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カスタムソルジャー  作者: バームクーヘン
第3章 雷帝降臨
22/25

第22話 スーパープリンセス

「まずは一勝、だな」


キリュウがヤマトに賞賛の言葉を掛ける。

ヤマトは礼を言ってそれに応える。


朝のファイト、ハイバラとの勝負に勝ち、ヤマトは次の対戦相手への挑戦権を得た。

次のファイトは午後から行われるため、ヤマト達は食堂で昼食を取っていた。


「いよいよトップ3とのファイトになるけど……気をつけてね。これからは、全員が偏ったカスタマイズをしてくるでしょうから」


「偏ったカスタマイズって?」


カジオがアスカに質問する。


「彼らは自分の得意とする戦闘スタイルに徹底したカスタマイズをするの。それこそ普通では考えられないような、ね」


「でもそんな偏ったカスタマイズなら、返って弱点が分かりやすいんじゃないのか?」


ゴン太郎がアスカに尋ねると、アスカは頷いた。


「その弱点を突けるかどうかは、ヤマト次第よ」


「分かった」


ヤマトは頷くと、ハンバーグを口に入れた。

アムが少し考えて口にした。


「ねぇ、貴女は次の相手がどんなカスタムソルジャーを使うか知らないの?」


アスカは首を横に振る。


「ハイバラはたまに大会に出てたから分かるけど、ピタやジェネはここ一年まともに会ってないから分からな……」


そこまで言った所で、アスカとヤマトはバッと振り返った。

そして、瞳を虹色に輝かせながらヤマトは呟いた。


「……誰か来る」



桃色の華やかな色をした髪の少女が、てくてくと歩いて来る。

両手に大きな兎のぬいぐるみを抱き抱えており、少女が歩く度に兎の耳がピョンピョン揺れる。


ヤマトの次の対戦相手、ピタとその兄ラスだった。


ピタはヤマトの隣まで来ると横目でヤマトを見る。

そして、ボソッと呟いた。


「今日は、宜しく」


「……うん」


ピタはその場を去り、ラスもヤマト達に一礼してから去って行った。


二人が立ち去った後、カジオがアスカに尋ねた。


「あの可愛い女の子が次のヤマトの対戦相手なの?」


「ええ、彼女がピタ。容姿と裏腹にパワー任せの強引なファイトをするパワーファイターよ」


「あんな子がねぇ」


カジオは半ば信じられないといった様子だった。

ゴン太郎はヤマトにアドバイスする。


「パワーで張り合わずに、距離を取った方がいいぞ」


皆がそれに頷いたが、ヤマトは渋っていた。


「………どうした?」


キリュウはヤマトに何を考えているのか尋ねた。

ヤマトはつまりながらも答えた。


「何だか……遠距離戦じゃ駄目な気がするんだ」


ヤマトの目が虹色に輝く。

朧げだがファイトのイメージが見えた。


「貴方の好きにしたらいい……あ、そうだ」


アスカが席を立ち、ヤマトの横を擦れ違った後で振り返った。


「例の物だけど、集中したいからこのファイトは見ないわ」


「うん、分かった」


そう言って去っていくアスカをヤマトは見送った。

ゴン太郎がヤマトに尋ねた。


「例の物って何だ?」


「僕も詳しくは知らないんだけど、ブラスター・ウイングの新しい武器みたい」


「新しい武器?」


カジオは首を傾げて何なのか想像する。

剣なのか、銃なのか、それともハンマーだろうか。


アムは不満そうに呟く。


「でも冷たいわね。ヤマトのファイトを見ないなんて」


「僕のこと信じてくれてるんだよ」


ヤマトは自信を持って言えた。アムはますます不機嫌になる。

キリュウがコーヒーを飲みながらヤマトに告げた。


「なら、その期待に応えないとな」


「はい」


ヤマトは頷くと、改めて勝利に向けて決意を新たにした。






『さぁ、スペシャルマッチも第二戦!登場するのは期待の超新星、翼ヤマト!!』


ヤマトは会場に入ると真っ直ぐにGキューブを目指す。

Gキューブの前に立つと、反対側の入場口を見る。


そこから対戦相手が現れる。


『そしてそれを待ち受けるのは小さなパワーファイター、ピタ選手だあああ!』


ピタが現れると会場が歓声の嵐に包まれる。

Gキューブの前に立つと抱えていたウサギのぬいぐるみを後ろのラスに預ける。そして、ラスから自分の機体を受け取る。




「ピタちゃん、相変わらず機体の整備はラス君に任せっ切りなんだねー」


ジェネがクスクス笑いながら呟く。

ハイバラもそれに頷く。


「元々は、ラスの方が優秀なカスタムファイターだった。ところが……」


「エクレールさんがピタのGサイトの素質を見抜いたんだよねー」


ジェネはチラッとエクレールを見る。

エクレールはクスクス笑いながらジェネの視線に応える。



「Gサイトは本当に奥深いわ。年齢、性別、家系。どの線で考えてもその優秀さに関連が見つからず、更には成長の速度も得意とする用途もバラバラ………調べれば調べる程深く嵌まっていく」


それはあんただけだよ、と思ったがジェネは黙っておいた。


(この人にGサイトのこと聞くと話が長くなるんだよなー)


「ピタのGサイトの成長は目覚ましい物でしたからね」


ハイバラがエクレールに聞き、ジェネは話を続けるなとハイバラに怒りたくなった。


「ええ、彼女のGサイトの成長は特殊で更に驚異的な速度だった」


「貴女様程ではありませんがね」


ハイバラはエクレールを褒めたたえる。

ジェネは内心呆れていた。


ジェネとしてはGサイトにそれ程の魅力は感じられなかった。

力を使っている間は自分が操作をしている実感がないため、気が付いたら勝っている。というパターンが非常に多い。


要するにつまらないのだ。

しかも自分のGサイトはなまじ強力なせいでファイトになると強制的に発動してしまう。

世界ナンバー2の座に着いたはいいもののカスタムソルジャーがつまらなくなってしまった。


(世界統一なんてどうでもいいしなー)


それでもジェネはこの計画に参加すれば少しは楽しい者に出会えるかもしれないという期待を捨てきれずにいた。

だからこそまだエクレールのチームに所属しているのだ。



「ジェネ」


ジェネは恐怖で息が止まるかと思った。

エクレールが自分の名を読んでいる。それを理解して振り向くとエクレールはいつもの上品な笑みを浮かべていた。


「駄目じゃない。こんな素晴らしい力をつまらないなんて思っちゃ」


自分の考えていた事がばれている。

ジェネはそう理解した。

Gサイトには互いに共鳴することがある。

それは分かっていたがまさかここまで正確にばれるとは。


「どこまでも末恐ろしい?もう、失礼な子ね」


そう言ってエクレールはGサイトを発動させ、瞳を虹色に輝かせる。

まるで銀河が広がるかの様な圧倒的な力に呑まれ、ジェネは後ろの机に衝突し、ハイバラはひざまずく。



「あらごめんなさい。やり過ぎちゃった」


エクレールはクスクス笑うと再びモニターに目を向けた。

ジェネは改めてエクレールへの恐怖を思い出す。


エクレール・テロメア。

彼女のGサイトは強力どころではない。

正に別次元とでも言える代物だ。


最近ではさっきの様にGサイトを使えば、Gサイトを持っている者はひざまずく。それ以外の一般人は気絶させることすら出来るようになった。


誰も彼女には逆らえない。

唯一、彼女にのまれず抵抗を続け、そして希望を連れてきた者。


「アスカ……貴女は本当に素晴らしいわ。こんな素敵な子を見つけて来るだなんて」


エクレールはモニターに映るヤマトに手を伸ばす。


「翼ヤマト。ああ、早く貴方と戦いたい。戦って……………私の目の前で、ボロボロにしたい」


またエクレールの瞳が輝き、机や棚などの家具がガタガタ揺れる。

ジェネは心を読まれることが分かっていても願わずにはいられなかった。


ヤマトがピタや自分、そしてエクレールをも倒す人物であるようにと。




「ピタ、落ち着いてね」


「平気」


ラスはピタにリラックスしていくよう伝える。

ピタは自分の機体を持ってヤマトと向かい合う。


『では始めましょう!スペシャルマッチ第二戦……ファイト!』



「ブラスター・ウイング!」

「バーサーキャット」


二人の機体が草原ジオラマに降り立った。


ピタの機体のバーサーキャットは、白いボディに猫ミミの付いた小さな機体だ。

足は無く、大きなスカートの中にブースターがありそれで常に浮遊している。


しかし何よりも目を引くのは持っている武器のハンマーだった。

ゴン太郎のガガコングが使っていたハンマーより一回り大きく、小柄なバーサーキャットが持っていると尚更そのアンバランスさが目立つ。



「あれじゃ振り回せないんじゃない?」


カジオが思わず呟く。

確かにあの大きさでは動かすことすら出来ないはずだ。


「……だが、そんなことも分からない奴ではあるまい。何か裏があるはずだ」


キリュウは得体の知れないピタを警戒する。



ピタを警戒しているのはヤマトも同じだった。

とはいえ攻撃しなければ始まらない。


ヤマトはブラスター・ウイングを空中に浮上させるとビームライフルでバーサーキャットを狙撃した。

数発のビームがバーサーキャットを襲う。


しかし、全てのビームがバーサーキャットに触れた瞬間、あらぬ方向に曲がってしまった。

バーサーキャットのボディには傷一つ無い。


「ビームが、曲がる!?」


ヤマトが驚くと同時にピタはフッと笑い、PCDを操作する。

次の瞬間、ハンマーのブースターに火が付き、ロケットの様に発進した。

ハンマーに引っ張られる様な形でバーサーキャットがかなりの速度でブラスター・ウイングに向かって飛行する。


「!?」


ヤマトは咄嗟にブラスター・ウイングのブースターを切る。

ブラスター・ウイングは落下し、ギリギリでハンマーに当たらずに避ける。


地面に墜落する前に再びブースターを起動して、なんとか着地する。


「まだまだ」


ピタの操作でまたハンマーが発進し、バーサーキャットがブラスター・ウイングに襲い掛かる。


バーサーキャットはブースターに振り回され、無茶苦茶な動きでハンマーを振るう。

ブラスター・ウイングは素早くハンマーをかわしていき、隙を突いてビームジャベリンを振り下ろした。

ビームジャベリンはバーサーキャットの右肩に当たり、バチバチと火花を散らす。


バーサーキャットが振るうハンマーを寸前で回避し、距離を取る。

ヤマトはビームジャベリンを当てたバーサーキャットの右肩を見て驚愕した。



「……そんな」


あれだけ思いっ切り切り付けたのに、バーサーキャットの右肩には殆ど傷が無い。


「……バーサーキャットには、どんな攻撃も通用しない」


ピタはそれを告げると再びバーサーキャットにブラスター・ウイングを襲わせる。




「ピタちゃんは、機体のエネルギー配分を全て装甲に回してるんだよね」


ジェネが頬杖をついて呟き、ハイバラは頷いて肯定する。


「機体の防御力を限界まで高め、特殊なコーディングの装甲で遠距離兵器を完全に無効化。更に攻撃と移動力は全てハンマーに依存。本来そのようなカスタマイズをすれば機体を思うように動かせないが……」


「それを可能にするのがGサイト」


ジェネが言うと、エクレールが紅茶に砂糖を入れながら微かに笑う。


「ピタのGサイトは自身の予知に特化している。それによりどう動けばいいのか、ブースターの起動と加減等のあらゆる配分を完全に見極めることが出来る」


紅茶を一口飲むともう一つ角砂糖を入れる。


「でも………あの子、他人の動きが読めないのよね」


「そのためのあの過剰な防御でしょ。あれなら並大抵の攻撃じゃ破れないし」


エクレールはやれやれ、とでも言いたげに溜息を吐く。


「それじゃ完璧じゃないのよ。私が求めるGサイトの究極形は……あらゆる相手、あらゆる状況でも勝利を引き寄せる絶対性。王の風格そのものなのよ」


エクレールはカップの中の紅茶をジッと眺めるとそっと口を付ける。

ハイバラはエクレールの意見に頷いて賛同する。


逆にジェネはぐったり疲れたようにうなだれた。

この人にはついて行けそうにない。

心底そう思った。




「これならどうだ!?」


ヤマトはブラスター・ウイングを変形させてバルカン砲を発射する。

ビームが効かないのならバルカンなら、と考えたからだ。


しかし、ヤマトの予想とは逆にバルカンは全て曲がってしまった。

ヤマトはブラスター・ウイングの変形を解くと後退させた。


こうなると遠距離では勝ち目がない。

危険だが接近して攻めるしかない。

ブラスター・ウイングはビームジャベリンを引き抜き、刃を展開した。



その瞬間、


「必殺アクション」


スペリオルアクション《ギガトンハンマー》


ピタが必殺アクションを使った。


バーサーキャットの武器のハンマーが銀色に輝き、ブースターのジェット噴射でロケットの様に発進する。

超速とでも言うべきスピードで接近するバーサーキャット。

振り下ろされるハンマーをブラスター・ウイングはなんとか横に飛んで回避する。


危なかった……とヤマトが安堵した瞬間、


「必殺アクション」


スペリオルアクション《ギガトンハンマー》


「っ!?」


ピタが直ぐさま必殺技を出した。

ヤマトは驚くが、反射的にブラスター・ウイングを飛翔させ、再び必殺技をかわす。


「必殺アクション」


スペリオルアクション《ギガトンハンマー》



『なんとピタ選手、連続で必殺技を繰り出したああぁ!これは一体どういう事だぁ!?』


司会のアナウンスが響き渡り、会場がざわざわし出す。

ピタはそんなことは気にも止めない。


「必殺アクション、必殺アクション、必殺アクション」


スペリオルアクション《ギガトンハンマー》

スペリオルアクション《ギガトンハンマー》

スペリオルアクション《ギガトンハンマー》


バーサーキャットは正にバーサーカーの様な勢いでブラスター・ウイングを襲う。

銀色に輝くハンマーが何度も振り回され、ブラスター・ウイングはギリギリでかわし続ける。




「ど、どうして必殺技をあんなに連発出来るんだ」


ゴン太郎がこの異常事態に呆気に取られる。

スペリオルアクションは溜まったエネルギーを使って放つ技。

こんなに連続で使用など出来るはず無いのだが……




「ピタ」


「うん、分かってる」


ピタはラスに心配しないよう告げる。

そしてヤマトに目を向けた。


ピタとラスは気づいていた。ヤマトは既にこのカラクリを解いていると。



(多分あの必殺アクションはごく小量のエネルギーで使える必殺技なんだ。それこそ、一度振るだけで使える程)


だから何回も連続で必殺技を使用出来るのだろう。

もしかすると必殺技を使うだけで既に次のチャージが完了しているのかもしれない。


となると、気になることが一つ。


(何でこの子はいきなりこんな戦法を……これは不意打ちでもしないと当たらないような技なのに)


バーサーキャットがハンマーを振るうと銀色のエネルギー弾が発射された。

ブラスター・ウイングは上空へ飛んで回避する。


(当てられないのが分かっていて必殺技を乱用する……そんなことをする理由)


それは、必殺技を放てば放つ程得をする何かがあるということだろう。

何かは分からないが、このまま防戦一方ではいずれにせよ負けてしまう。


「ブラスター・ウイング!」



ヤマトはブラスター・ウイングを飛行させ、バーサーキャットを切り付ける。

敵の必殺技を喰らわないよう細心の注意を払いながら巧みに斬撃を当てていく。


「……………」


ピタの顔に段々と苛立ちが浮かび上がってくる。


スペリオルアクション《ギガトンハンマー》


必殺技を放ち続けるも、ブラスター・ウイングは全てかわしながら反撃をしている。

もっとも、ビームジャベリンが当たっても致命傷には程遠くかすり傷が増えていく一方だ。

戦闘は平行線で続き、中々事態が発展しない。


ピタは痺れを切らしたのか、行動に移す。


「………スターブースト」


《スターブースト》


バーサーキャットの体が銀色に光ったかと思うと、その光が全てハンマーに移動する。



「スターブーストがハンマーに移った!?」


「まぁ移動もハンマー任せだからな。当然だろう」


動揺するマルゴイをキリュウが制す。

そして、ヤマトを見つめた。


「これをチャンスに変えられるか、ヤマト」




バーサーキャットは今までとは比較にならないパワーとスピードでブラスター・ウイングを襲う。

今まではギリギリでかわせていたが、今回は徐々に掠っていく。


そして、思いっ切りハンマーを振り下ろした。

直撃は免れたものの、衝撃の余波で勢いよく吹っ飛んでしまう。

地べたを転がり回り、遠く離れた所まで飛ばされてしまう。


同時にピタとラスが笑みを浮かべる。



「何か来る!」


アムがピタ達の様子から何か来ることを危惧する。



ピタは小さな声で、しかしはっきりと告げた。


「必殺アクション」


スペリオルアクション《ミルキカイザー》


バーサーキャットを中心に渦を巻くようにして七色の様々な星が集まり、ハンマーに蓄積されていく。

天に掲げたハンマーは星が纏わり付いてどんどん巨大になっていく。

そして、ハンマーを力一杯地面に叩き付けた。


その瞬間、フィールドを埋め尽くす星が集まって出来た巨大な波が発生した。

Gキューブの限界と定めた高さまで届いている。


そして、波が触れた大地や木々、岩は消し飛んでしまっている。




「何だありゃあ!?」


マルゴイは余りの迫力に呆然としていた。

同じパワーファイターだから分かるが、あんなパワーは普通出せない。

あんな出鱈目な出力を出すには相当なチャージが必要だが………


「その為の必殺技の連発か!」


キリュウが声を挙げる。

カジオがどういうことか尋ねた。


「その為って?」


チェールがその質問に答える。


「あの技は必殺アクションを使うことによって力を増すのよ。最初に必殺技を連発したのはこれのエネルギーを溜める為だったのね」


「必殺技を使えば使うほどエネルギーが溜まるだと?」


ゴン太郎は驚いた。そんなプロセスがいる技があるとは。




エクレールは紅茶を飲み終えると深い溜息をついた。


「終わりね」


「確かに、あれはピタの最大技。あれを喰らって堪えれた者はいませんからね」


エクレールは砂糖を混ぜるのに使っていたスプーンを投げてハイバラの頭にコン、と当てた。



「終わるのはピタの方。私にはもう見えたから」






ヤマトはGサイトを使い、集中して星の波を見つめる。

そして、瞳の虹色の輝きが一際強く輝き始めた。


その迫力を感じ、ピタは思わず後退りする。


「これは…」


一瞬だが感じた。

エクレールと同じ、相手の全てを飲み込み潰さんとする強烈なGサイトを。



「見切った!」


ヤマトはブラスター・ウイングに指示を送る。


スペリオルアクション《JETデストロイヤー》


ブラスター・ウイングの全身が紫に輝き、高速飛行形態に変形する。

星の波に向かって大体30°程の角度で、ビームを撃ちながら全身を紫色の光で纏って突っ込む。




「突っ込むつもり!?」


「無謀だ!」


カジオとゴン太郎が緊張で手を震わせる。

アムは両手を合わせて懸命に祈る。




ブラスター・ウイングは飛行形態でビームを何発も発射して更に加速する。

ビームはそれぞれ別の角度で孤を描くように飛んでいく。


そして全てのビームが同時にある一カ所にぶつかり、更にビームが当たると同時にブラスター・ウイングが星の波に激突した。

ビームとブラスター・ウイングが星の波にぶつかった衝撃で大規模の爆発が起こる。


その衝撃波で、バーサーキャットの動きが止まる。

そこへ爆風に飛ばされたブラスター・ウイングが接近する。


「!」


「いっけええぇ!」


ブラスター・ウイングはビームジャベリンを握るとバーサーキャットに向かって突き出した。

ビームジャベリンはハンマーで防御しようとしたバーサーキャットの左手に突き刺さる。


バーサーキャットの手からハンマーがこぼれ落ち、その一瞬の隙にブラスター・ウイングがハンマーを蹴り飛ばした。

ハンマーは地面をスライドしながら滑っていき、バーサーキャットの必殺技の星の波にぶつかって砕け散った。




ラスは呆然としてヤマトを見つめた。

そして、おもむろに呟いた。


「貴方は、ビームの着弾するタイミングと軌道。それに爆発でブラスター・ウイングがバーサーキャットの元へ吹っ飛ぶような角度までGサイトを使って見切ったとでも言うのですか」


ラスが焦っている中、ピタは酷くうろたえていた。

もう、Gサイトを使っても勝利のイメージが湧いて来ない。


「エネルギーの全てを注いだハンマーはもうありません。バーサーキャット自体は装甲が特殊で硬いだけ。機動力も戦闘力も限りなく低い…………僕の勝ちです」


ヤマトが告げると同時にブラスター・ウイングがバーサーキャットに切り掛かった。

ピタは何とかしようと思うが何をすればいいのか分からず、ただオロオロとするだけだった。



ブラスター・ウイングは次々とバーサーキャットを切り付け、首を掴むと地面に何度も叩き付ける。

そして顔を踏み付けて地面に平伏せさせ、ビームジャベリンで胸を何度も叩き付ける。


最初は殆ど傷も付かなかったが、何度も斬られるうちに段々傷が深くなっていく。

再び首を掴み上げると思いっ切り蹴り飛ばした。

すぐさま飛行して追い付くとまた首を掴み上げる。



「必殺アクション」


スペリオルアクション《ライトニンググングニル》


ブラスター・ウイングの槍に雷がバチバチと音を立てながら集まる。

いつもならフィールド中から雷を浴びせながら集めるのだが、バーサーキャットには遠距離攻撃である雷が通用しないため、あえてそれをしない。


代わりに、雷の槍でバーサーキャットの胸を思い切り突き刺した。

近距離で突き出された雷の槍はバーサーキャットを貫いた。



あらゆる攻撃を無と化して来た装甲は、雷の槍によって砕け散った。

バーサーキャットは、無惨にも爆散して散っていった。




『決まったああああああああ!なんと翼ヤマト選手、あのピタ選手も破ったあぁ!!』


会場が歓声に包まれ、ワァッと沸き上がった。


ヤマトはブラスター・ウイングを回収すると、ホッと一息ついた。

そこへ、ラスに押されたピタが近寄って来た。



「……………ゥゥ」


ヤマトを恨めしそうに見つめ、抱えているウサギのぬいぐるみで顔を隠した。

ラスが仕方なくヤマトに頭を下げた。


「おめでとうございます。ピタの完敗です」


「いや、そんな」


ラスは謙遜するヤマトを見てクスッと笑った。



「不思議です。貴方はエクレールさんと対称的ですが、しかしその力は本当にその人に近付きつつある」


ラスがそこまで言うとピタも顔をひょっこり出す。


「………じゃあね」


ピタはトテトテと走ってその場を去る。

ラスももう一度頭を下げるとピタの後を追って去って行った。



ヤマトは落ち着いて深呼吸すると空を見上げた。

その瞳は虹色に輝き、銀河の帝王を見据えた。

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