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カスタムソルジャー  作者: バームクーヘン
第1章 槍騎士覚醒
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第5話 星の導き

「スターブーストを、使える・・・?」


アムは耳を疑った。

ラフレは髪を掻き上げた。


「ええ、とうとう身につけましたわ・・・それでも、私と戦うのかしら?」


ラフレが尋ねると、ヤマトはサンソルジャーを取り出した。



「なるほど、それが答えですね」


「はい」


Gキューブを起動させ、二人は自分のロボを戦場に向かわせる。


「サンソルジャー!」

「ミス・プリンセス!」


二人のロボがGキューブの中のステージ、湖ジオラマに降り立つ。

中央に大きな湖があり、その周りに芝生が茂っているステージだ。


ラフレの機体、ミス・プリンセスは紫色のボディにフリルの様なスカートを付けた女性型のロボだ。



「あんな機体、見たこと無いや」


「ワンオフ機だろうな。あいつだけの特別な機体だ」


驚くカジオにゴン太郎が解説する。



「行きますわよ!」


ラフレが攻撃を始める。

ミス・プリンセスは武器の鞭を振るう。


サンソルジャーは鞭をステップで避けていく。

しかし、鞭がサンソルジャーの槍を捉える。

鞭に巻き付かれ、サンソルジャーは動けない。


「サンソルジャー!」


ヤマトの操作で、サンソルジャーが槍を思いっ切り後ろに引く。

すると、ミス・プリンセスは引っ張られてサンソルジャーの元に飛んでいく。


「よーし、行けぇ!」


カジオが応援する。



サンソルジャーの突き出した槍をミス・プリンセスはなんとか空中でかわし、地面に着地する。


「そこだ!」


サンソルジャーは振り向き様に槍を振るい、ミス・プリンセスを切り付ける。

もう一度切り付け、槍を突き出す。


ミス・プリンセスは飛ばされて地面を転がる。

ラフレは軽く拍手をする。


「中々やりますわね・・・でも、これまでです!」


次の瞬間、ミス・プリンセスの体が紫色に輝き始めた。


「こ、これがスターブースト!?」


カジオは初めて見る現象に驚き、ゴン太郎も同様だった。


アムは不審な顔つきで首を傾げる。



「さあ、行きますわよ!」


ミス・プリンセスは再び鞭を振るう。

サンソルジャーは盾で防ごうとするが衝撃を堪え切れず、三回目の攻撃でバランスを崩して転倒する。


「隙有りですわ!」


体勢の崩れたサンソルジャーの体に鞭が巻き付く。

ヤマトは脱出させようとするが、盾と槍も一緒に縛られているため動けない。


ミス・プリンセスは、サンソルジャーを地面に何度も何度も叩き付ける。


「このままじゃマズイな・・・」


「ヤマト、頑張れ!」


カジオが応援すると、ラフレは余裕の笑みを浮かべる。



「無駄です。私の勝利は揺るぎません」


「僕は・・・勝ちます」


ヤマトはこの危機を抜け出そうと集中する。

そして、逆転のチャンスが訪れた。


サンソルジャーがもがいていると、槍がズレた。

その瞬間、鞭と腕の間に僅かな隙間が出来た。


サンソルジャーは右腕を鞭から出し、槍を手にする。

そして、鞭を切り裂いて自由になる。



「おお!」


「ヤッター!」


ゴン太郎とカジオはサンソルジャーの脱出に喜ぶ。

ラフレは唇を噛む。


「なら、これはどうですの!?」



スペリオルアクション《クイーンウィップ》


ミス・プリンセスの鞭に薔薇の花びらが集まる。

紅色に輝く鞭が、サンソルジャーに襲い掛かる。


「もう、当たりません!」


サンソルジャーは鞭をかわし、湖に飛び込んだ。


「えええ!?」


カジオはヤマトの大胆な作戦に驚く。

ゴン太郎とアムも唖然とする。


「ええいちょこざいな!」


ミス・プリンセスは湖に向かって鞭を叩き付ける。

しかし、何回叩いてもサンソルジャーに当たった様子がない。



(落ち着きなさい・・・彼は必ず水の中から奇襲してくるはず)


ミス・プリンセスは身構えて湖を監視する。

ラフレは緊張で息を飲む。


次の瞬間、何かが湖の中から飛び出した。


「かかりましたね!」


ミス・プリンセスはすぐさま鞭を振るう。その鞭は飛んできた物を締め付ける。


「これで貴方の武器は・・・」


ラフレは勝利を確信し、同時に気が付いた。

奪い取った物が槍ではなく、盾だということに。



「今だ!」


ヤマトはすぐにPCDを操作する。

湖の中から今度こそ槍が飛び出し、ミス・プリンセスの左肩を傷付けて弾き上がる。


サンソルジャーは湖から飛び出し、槍をキャッチする。


「中々やりますわね・・・・・しかし、盾を失ったのは愚策でしたね!」


ラフレはサンソルジャーの盾ごと湖に鞭を投げ捨てる。

すると腰にぶら下げていたドリルナックルを右手で掴む。


拳と同じ大きさのドリルが回転し、ギュルルルと音を立てる。



「これでおしまいですわ!」


ミス・プリンセスはサンソルジャーに真っ直ぐ突っ込む。

サンソルジャーは槍を握り直し、迎え撃つ。


「勝つんだ・・・サンソルジャー」


ヤマトの声に反応し、サンソルジャーの瞳が一瞬光る。


ドリルナックルがサンソルジャーに襲い掛かる・・・・・直前で、サンソルジャーは槍を突き出す。

ドリルの回転を殺さないようにしながら、ミス・プリンセスを後ろに受け流し飛ばした。



「なんですって!?」


ラフレは驚愕する。

ミス・プリンセスはそのまま湖に落ちる。


「今だ、スペリオルアクション!」


スペリオルアクション《ストームスピア》


サンソルジャーは湖で溺れるミス・プリンセスにストームスピアを繰り出す。

青いエネルギーランスが直撃し、大きな水しぶきが上がる。


「み、ミス・プリンセス!」


ラフレは思わず叫んだ。

ミス・プリンセスは水面に当たりながら吹き飛ばされ、陸にぶつかって上空に飛び上がる。

そのまま地面に倒れ、体から光を弾き飛ばす。


ダウンフェイズ。

ミス・プリンセスの負けが決まった。



「や、やった!ヤマトが勝った!!」


カジオが大声で喜ぶと、周りの観衆も盛り上がった。

ゴン太郎も満足げに頷く。


「やったなヤマト!凄いよ、スターブースト相手に勝つなんて」


「う、うん。ありがとう」


ヤマトは周りの注目を集めていることに気がつき、緊張と恥ずかしさで縮こまる。



ヤマトの元へ、ラフレが歩み寄る。


「お見事ですわ。まさか私のスターブーストを打ち破・・・」


「あのー、邪魔して悪いけど」


アムが横槍を入れて会話を中断させる。

ラフレは機嫌を悪くする。


「何ですの。私は今ヤマトさんと・・・」


「さっきの貴女の技・・・スターブーストじゃないでしょ」


ラフレはギクリと固まる。

そして、明らかに挙動不審になる。


「な、な、な、ななな何ーを言って」


「さっきの、単にミス・プリンセスのスキルでしょ?」


アムは簡潔に結論を述べる。

カジオはアムに尋ねた。


「スキルって、一部のロボにあるあの・・・足がキャタピラになったり、スピードやパワーを上げたりするあの?」


カジオの問いに、アムは頷いて答える。

ゴン太郎は感心して尋ねる。


「どうして分かったんだ?あれがスターブーストじゃなくて、スキルだと」


「だって私、スターブースト使えるもの」



「えええええええええええ!!!」


その場にいた全員が驚く。

ヤマトもそんなことは知らなかった。が、あることを思い出して合点がいった。


「でもそうだよね。だって、アムはキリュウさんの妹だし・・・」


「じゃあヤマト、久しぶりに会ってみる?お兄ちゃんに」






これらの様子を、黒いパーカーを被った少女が開場の入口で観察していた。


「・・・・・」


少女はヤマトをジッと眺めていたが、やがてその場を去った。

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