男の人。
このサイトでは初投稿ですが楽しんでいってもらえると嬉しいです。
風の音。__
青い空白い雲。__
青々とした葉の擦れる音。__
そして、貴方と聞く__
風鈴の音が__
____大好きでした。
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「__それじゃあっ夏休みの間よろしくねっ」
「オッケーよっ姉さんっ
凛ちゃんよろしくねっ」
「あっ、はいっ、よろしくお願いします。」
私、宮野 凛火は母子家庭であり母の仕事が忙しくなるということから
亡き父の妹、久子さんの夫が経営している旅館に預けられることになった。
「それにしても凛ちゃん、随分と大きくなったわね~
前に会ったのは...中学生くらいだったかしら?」
「多分っ。」
此処はドが付くほどの田舎なことがあり
なかなか会えないので久子さんとは何年振りかの再会であった。
「そんなことはおいといて!ほらっ凛は荷物置きに行ってらっしゃいっ」
「はーい。
ちぃー、行くよー」
「ナァーン」
普段から騒がしい母に急かされ。此処に連れてくることを許された
愛猫シトリー通称ちぃーを後に連れ縁側を通ると、
中庭を通した反対側の縁側に
薄く無精髭が生えたおじさんとお兄さんの瀬戸際くらいの少し長い癖毛の男の人が
ガラス障子にもたれかかり座っていた。
男の人はこちらに気づくと大人の雰囲気を漂わせ薄く微笑んだ。
よく見ると少し隈があって、左右で目の色が違った気がした。
「ッ...!」
思わずその大人な色気のある微笑みに見惚れていたため
急いで軽い会釈し
階段を上がり二階の一番奥の部屋に行く。
*
「わ、懐かし。」
この部屋は昔まだよくここに来ていたころ家族で泊まってた部屋だ。
「あの頃はお父さんまだいたよなー...」
家族三人で過ごしていた日々を思い出し胸がツキリと痛くなった。
「ウナーン。」
ちぃーが私の顔を見上げ鳴く。
「分ったよ、早くお散歩行こうねっ」
荷物出して軽くまとめる。
「さっ、行こうかっ」
「ナーンっ」
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「いただきまーすっ」
「いただきますっ」
「どうぞっどうぞー」
あの後散歩に行くためまたあの中庭の所を通ったが
さっきまでいた男の人は元から居なかったかのように姿を消していた。
「あっ、凛ちゃんさっき外行ってたでしょっ?」
久子さんがお茶を置きながら思い出したかのように聞く
「はい自然いっぱいでした」
笑いながら言うと、やっぱそうよねぇ~。と自分の顎に手を当てた。
「自然が多すぎて都会っ子の凛ちゃんには退屈過ぎるかしらっ?」
「そんなことないですよっ、小さいけど図書館とかもあったし
繋がりにくいけどスマホもありますからっ」
「そうっ!ならよかったわっ」
「あっ。」
「何かしら?」
「いえ、なんでも。」
「...?」
今一瞬、久子さんにあの男の人の事を聞こうと思ったが
男の人の事を聞くなんて不自然だと思い聞くのをやめた。
その後お客さんも少なかったことから
久子さんの夫、友遊佐さんも来て和気藹々と食卓を囲んだ。
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