女の子。
今日はいつもの如く図書館に行こうと思っていたが
生憎、真紀斗さんが体調不良のため閉館だった。
部屋でつまらなそうにしていた私を見て
綾瀬さんが気を利かせて森へ連れ出してくれた。
ちなみに子犬達とちぃーはお留守番だ。
「北海道にある、青い池って知ってるか?」
数歩先を歩いている綾瀬さんが私に尋ねる。
「写真でなら見たことありますよっ?」
北海道にある青い池。
透明度が高く、一度見たら忘れられないスカイブルーなんて呼ばれている
わりと有名な池である。
「あそこによく似た湖があるんだ。
鳥居と同じでそうゆう類の人しか見れない俺しか知らない場所、
お前に特別に見せてやる。」
そうどこか嬉しそうに微笑む綾瀬さん。
「特別だからなぁー、誰にも言うんじゃねぇーぞっ。」
「小学生じゃあるまいし言いませんよっ、
それにっどっちにしろ私たちにしか見えないでしょうがっ。」
「あーそれもそうだなぁ。」
そんなくだらないことを言っている間に目的地に着いたようで、
目線の先にはスカイブルーと新緑が広がっていた。
「うわぁ...すごい。」
「もっと子供らしい反応できないのかよ。」
感動の余りただ呆然と立ち尽くすことしかできない。
数歩進み湖を覗き見ると、
まるで魚が空中を飛んでいるかのように泳いでいた。
「オイ、凛火あれ、」
「何ですかー。」
綾瀬さんが指さす先には外国人の女の子が一人湖を覗き込んでいた。
「あ、あの子、
今旅館に泊まってる外国人夫婦の娘さんのライアちゃんですよね...?
なんでこんなところに...。」
迷ったにしては不自然で落ち着きすぎていて、
まるでそこに引き寄せられてきたかのようだ。
「まっ、ライアちゃ__」
そこまで叫んだ時だった、
ライアちゃんはまるでプールに飛び込むかのように湖に飛び込んだ。
「ライアちゃんッ!!」
「凛火行くぞッ!」
綾瀬さんと二人走りライアちゃんが飛び込んだ地点まで行く。
「マズいッ、此処深さ数メートルあるぞッ...、」
「えっ...、」
湖を覗き込み透き通った水の中にいるライアちゃんを探す。
「ッ...!」
ライアちゃんはいた。
だがその姿はさっきとは異なり、
肌に所々魚のような鱗を持ち、手足の先は青に近い水色に変色し、
指と指の間には水掻きのようなものが付いていた。
「綾瀬さん...マリアちゃんは人じゃないっ...。」
*