまいまたちぃーと歩き出す。


「おぉーおー、お譲ちゃんが内藤さんの家にお世話になっとる子かーっ」


「...?」


お爺さんらしき声に振り返ると、

そこには麦藁帽子を被った明らかに農業をしてますという雰囲気の

七、八十歳くらいのお爺さんがにこにこしながら立っていた。

ちなみに内藤とは久子さん夫婦の苗字だ。


「あっ、はいっ」


「ハッハッ!噂に聞いてたとおり随分とベッピンさんだなぁっ」


どうやら私は噂をされていたらしい。


「あははっ、ありがとうございますっ、でっ、ではっ」


ちぃーを連れ駆け足でお爺さんの前から立ち去る。

あぁいうお爺さんは大体話が長くなるから苦手だ、

話を切って立ち去るのが一番いい。


*



「あ、...。」


しばらく歩き田んぼ道を抜ける。


すると竹林が見え、人二人通れるくらいの小道を見つけた。


「ナーンーっ」


「あっ、ちょっ、ちぃーっ!」


ちぃーが小道へ走っていく。


「んーっ、もうっ」


仕方なくちぃーの後を追い小道に入っていく。


竹の葉の隙間から日の光がいい感じに入り、

葉の擦れるサワサワとした音が響いている。


「マイナスイオンとか凄そうだなぁ...。

...んっ?」


周りをキョロキョロと見ていると道の先に鳥居が見えた。


「え、何でこんなとこに鳥居が?神社とか、無い...よね?」


周りをまた見渡すも全然そんなものは見えなかった。


一眼レフのカメラを取り出し

鳥居と鳥居の前に座るちぃーを写しパシャッと撮る。



「ウナンっ」


ちぃーが鳥居の前に座り待っている。


「分かったよ、今行く。」


*



















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