第2話 始動、サンソルジャー!
授業が全て終わった放課後、教室では何人かの子供達がカスタムソルジャーを取り出して談笑していた。
ヤマトは箱を取り出すと、カジオとアムの前で箱を開封し始めた。
そして、ついにヤマトは中のロボを手に取った。
「すっげー!」
「これが・・・サンソルジャー」
ヤマトは自分の手にある機体に心を奪われた。
白いボディにオレンジのライン。まさに聖騎士を思わせるその存在に三人の目は釘付けになる。
「さ、早速河川敷に行こうよ!」
カジオは待ちきれないのか、その場で駆け足を始める。
ヤマトとアムも待ちきれないのは同じなので、急いで河川敷へと向かった。
そして、その様子を見ている者達がいた・・・
三人は河川敷に付いた。
この河川敷は何台かのGキューブが設置された、市民に人気のスポットの一つである。今も、数人の子供達が遊んでいる。
ヤマト達はリュックを地面に置くと、空いているGキューブに集まった。
そして、ヤマトとカジオは向かい合って立つ。
「じゃあ行くぞ、ヤマト!」
「うん。サンソルジャーの初陣だね!」
二人は自分の機体を肩に乗せると、カスタムソルジャーを操作する専用の携帯端末・・・PCDを操作してGキューブの中に飛び込ませる。
「サンソルジャー!」
「行け、ガンマ!」
ヤマトのサンソルジャーとカジオのガンマが対峙する。
ガンマは市販の量産機で、基本的には茶色い装甲に赤い点の目が特徴だ。
また、セットで一本の槍が同梱している。
カジオは機体のアレンジでボディを青に塗装し、武器も槍ではなくハンドガンにしている。
「カスタムソルジャーの基本は三つまで武器が装備出来ることだけど・・・サンソルジャーはどうするの?」
アムはヤマトに尋ねた。
カスタムソルジャーは三つまで武器を装備することを許されている。
ただ、腰や肩に武器を装着しすぎるとバランスが悪くなり、動きも遅くなりがちだ。
つまり、武器の数も考えなければならないのだ。
「うん。セットについて来た専用の装備にしようと思ってるんだ」
サンソルジャーには銀色の槍と青いスペード型の盾が同梱していた。
ヤマトはその二つをサンソルジャーに装備させていた。
「よーし、俺のカスタマイズの実力を侮るなよ!」
カジオは自信満々で告げた。
カスタムソルジャーはパソコン等に繋ぐことでエネルギーの比率を調整することが出来る。
それによって、パワー重視やスピード重視などに自由にカスタマイズすることが出来る。
「行くよ、カジオ!」
「来い!」
二人の戦いが始まった。
サンソルジャーはガンマに真っ直ぐ突っ込む。
ガンマは狙いを付けてサンソルジャーに射撃する。
サンソルジャーは盾で銃弾を防ぎ、槍で一突き入れる。
ガンマは体勢を整えると後方へジャンプして岩場の頂点に着地する。
サンソルジャーはジャンプをして岩山を登って行く。
サンソルジャーが岩山を登りきった瞬間、ガンマは狙撃を始めた。
「これでどうだ!」
「まだだ!」
ヤマトは必死で操作する。
サンソルジャーは盾で銃弾を防ぎながら接近し、ガンマを突き飛ばした。
ガンマは地面に落下して行き、サンソルジャーは後を追って飛び降りる。
槍がガンマの頭を突き飛ばし、更に縦に振り下ろして地面に叩き付ける。
フラフラ起き上がるガンマの胸をサンソルジャーの槍が突き飛ばし、大きく振った槍がガンマを吹っ飛ばした。
ガンマはオブジェクトの木に叩き付けられ、地面に倒れ伏せた。
ガンマの体から光が弾け飛び、粒子が辺りをキラキラと舞った。
「あっちゃー、ダウンフェイズかー」
ダウンフェイズとはカスタムソルジャーの機能停止のことで、この状態になると一旦PCDの電源を落として電波を遮断しなければ一切起動しなくなる。
個人の軽い練習等に使われる制度で、ある程度のダメージで発動するようになっている。
「すごいなぁヤマトは」
「確か、実践は初めてよね?」
カジオはヤマトに感心し、アムはヤマトに尋ねた。
ヤマトは今日まで自分の機体を持っていなかったため、まともにカスタムソルジャーを操作したことがなかった。
せいぜいカジオに貸して貰ってちょっと操作しただけだ。
「うん。何だかサンソルジャーと一つになったみたいなんだ」
ヤマトはサンソルジャーを操作して自分の肩に乗せる。
カスタムソルジャーはGキューブの外では武器を使うことは出来ないが、外でも移動することは出来る。
ヤマトは改めてサンソルジャーを見つめた。
その性能の高さにヤマトは驚き、同時に気持ちが高揚していた。
「もっと、強くなりたいな。サンソルジャーをもっと上手に使えるように」
「あら、ヤマトにしては前向きね」
「テンション上がってるねー」
アムとカジオのからかいにヤマトは気恥ずかしくなった。
そもそもヤマトは人にあれこれ提案する人間ではないのだ。
今日はサンソルジャーが手に入った喜びで舞い上がっていたのだ。
その時
「俺様にそいつを譲ってもらうぜ!」
何者かの声が響いた。