13
目を覚ました赤ずきんはひとり、見覚えのない部屋にいました。
「ここは…?」
沢山の物が並んでいましたが、整頓されていて、散らかっている印象はありません。
「起きたか」
「レオ?」
「だから違うって。
あいつはもう、お前の傍に居ない
オレの名前はレン 一応レオの、双子の兄になるな」
扉が開いて入ってきたのは、赤ずきんが想う色ではなかったけれど
それは確かに柑子色でした。
「居ない?どうして?
…私、レオのこと傷つけた……一瞬彼が、恐ろしく見えた
ずっと、何かを隠してるって気づいてた。言いたくないのなら、聞けなくたっていいって思ってたけど その結果が、こんなことなら―――
こうなるって分かってたなら。出会わなければ、よかった…!」
赤ずきんの瞳からひとすじ涙がこぼれ落ちた。
「そんなこと言ってやるな これ、あいつから」
「え…」
手渡されたのは一輪の花でした。橙色の、花。
゛トワ゛
名前を呼ぶ、優しい声が聞こえた気がしました。
「レオ…ごめんなさい 私、貴方のこと」
花を抱きしめて泣く赤ずきんに、狩人は問いかけました。
「なぁ お前これからどうする?」
「これから?」
「村はもう無い。レオはもう傍に居ない
オマエはこれから、何処で生きる?」
「レオがここに居ないのは私の、せい?」
「違うな。あいつは自分の意思で消えた」
「どうして!」
「"トワを傷つけたくないから"
そう言ってた。あいつと会わなきゃ、狼に襲われることも無かったからな
行く先が無いならオレと来いよ、トワ
…それが、約束なんだ」
血を分けた兄弟だからでしょうか。彼の声は少年と余りにも似ていて、赤ずきんに橙色を想わせました。
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誰一人居ない廃村を、二つの影が歩いています。
頭上には、橙がかった満月が輝いていました。




