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カスタムソルジャー  作者: バームクーヘン
第3章 雷帝降臨
24/25

最終話 君が抱きしめているのは…

翼ヤマト CV.代永翼

アスカ・テロメア CV.井上麻里奈

エクレール・テロメア CV.久川綾

キリュウ CV.福山潤

カジオ CV.阪口大助

アム CV.遠藤綾

ゴン太郎 CV.伊藤健太郎

ハイバラ CV.井上和彦

ピタ CV.花澤香菜

ラス CV.櫻井孝宏

ジェネ CV.増岡弘

ブラスター・ウイング CV.佐藤拓也

会場は落ち着かぬ様子だった。

いよいよチャンピオン戦が始まるのだ。

ヤマトが途中で負けていればチャンピオン戦は行われなかったということもあり、期待も今まで以上だ。

夜遅くなのに多くの人で賑わっている。


「な、何かいよいよ緊張してきた」


カジオがそわそわしながら息を呑む。

ゴン太郎も緊張でガチガチになっていた。


「このファイトに勝てば、ついにヤマトが世界チャンピオンか」


「……それだけじゃないわ。このファイトには、カスタムソルジャーの未来が懸かっている」


アスカがそう告げると、いきなり後ろの扉が開いた。



「お邪魔しまーす」


入って来たのはジェネだった。

その後に続いて、ピタ達がぞろぞろとやって来る。


「お、お前ら何をしに!?」


マルゴイが警戒して構える。

チェールもエクレール一派である彼らの登場に顔をしかめる。


ジェネはそれらを見ると吹き出した。


「そんな警戒しないでよ。もうここまで来るとどっち側とか関係無いでしょ」


「………まぁいいけど」


アスカが承諾するとジェネは飄々とキリュウの隣のソファーに座った。





『では皆様、長らくお待たせ致しました!今からカスタムソルジャーの頂点の座を争う二人にご登場してもらいましょう!』


会場のスポットライトが選手入場口を照らし出し、そこから人影が現れた。



『まずは無敵の皇帝!その圧倒的な強さから多くのファイターを虜にし、雷帝と崇められるチャンピオン!エクレール・テロメアだああああ!!!!』


エクレールが悠々と入場口から現れた。

輝くような金髪を揺らしながら一歩一歩Gキューブに近づいて行く。


会場の歓声はエクレールが現れた瞬間にガッと沸き上がった。

まるで地が割れるかのような迫力だ。



『そしてその雷帝に挑むのが!驚異の新人、神秘の超新星!翼、ヤマトおおおおお!!!』


ヤマトが入場すると、観客は更に激しい歓声を挙げた。

ヤマトもGキューブに向かって進んで行く。




アスカ達は黙って見守っていた。

二人がGキューブの前に立つのを見るとジェネが口を開いた。


「………翼ヤマトとエクレール・テロメア。文字通り世界最強の二人が戦うことになった」


「どちらもカスタムソルジャーの実力、Gサイト。共に圧倒的な力を持つ者達だな」


ハイバラに続いてラスも口を開く。


「……そして、どちらも貴女と深い関わりを持つ者ですね」


視線を向けられたアスカは顔を曇らせる。

分かっている。

エクレールを狂わせ、ヤマトをここに引き込んだのも全て自分のせいだと。

だからこそ、このファイトを最後まで見届けなくてはならない。


「ヤマト……」


アスカはその名を呟き、ジッと見つめた。





エクレールは目を閉じていた。

その表情はどこか穏やかで、達観しているかのようだった。


「……貴方なら、ここまで勝ち抜いて来ると思ってたわ。それに、随分といい目に育ったわね」


エクレールの目が開かれる。

その瞬間、強力なGサイトの波動で会場の空気が大きく揺れる。


観客は何事かとざわざわしだす。ヤマトは一瞬後ずさるも、Gサイトを発動させて押し返す。


二人のGサイトがぶつかったせいか、星の輝きが増す。

観客はスポットライトに負けず劣らずの輝きを放つ星空を不審に思う。



エクレールは夜空を見上げて感嘆した。


「………素晴らしい」


両手を広げ、ヤマトに語りかける。


「素晴らしいと思わない!?私達のこの力!既に自然界に影響を与えることすら可能としている!この力、正に王に相応しい!!」


「……そうかもしれませんね」


ヤマトは肯定する。

確かにこの力は凄い。それはヤマトも良く知っている。


そして、今この力を喜んで話しているエクレールが、ヤマトには一人の女の子に見えた。

カスタムソルジャーの王。そんな肩書きに似つかわしくない、一人の女の子に。


だからこそヤマトはこうも思った。



「でも、貴女にこの力は相応しくない」


「………どういう意味かしら?分からないわね」


エクレールの顔から笑みが消えた。

その表情には感情が無く、ただただGサイトの輝きだけがあった。


「さっきの貴女の顔………楽しそうでした。それは、アスカの大好きだった貴女の顔です。貴女のその顔は……カスタムソルジャーをやっている時のものでしょう!?」


「………関係ないわ。これからのファイトに必要なのは、Gサイトの優劣だけ」


ヤマトは断固としてその主張を跳ね退ける。

エクレールの顔に、怒りという感情が戻る。

一旦落ち着くと、自分のPCDを手に取る。


「それでもいいわ。私はGサイトの全てを懸けて戦う。貴方は?」


「僕は……今まで戦った皆の、思いを背負います。彼らの戦いが、努力が無駄じゃないって。Gサイトに劣らない力だって証明するために」


ヤマトも自分のPCDを手に取る。

二人は対峙して睨み合う。



「じゃ……行くわよ」


「………」


ヤマトは頷き、両者が戦いに備える。

そして、それぞれの愛機を出撃させる。


「ブラスター・ウイング!」

「ファントム・ブラスターロード!」


二体のカスタムソルジャーが神殿ジオラマに降り立つ。

神殿ジオラマは遺跡ジオラマに似たフィールドで、崩れた柱や石像が並び立ち、建造物がある古代のフィールドだ。


ブラスター・ウイングの正面にいるのは、誇り高い獣だった。

金の鬣と顔。漆黒のボディと赤いラインは一目見ただけで相手に恐怖を植え付ける。

そして何よりも、その青い瞳は揺るぎない神々しさを放っている。


これこそが、エクレール・テロメアの愛機。

三傑作最後の一つ。



ファントム・ブラスターロード


その迫力にブラスター・ウイングは後ずさった。

何もしていないはずなのに、近寄りがたい空気を放っている。


会場全体が緊張で固まる。

そして、いよいよファイトが始まった。



『それでは戦って頂きましょう!レディー……ファイト!!』


と、司会が叫んだ瞬間、轟音が響き強烈な閃光が放たれた。

爆発が起こり、煙が立ち込める。



「な、何が起こったの!?」


カジオは状況が分からず混乱する。

アスカ達は黙ってGキューブを中継しているモニターを見つめた。



ファントム・ブラスターロードの周囲を電気が走っていた。

エクレールは煙に包まれた場所を見ながらクスクス笑う。


「これがファントム・ブラスターロードの武器、エタニティーヴォルト。常に機体の周囲を電気で纏い、その姿を自在に変える変則武装。これは起動時に膨大なエネルギーをぶつけることが出来てね」


一回しか使えないのが残念だけど、とエクレールは語る。

そして、煙が晴れるとそこにはブラスター・ウイングが立っていた。


「……それは」


エクレールは驚いた。

あの攻撃を直接喰らって平気なはずがない。ならば………


ブラスター・ウイングの左手の甲にパネルが取り付けられ、そこから桃色のビームシールドが発生していた。

これで最初の不意打ちを防いだのだ。

ヤマトはビームシールドの名を告げた。


「ビームイーザー」




「ビームイーザー?」


アムがアスカに詳細を尋ねた。


「あれが私の作った新型の武器よ。限界まで圧縮したエネルギーを盾型に放出することで強固なシールドと化す。その出力の高さから約八秒間しか起動できない」


「あれをずっと作ってたのか?」


キリュウがアスカに尋ねた。

アスカはコクリと頷く。


「姉さんとやり合うにはビームライフルを捨ててでも防御を上げるしかない。そうでもしないと反撃する間も無くやられてしまう」




「ふーん、考えて来たわね」


エクレールは感心して呟いた。

ブラスター・ウイングはビームイーザーを閉じるとビームジャベリンを展開した。


「じゃ、行くわよ」


次の瞬間、ファントム・ブラスターロードがブラスター・ウイングの背後に一瞬で回り込んだ。

繰り出される拳をビームイーザーで防御する。


後ろに飛ばされたブラスター・ウイングを追いかけ、更に拳を叩き込む。

またビームイーザーで防御し、反撃にビームジャベリンを突き出す。


ファントム・ブラスターロードはビームジャベリンを右手で叩き、左手に雷で出来た爪を作り出す。

それを振り下ろした。


ブラスター・ウイングは飛んで回避する。

ファントム・ブラスターロードは大量の電撃を放つ。

あらゆる方向から次々と飛んで来る電撃をビームイーザーで何とか防ぎ続ける。



ファントム・ブラスターロードはブラスター・ウイングの目前に移動すると拳を叩き込んだ。

ビームイーザーで防ぐも、地面にたたき付けられる。


更に繰り出される拳を防御し、頭上から落ちて来る雷を飛びのいて避ける。

ファントム・ブラスターロードは休まず電撃を放つ。


ブラスター・ウイングはビームイーザーを防御の瞬間だけ展開することで限界の八秒が来ないようにしている。

しかし、こうも四方八方から電撃が襲い来るのではビームイーザーを展開しないのは命取りだ。

それでもこの出力を出すにはこうするしかないし、これより出力を弱くするとファントム・ブラスターロードの攻撃に堪えられない。


「エタニティーヴォルト……扱うのは凄い難しいのに」


エクレールの使っているエタニティーヴォルトは一応市販されているものだ。

しかし、あんな使い方はされていない。


本来あれは武器に属性の力を付加するために使うものだ。

エクレールのように爪や雷にして使うのは、調整や発動のタイミングがとても厳しいのだ。

一歩間違えれば自身に感電しかねない。


「でもGサイトならどんな調整、どんなタイミングで使えばいいか全て教えてくれる。何より、武器を一つにすることで攻撃力を限界まで高めることができる」


エクレールは瞳を虹色に輝かせながらヤマトに話し掛ける。

ヤマトはその力に押され、目を押さえる。

激しい痛みが目を襲う。しかし、ファイトを続けなければ。


ファントム・ブラスターロードは尚も猛攻を続ける。

ブラスター・ウイングもビームイーザーで持ちこたえるも、防戦一方だ。

防戦に手一杯で反撃出来ない。



「ほらほら、どうしたの!?」


エクレールはGサイトでヤマトを圧迫する。

ヤマトもGサイトを使って重圧を振り切り、ブラスター・ウイングを変形させて距離を取る。


「これならどうだ!?」


スペリオルアクション《シューティングサン》


ブラスター・ウイングのバルカン砲にオレンジ色のエネルギーが溜まり、発射された。

オレンジ色のエネルギー弾がファントム・ブラスターロードに真っ直ぐ向かう。


ファントム・ブラスターロードはあらゆる角度から雷をエネルギー弾にぶつけ、威力を弱らせる。

そして、雷の爪でシューティングサンを薙ぎ払った。


エクレールはクスクス笑ってヤマトを見つめる。


「あら、今何かした?」


「くっ………」


ファントム・ブラスターロードが再び襲い掛かる。

ブラスター・ウイングは防御するのだが、力の差は埋められず壁や地面にたたき付けられる。


「くっ、だったら!」


スペリオルアクション《ライトニンググングニル》


ブラスター・ウイングはビームジャベリンをクルクル回しながら天に掲げ、フィールド中から雷を集める。

それを見たエクレールは、やれやれと言った表情でPCDを操作する。



スペリオルアクション《ウイニンググラム》


ファントム・ブラスターロードが咆哮を挙げながら両手を天に掲げる。

すると、フィールド中から風が集まってファントム・ブラスターロードの爪となる。


二体はそれぞれ自分の前にエネルギーを凝縮させた球体を作り出し、それにぶつかると全ての力を込めて直進した。

風と雷がぶつかり合い、Gキューブが激しく揺れる。



ファントム・ブラスターロードが空いている右手でライトニンググングニルを砕いた。

ブラスター・ウイングは地面にたたき付けられて火花を散らしながら滑って柱に衝突した。


「グラムがグングニルを砕いた……面白いわね」


エクレールはヤマトの焦った表情を見ると口を吊り上げて笑い、ボソリと呟いた。



「スターブースト」


《スターブースト》


天から雷が落ち、ファントム・ブラスターロードに直撃する。

ファントム・ブラスターロードは大きな雄叫びを挙げ、大地を強く踏み締めた。

青い瞳が輝き、全身を今までとは比にならない濃度の電撃を身に纏う。


次の瞬間、ファントム・ブラスターロードが一瞬でブラスター・ウイングの目前に接近した。

雷を纏った拳をビームイーザーで防ぐも、今度は防げずに雷に呑まれて吹き飛ぶ。


柱に激突し、ボディが悲鳴をあげる。

ヤマトは次の手を打つ。



「スターブースト!」


《スターブースト》


会場全体から風が吹き荒れ、観客は近くの物を掴んで吹き飛ばされないようにする。

集まった風はブラスター・ウイングが纏い、全身が鮮やかな青に輝く。


「今更スターブーストを使ったくらいで!」


エクレールはヤマトを嘲笑った。

ファントム・ブラスターロードはブラスター・ウイングを殴り付ける。

地面に叩き伏せられ、更に地面に押し潰そうと両手の爪を振り下ろす。


ブラスター・ウイングはビームジャベリンを展開して防御するが、圧倒的な雷に押されバチバチと火花をあげる。

もう終わりか…と誰もが思った瞬間、




「今だ!必殺アクション!」


スペリオルアクション《ストームスピア》


初動の突き上げでファントム・ブラスターロードを突き飛ばし、大地を踏み締めると青く輝く槍を突き出した。

青いエネルギーランスがファントム・ブラスターロードを押し飛ばし、地面に激突する。



「な!?」


エクレールは突然の事態に驚く。


ビームジャベリンを突き出して来るブラスター・ウイングをファントム・ブラスターロードは尻尾で叩き飛ばした。

更に追撃しようと襲い掛かる。


ブラスター・ウイングはガン、ガン、と音を立ててビームイーザーで防御し、雷を乗せた拳を受け止めるといなすようにして受け流す。

至近距離から放たれた電撃をビームジャベリンで薙ぎ払い、ビームイーザーでファントム・ブラスターロードを突き飛ばした。

そして、アッパーの様にビームイーザーでファントム・ブラスターロードの顔を殴り上げると今度は裏拳のようにして殴り飛ばす。



エクレールは思わず舌打ちする。


「調子に乗るな!」


ファントム・ブラスターロードは電撃をブラスター・ウイングに放つ。

ブラスター・ウイングはビームイーザーで防御するも、体勢を崩してしまう。

そこへ、ファントム・ブラスターロードが拳を叩き込んだ。


ブラスター・ウイングは吹っ飛ばされるも、すぐに起き上がると目前にまで迫ったファントム・ブラスターロードの拳をかわして背後に回り込み、ビームジャベリンで背中を切り刻む。





「す、凄い………」


カジオが呟き、同様に全員が息を飲んで戦いを見守っていた。

あまりの激しいファイトに皆目が離せなくなってしまった。


「あのエクレール様が、本気で手こずっているとは………」


ハイバラは酷く動揺しているようだった。

ジェネは二人を見続ける。


「二人が戦ってるあの空間は、もう何が起こってもおかしくない」


「正に死闘、か」


キリュウももう目が離せなくなっている。

アスカは、ギュッと手を強く握り締める。



「姉さん……ヤマト」






「うおおおおおお!!」


「はああああああ!!」


ヤマトとエクレールの闘志がぶつかり合う。

ブラスター・ウイングとファントム・ブラスターロードも一進一退の攻防を繰り返していた。


振り下ろされる拳をビームジャベリンで弾いてボディを切り裂き、更に胸を突き刺そうとする。

ファントム・ブラスターロードはビームジャベリンを薙ぎ払うと電撃をぶつけてブラスター・ウイングを吹き飛ばす。

そして、さらに幾つもの電撃を放つ。


ブラスター・ウイングは変形して電撃をかい潜り、ビームを何発も発射する。

ビームが命中し、ファントム・ブラスターロードが後ずさる。

そこへ追撃しようと迫り来るブラスター・ウイングを肩からのタックルで突き飛ばす。


ブラスター・ウイングは変形を解除して地べたを転がり回る。

ファントム・ブラスターロードは殴り掛かるが、ブラスター・ウイングはビームジャベリンで拳を弾いてボディを切り付ける。

しかし、ファントム・ブラスターロードは素早く体勢を整えてブラスター・ウイングを殴り飛ばした。



「必殺アクション!」


スペリオルアクション《GEARコンダクター》


ファントム・ブラスターロードが雄叫びをあげるとフィールドの至る所に電撃を発射する核が現れる。

そして、一斉に電撃が放たれる。


「必殺アクション!」


スペリオルアクション《JETデストロイヤー》


ブラスター・ウイングの体が紫色に輝き、光を纏って飛行を始めた。


ビームを放ち、電撃やそれを撃ち出す核を撃破していく。


途中で何発も電撃を浴びるも、ファントム・ブラスターロードに激突した。

ファントム・ブラスターロードは押し返そうとするも耐え切れず壁に衝突する。


ブラスター・ウイングは更にビームジャベリンを突き刺そうとするも、ファントム・ブラスターロードがビームジャベリンを殴って弾き、同時に尻尾で叩き飛ばす。



「必殺アクション!」


スペリオルアクション《キングスビーストアウト》


ファントム・ブラスターロードが全身を覆い尽くす程の強力なライオンのオーラを纏い、ブラスター・ウイングに突っ込んで来る。


「必殺アクション!」


スペリオルアクション《ディメンジョンプロテクター》


ビームイーザーのパネルが輝き、巨大なビームシールドが現れる。

ライオンの爪とビームシールドが火花を散らしながら激しくぶつかり合う。



ファントム・ブラスターロードは荒々しく何度もビームシールドを叩き、やがて耐え切れずにビームシールドは砕け散った。

ブラスター・ウイングはファントム・ブラスターロードがプロテクターを破った瞬間にビームイーザーで何度も頭を殴り、蹴り飛ばした。

しかし、ファントム・ブラスターロードは吹っ飛ばされながらも電撃を放ち、ブラスター・ウイングは電撃を喰らってしまう。


その瞬間、二体の体が点滅し始めた。




「あ!!」


「スターブーストが切れる!」


ゴン太郎が思わず叫んだ。

観客も終わりが近付いていることを感じていた。



ブラスター・ウイングはビームジャベリンを前に突き出す。すると、ビームジャベリンが青く輝いて刀身が伸びた。

スターブーストの残りのエネルギーを全てこれに託したのだ。


ファントム・ブラスターロードも両手に全てのエネルギーを集める。


二人は真正面からぶつかり合い、激しい爆発が起こった。




「………ど、どっちが勝ったの?」


チェールが恐る恐るマルゴイに尋ねる。

しかし、何も分からないマルゴイは首を横に振った。





煙が立ち込め、フィールドは見づらいが何とか段々と晴れて来る。

どちらも起き上がる気配が無い………と思われた瞬間、事態が急変した。



煙の中から青い眼光が輝き、ファントム・ブラスターロードが現れる。

反対側の煙から碧の眼光を輝かせてブラスター・ウイングがビームジャベリンを振って現れた。


二機共ダメージはあるもののまだまだ五体満足だった。






「はぁ……はぁ……」


ヤマトとエクレールは疲れきっていた。

深い呼吸を繰り返し、何とか意識を保っている状態だった。

それでも操作をやめることはなく、ブラスター・ウイングとファントム・ブラスターロードは戦い続ける。


ヤマトは目をゴシゴシ擦る。

エクレールのGサイトに対抗するためずっと全力で力を使っていた。

そのせいか目の痛みがドンドン強くなっていく。


「そこまでにしておいた方が良い……これ以上私と戦ったら」


「まだですよ」


エクレールが降伏を呼び掛けるが、ヤマトは応じない。


「どうして……」


エクレールには分からなかった。

今ヤマトは目が潰れるのではないかという程の痛みに襲われているはずだ。

なのに、何故まだ続けるのだろう。


「どうして……どうして、どうしてまだ続けるの!?そこまでする理由は!?」



「………僕、カスタムソルジャーが大好きなんです」


ヤマトは呟いた。

エクレールは黙ってヤマトの話を聞く。


「だから精一杯楽しみたいし、一人でも多くの人に楽しんで欲しい」


ヤマトは虹色に輝く瞳をエクレールに向けた。


「貴女にカスタムソルジャーを純粋に楽しんで貰いたいし、そんな貴女に戻して欲しいって頼まれたんです」


「頼まれた?」


「はい。貴女の妹に、アスカ・テロメアに………僕のアスカに」



エクレールは黙っていた。

自分の力、思い出、全てを思い返していた。

そして、最後に、強く見えたのは………



幼い頃の自分。勝っても負けても笑っていたあの頃の姿だった。




「……………」


エクレールは沈黙を続けていた。

ヤマトも黙ってエクレールの反応を待つ。


この間にもブラスター・ウイングとファントム・ブラスターロードの戦いは続いていた。

拳とビームイーザーが何度もぶつかり、電撃やビームジャベリンを巧みにかわす。


エクレールは顔を上げ、虹色に輝く瞳をヤマトに向けた。

そして、静かに呟いた。


「………決着を付けましょう。全ての」


どちらが強いのか。

Gサイトをどうするか。

そして、カスタムソルジャーの未来は………


全てに決着を付けようと、エクレールは言った。

だから、ヤマトも答える。


「行きます!」


「ええ!」


ブラスター・ウイングとファントム・ブラスターロードが互いに距離を取る。




「必殺アクション!」

「必殺アクション!」


スペリオルアクション《ランス》

スペリオルアクション《クロー》



二体の背後に巨大な化神のようなものが現れる。

ブラスター・ウイングには銀色に輝く槍騎士が。

ファントム・ブラスターロードには黒い獣が。


それぞれの爪と槍がぶつかり合い、辺りに火花や閃光が散る。

そして、無数の槍と爪が発射され、お互いを潰し合う。



「うわぁ!」

「何だ!」


観客がパニックに陥る。

以前ヤマトとアスカが戦った時も攻撃の余波がGキューブを飛び出すことがあったが、今回はそれとは比較にならない激しさだ。


衝撃波が飛び出し、会場の至る所を破壊していく。

二体の化神は各々の武器を大きく振りかざし、最後の衝突をした。




「はぁ、はぁ………」


エクレールは肩で息をする。

もう体力は限界だった。

その時、PCDが警告を表示する。


「エネルギーが、殆ど残ってない……」


Gサイトを使った限界以上の力を使い続けたため、滅多に起こらないエネルギー切れが起こりかけているようだ。

ファントム・ブラスターロードの体からバチバチと火花が散る。


その時、ブラスター・ウイングが立ち上がった。

ファントム・ブラスターロードと同様に全身から火花を散らしているが、まだ倒れる訳にはいかない。


ヤマトは、最後の特攻を決心する。



「いっけええええええええ!!!」


ブラスター・ウイングはファントム・ブラスターロード目掛けて一直線に飛んだ。

真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ。ひたすら真っ直ぐに進む。


「っ、くっっ!」


エクレールも反撃に移る。

残りのエネルギーは少ないが、構っていられない。

電撃を発射し、ブラスター・ウイングを撃ち落とす。


ブラスター・ウイングの肩、腕、足、腹。

様々な箇所に次々と雷が命中する。

ボディに傷が付き、怯んだとしても決して前に進むのをやめない。

やがて、体のあちこちを失ったボロボロのブラスター・ウイングがファントム・ブラスターロードに接近した。


「あああああ」


エクレールは最後の力を使う。

ファントム・ブラスターロードの持つ力全てを放出する。

強力な雷はブラスター・ウイングの頭に命中し、消し飛んだ。



しかし、ブラスター・ウイングは止まらない。


「やあああああああああああああ!!!!」


ブラスター・ウイングのビームジャベリンが、ファントム・ブラスターロードの胸に突き刺さった。

そして、暫しの沈黙の後に雷が吹き飛ぶ大爆発が起こった。




会場を沈黙が支配した。

ただ誰もがこの死闘に焦がれ、まだ夢から覚めやらぬ気持ちでいたのだ。


それでも、司会は言葉を零した。


『えっ、と………両機の反応はほぼ同時にロスト。そうなると……………』


改めてGキューブの中を確認する。


そこにはファントム・ブラスターロードの姿は無く、残骸が辺りに広く散らばっているだけだった。

ブラスター・ウイングも体の大部分を無くし、立つこともできない。


しかし、ブラスター・ウイングの右腕はビームジャベリンをしっかり握り、大地に突き刺していた。

足も無くし、立つことも出来ない体で、ただ最後に倒れまいとしていた。


『ファントム・ブラスターロードは大破………ブラスター・ウイングは機能停止。だが、これは………』


全ての者が息を止めた。

両者が同時に機能停止。しかし、ブラスター・ウイングの体は残っている。






『これは……………ブラスター・ウイングの勝利!勝者は、翼ヤマトだああああああ!!!!!!』


会場が一斉に沸き上がった。

新たなチャンピオンの誕生に皆が心を震わせていた。


エクレールは膝をついてGキューブにもたれ掛かった。

ヤマトも立っていられなくなり、倒れかかる。


後ろに倒れていくヤマトをアスカが抱き留めた。


「ヤマト…」


「………」


アスカは不審に思った。

どうしてヤマトは何も言わないのだろう。

疲れて寝ているのだろうか。


「ヤマト?」


「………?」


ヤマトはゆっくりと首を振って辺りをキョロキョロ見回すと、アスカの顔を見て尋ねた。



「………アスカ?」


一目で変だと分かった。

アスカの方を見ているが、アスカを見ていない。

何より、その目に以前の様な光が感じられない。


「一時的に視力が落ちたのよ」


エクレールがハイバラとジェネに支えられて近付いて来る。

見ると、ヤマト同様目に光が感じられない。


「Gサイトの使いすぎね………私らしくもない」


「大丈夫なの?二人とも」


アスカは心配になる。

エクレールは少しだけ笑って答える。


「心配しないで。数ヶ月で元に戻るわ」


「良かった。じゃあヤマトも………」


元に戻るのね、と言おうとした瞬間、エクレールが俯いた。



「私の力にあてられ過ぎたのよ………数年は、そのままよ」


「………え?」


アスカは何を言われたのか分からなかった。

反対にヤマトは落ち着いていた。エクレールと同じく、自分で薄々気づいていたのだ。





表彰式もアスカやカジオ達が付き添いになり、何とか無事に終えることが出来た。


ヤマトはアスカに連れられて星の見える丘に来ていた。

ベンチに腰掛け、二人で話し始める。


「良かったね、エクレールさん………元に戻って」


エクレールはGサイト所有者の集団を解散し、もう世界大会には出ないと告げた。


『少し、落ち着くまでね………それまでは、カスタムソルジャーで戦うんじゃなくて、カスタムソルジャーで遊んでいたいの』


エクレールが微笑みながら告げると、アスカの顔も嬉しそうになっていた。




アスカの反応が無い。

ヤマトは不思議に思って尋ねた。


「アスカ?どうしたの?」


「………私、こっちよ」


ヤマトはアスカと反対の方向を向いていた。

ヤマトは慌てて向き直る。


「どうしたの?」


「私、これから姉さんの側にいないと。目が良くなるまで支えてあげたい………もちろん、貴方にも医者とか色々手配するわ」


「そっか」


アスカと暫し別れるのは悲しいが、仕方ないだろう。

ようやく姉と仲直り出来たのだ。二人の時間を大切にしなければ。




「………だから、さよならよ」


「……え?」


ヤマトにはアスカの言っている意味が分からなかった。

どうして、何がさよならなのだろう。


「もう、貴方とは会えないし話もしない。連絡も無しね」


「どうして」


「私は貴方の目を奪ったのよ。私達姉妹の問題に巻き込んで、貴方の大好きなカスタムソルジャーも暫く出来なくさせた………」


ヤマトは思わず立ち上がる。


「違う!奪われたとかそんなのじゃなくて、僕は自分で」


「ヤマト!!」


ヤマトは黙ってしまった。

なぜだか、アスカを止めてはいけない気がした。



「お願い。このままじゃ、私は私を許せない。貴方の目を奪っておいて貴方と幸せになるなんて、私は………出来ない」


ヤマトにはそんなのはどうでも良かった。

何を奪われたとしても、失ったとしても、これまでとこれからのアスカとの思い出があれば良かった。



でも………

愛している。

だからこそ、アスカの自分なりのけじめを邪魔してはならない。

ヤマトはそう思った。



「分かった………目が直ったら、僕から勝手に会いに行くよ」


アスカは涙を零しながら、微笑んだ。


「待ってる」






あれから。

あの世界大会から四年の月日が流れた。


あれ以来キリュウやジェネ。その他の優秀なカスタムファイター達によって世界大会は盛り上がりを見せている。


アスカとエクレールは医者の都合で各地の別荘を転々としていた。

しかしエクレールの目が直るともう移動することもなく、穏やかにすごしていた。


エクレール達は海の見える庭でお茶をしていた。


「あれ以来、皆元気にしているかしら?」


エクレールはアスカに皆の近況を尋ねた。

しかし、アスカも連絡を取っていないため殆ど分からなかった。


「知らないわよ……」


「どうしたの?アスカ」


エクレールはアスカに尋ねた。

何かアスカがいいたげにしているのに気が付いた。


「Gサイトって……結局、何なのかしら」


「何って銀河の贈り物よ」


アスカは深い溜息を付いた。


「銀河の贈り物って………姉さんをおかしくしたり、ヤマトの目を奪ったりするのが?」


「んー、例えば………彼とか」


エクレールはいたずらを思い付いた子供のような顔をしてある方向を向いた。

アスカは何事かと振り向いた。




時間が止まったかと思った。

しかし、時間は止まってなどいない。


風が吹き抜け、アスカの髪とスカートをたなびかす。

アスカはその人をジッと見つめた。

いや、目が離せなかった。


背は伸びたのだろうか。

アスカ自身の背が伸びたこともあって分かりづらい。

しかし、それにしてもやはりあまり伸びていない気がする。


「………どうして」


アスカは思わず尋ねた。

今は何でもいい。

ただ、その声を聞きたい。



「ちょっと前に目は直ったんだけど、自由に動き回るにはプロになった方が良かったから」


その声はまだ女の子のように高かった。

きっと、どれだけ歳を取ってもその中性的な声は変わらないのだろう。




「会いに来たよ。アスカ」


「………ヤマト」


ああ、やっぱり貴方は罪な人だ。

どれだけ決別したとしても、ずっと私の心を占領して。


それでも、ヤマトは悪くないのだろう。

だって、ヤマトもずっとアスカを求めて来たのだから。


エクレールは椅子から立ち上がると、二人に近付いた。

未だに見つめ合う二人をからかいに行ってやらねば。


ブラスター・ウイングはヤマトの鞄から飛び出すと、白いテーブルの上に立った。

ブラスター・ウイングをマグナ・オーバーロードとファントム・ブラスターロードが迎える。

三体はお互いの顔を見合うと、自分達の主を見つめた。


三人で仲良く話している。

その回りが、うっすらと輝いている気がした。

世界を変える者達に相応しい、暖かな光だった。


三体は空を、銀河を見つめた。

まだ太陽が輝く昼だというのに、星が満天の輝きを見せる。



きっと、世界を変えるために。

自らが、更に輝くために。



Gサイトは、彼らは、カスタムソルジャーは。

輝き続けるのだろう。

小さな小さな、新しい銀河となって。

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