09
「……、」
2人の間に気まずい空気が流れます。
「ねぇレオ、教えてくれる?
貴方は、"なに"?さっきのは誰なの?」
橙の彼はいつの間にか少年の姿に戻っていました。
その姿は、狩人を名乗った人物と瓜二つ。
2人の関係を想像するのは難しいことではありません。
真っ直ぐな赤ずきんの目を見つめて、少年はゆっくりと話し出しました。
「…今更黙っている訳にもいかないよね
俺は人狼の一族の末裔なんだ
さっきのは俺の双子の兄さん
少しずつ狼の血は薄くなっているんだけど、俺は先祖返りで能力が強いんだ……
反対に兄さんは人の血が濃い為に狼に成れなくて、群れから追い出されたんだ
昔は、よく一緒に走り回ってたんだけどな…
いつの間にあんな物《銃》使うようになったんだろ」
兄である狩人の話をする少年は、何処か遠い目をしていました。
まるで、走り回った過去の日を見つめているかのように。
「貴方のお兄さんなの!?それなら、どうして銃なんて向けるのよ!」
「兄さんは恨んでるんだ
群れのこと、当時の長である俺達の父さんのこと……
そして一番に、俺のことを」
「そんな……」
赤ずきんは言葉を失い、少年は彼女を諭すように言いました。
「君はここに居ちゃいけない
俺じゃ、君を守りきれないんだ…君を傷つけたく、ないから」
「嫌よ!私は、貴方と一緒に居たいの!どうして、なんでそんなこと言うのよ……」
赤ずきんは少年にしがみつきました。
目の前にいる彼が、消えてしまうように感じたのです。
小さく震える彼女を抱きしめて、少年は言いました。
「今、俺達の群れは凄く血が薄いんだ
だから人間と交わることを良しとしない
……トワ、君が狙われるかもしれないんだ
」
だからしばらく、ここに来るな。
少年はそう言ったのです。
「"しばらく"って、どのくらい?絶対、また会える?」
「なるべく早く。群の問題を片付けたら、必ず迎えに行くよ」
「約束よ?」
「うん、約束だ。」
そう誓って赤ずきんは森を後にしました。




