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カスタムソルジャー  作者: バームクーヘン
第3章 雷帝降臨
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第18話 銀河を統べる女帝

「ここがWシティ…!」


ヤマトは空港から出ると走り出して、町並みを見渡した。

ビルやが建ち並び、バスや車が道路を行き交っている。


アスカがキャリーバッグを引きずってヤマトの隣に立つ。


「ここがWシティ。世界でも有数の大都会で、カスタムソルジャー世界大会の開催地」


「いよいよ始まるんですね。僕らの戦いが」


「敬語」


アスカに言われ、ヤマトは口ごもる。

そして、抗議を始める。



「で、でもこれは僕の普段の話し方で」


「友達には敬語じゃないでしょ。私にもタメ口でいいのに」


「アスカは、その、友達じゃなくて」


「えっ……」


アスカは心臓が飛び上がりそうになる。それって、つまり……



「大切な仲間というか、パートナーというか」


アスカはガックシと肩を下ろす。

まぁ、大方そんなものだろうと予想はしていた。

気を取り直してPCDを取り出す。


アスカのPCDは携帯電話と同じ機能を持っており、普段から携帯として使っている。

ヤマトもブラスター・ウイングに代わって以来同じ使い方をしている。


地図やら時刻表を見ると、今日の予定を話し始めた。



「じゃあ、今からバスでセレモニーの会場に行くわよ………所で、お友達はどうなったの?観戦しに来るって言ってたらしいけど」


「ラフレさんの自家用機に乗って遅れて来るそうです」


「そう……じゃあ、バス停に行きましょうか」


アスカの後ろに付いて行き、ヤマトはバス停を目指した。






場所は代わってホテルの大会場。

ここでは明日開かれる世界大会の出場者を招待しての豪華セレモニーが開かれていた。


ヤマトは会場にいる人達を次々と眺めていく。


「すごい、皆ロボマガやテレビで見た人ばっかりだ」


「貴方は、これからそんな人達と戦うのよ………大丈夫、今までずっと練習してきたじゃない。全力でいけば勝てるわよ」


ヤマトは今までの日々を思い出す。

アスカと一緒に戦うことを約束して以来、ずっとカスタムソルジャーの特訓を続けて来た。


雨の日も晴れの日もずっとアスカとカスタムソルジャーの調整や作戦を話し合ってきた。


そして、そんな日々の中で思ったことがある。

それをアスカに言わなければ。


「あの、アスカ。お願いがあるんだけど」



バン!と音を立てて扉が開かれた。

会場にいる全員がそこに注目した。


五人の集まりが揃って会場に入って来る。

五人は年齢や性別に統率がなく、一見何の集団か分からない。


集団の先頭に立って皆を引き連れている女性は、白い肌に長い金髪が輝く美しい容姿をしていた。

その漆黒と純白の映えたゴシックドレスは気品ある雰囲気を醸し出していた。



「おい、あれ」

「ああ、チャンピオンとベストナンバーの奴らだ」

「相変わらず何だこの空気は…」


ザワザワと噂が飛び交う。

そしてヤマトは、これらのざわめきと自分の記憶から確信する。



「アスカ。あの人が……」


「ええ。あれが……エクレール・テロメア。貴方が倒さなければならない頂点よ」


エクレールは会場のざわめきを無視しながら歩く。

しかし、急に歩みを止めると向きを変えて進み始める。

後ろに付いて来ている人達も、その後に付いていく。


エクレールは周囲の連中を無視しながら歩き、アスカの目の前に立った。

姉妹は二人で睨み合う。


しかし、エクレールはアスカの顔を見てフッと笑った。



「久しぶりねアスカ。お姉ちゃん淋しかったのよ?」


「……姉さん」


エクレールはアスカの隣にいるヤマトに目を向ける。

そしてクスクスと笑みを浮かべる。


「貴方がアスカが選んだ子ね。何だか予感がしてたのよ」


そして、改めて二人を見る。

特に、ヤマトとアスカの身長差を重点的に。


「……アスカ、お姉ちゃん知らなかったわ。貴女にそんな趣味があったなんて………」


「違う!ちっこいから選んだんじゃない!!」


アスカは顔を真っ赤にして否定する。

ヤマトは苦笑いしながら姉妹を眺める。



本当に仲が悪いのだろうか………?

アスカの話を聞いて二人の仲は悪いと思っていたが、カスタムソルジャーの確執が無ければ案外仲良し姉妹なのかもしれない。


「まぁ冗談は置いといて……」


エクレールは改めてヤマトを見つめ、そして………

瞳を虹色に輝かせ、Gサイトを発動させた。


Gサイトが共鳴し、ヤマトの瞳も虹色に輝く。

ヤマトはその重圧感に押し潰されそうになるが、何とか踏み止まって堪え切る。

流れ出る冷や汗を拭って、エクレールを見つめ直す。


エクレールはそれを見てフッと笑った。


「……いい目をしている」


踵を返し、振り返って帰ろうとする。

そして、二人に声を掛けた。


「じゃあねアスカ。楽しみにしてるわよ、翼ヤマト君」


エクレールと一緒にいた人達も、ヤマトに声を掛けて去っていく。



「…また会おう」

「……………勝負」

「では、妹共々お待ちしています」

「じゃ、まったねー」




「……大丈夫?」


アスカは疲労で座り込んだままのヤマトに声を掛けた。

エクレールの力にあてられて相当疲れているようだ。


先の一件で注目を集めてしまい、なんだか居づらくなってしまった。


「立てる?」


「うん………」


ヤマトはアスカに支えられながら会場を出て行った。





すっかり暗くなり、ネオンや建物の明かりで照らされた夜道を二人で歩いて行く。

ヤマトはアスカに話し掛けた。


「エクレールさん………何だか、凄い気迫みたいなのを感じた。押し潰されそうになる感じ…」


「間違いなく、彼女が世界でもっとも強いわ……Gサイトも、カスタムソルジャーの実力も、世界一の力を持ってる」


「そんな人に勝たなきゃいけないんだね」


アスカはヤマトが弱気になっていないか心配したが、杞憂に終わった。

ヤマトの顔には、不安などかけらも無かった。

ただ、強い相手と戦える楽しみが浮き出ていた。



「貴方なら大丈夫よ。絶対に勝てる」


アスカは心からそう思った。

この、常にカスタムソルジャーと正面から向き合い楽しむ心があれば大丈夫だと。


次の瞬間、二人の前にGキューブが現れた。


「な、何!?」


ヤマトは突然の事態に驚く。

アスカも驚いている。



「これは、Gカプセル!?」


アスカはこの突然現れたGキューブのことを知っているらしい。


「これは一体……?」


「Gカプセル……簡単に言うと持ち運び出来るGキューブね。普段は小型カプセルの形状をしてるの」


アスカの説明を受けてヤマトは納得し、疑問に思った。


「でもそんなの聞いたことないよ?」


「まだ設計途中なのよ。だから市場にも出回ってないし公表もされてないわ」


そこまで言った所で、黒服の男達が二人を囲んだ。

七、八人はいる。


アスカは黒服達に尋ねた。


「姉さんの差し金?」


「そこはもっとリアクションが欲しいわー」


奥からエクレールが歩いて来た。

うっすらと笑いながら二人を見つめる。



「何が目的?」


アスカがエクレールに質問する。

ろくでもないことには違いないだろう。


「ヤマト君のGサイトが見たいの。あと、アスカのも気になるわね」


ニコニコ笑いながら目的を告げる。


アスカはその発言に顔をしかめる。


「Gサイトだけ?機体や実力はどうでもいいのかしら?」


「ええ、大事なのはGサイトだけでしょ?」


エクレールは曇りの無い笑顔で言い放つ。

ヤマトは本能的にその違和感を感じ取る。


「Gサイトに魅了されてる……?」


「分かってくれて嬉しいわ」


ヤマトの意見をアスカが肯定する。

そして、淋しげにエクレールを見た。



「………昔は純粋にカスタムソルジャーを楽しむ人だった。今じゃ見る影もないけどね」


アスカはエクレールの現状を嘆いた。もしかしたら、もしかしたらと思ったが姉は元通りになる所かむしろ悪化していた。



「さぁ、そろそろ彼らと戦って貰うわよ。勿論、皆Gサイトの持ち主よ」


エクレールが指を鳴らすと黒服達が一斉にガンマとドゥルーを取り出した。

ヤマト達が身構えると、ブラスター・ウイングとマグナ・オーバーロードが鞄から飛び出して二人の肩に乗る。


黒服達の付けているサングラスの奥の瞳が虹色に輝く。

ヤマトはGサイトを発動させ、その違和感に気付いた。


「…?何だか反応が弱い」


「彼らより私達のGサイトの方が遥かに強い証拠よ。私達ならすぐに勝てる」


そして、エクレールが鑑賞する中ファイトが始まった。



「ブラスター・ウイング!」

「マグナ・オーバーロード!」


全てのカスタムソルジャーがフィールドに降り立つ。

フィールドは西部ジオラマ。

昔の空気が漂うウエスタンなフィールドだ。


「頼んだよ、ブラスター・ウイング!」


ヤマトの掛け声に反応し、ブラスター・ウイングの瞳が輝く。

一斉に襲って来るガンマの剣を流れる様な動作でかわし、ビームジャベリンで切り付けていく。


怒涛のラッシュで押し切り、一体のガンマの上に馬乗りになると胸にビームジャベリンを突き刺す。

そして、動かなくなったガンマの首を掴むと盾代わりにして剣を防ぎ、手に持ったガンマを投げ捨てながら敵を蹴っ飛ばした。


それを見ていたエクレールはクスクス笑いながら呟いた。


「あらあら、かわいい顔して攻撃的ね」



マグナ・オーバーロードとドゥルーが同時に大型銃を構える。

しかしドゥルーの方が先に発砲し、マグナ・オーバーロードは銃を撃たない。


直撃するかと思われた銃弾はさっきブラスター・ウイングが蹴っ飛ばしたガンマに命中し、その隙にマグナ・オーバーロードが発砲してドゥルーに直撃する。


そして、空を飛んで撹乱させながら別のドゥルーに接近し、両手クナイで何度も切り裂く。

ボロボロになったドゥルーの頭を掴むとそのまま飛行する。



ブラスター・ウイングがガンマを何度も切り裂くとビームジャベリンを思いっ切り突き刺した。

すると、そこにマグナ・オーバーロードが飛んできて握っていたドゥルーをガンマ突き刺さっているのと逆側の刃に突き刺すよう叩き付けた。


そして、両側に突き刺さっているロボを振り飛ばした。

二体のロボはこちらを狙っていた二機の狙撃型ガンマの銃弾に命中して爆散する。


マグナ・オーバーロードが背後から接近してビームサーベルでガンマを真っ二つにしていく。



残るガンマとドゥルーの二機は、建物の中に逃げ込んだ。

これでは外からでは二機の様子が分からない。


ヤマトとアスカはGサイトを使って二機の行動を予知する。

すると、アスカは素早くマグナ・オーバーロードをブラスター・ウイングの前に移動させる。


スペリオルアクション《バスターショット》

スペリオルアクション《ダークスピア》


建物の窓から黄色い銃弾と黒いエネルギーランスが飛び出す。


スペリオルアクション《ブレード》


マグナ・オーバーロードが覇気を全身から放つと、背後にまるで化身のような者が現れる。

全身を赤い装甲で纏った機械戦士はマグナ・オーバーロードの動きに合わせて剣を突き出した。


化身の巨大な剣が二つの必殺技を打ち消し、化身の全身から発射された大量の剣が建物を消し飛ばした。

ガンマとドゥルーは逃げ出して避難する。



「ヤマト!」

「分かった!」


二人はGサイトを使って意思の疎通をする。

今のはエネルギーを節約して出した技だから二人の同時攻撃で決めよう、と。


ガンマとドゥルーは走り続けていたが、突然動きが鈍って激突した。


二機のプレイヤーの黒服は、目を押さえてフラフラしていた。

もうGサイトを維持する体力が残っていないのだ。


二人は同時に宣言した。



「必殺アクション!」


スペリオルアクション《ライトニンググングニル》

スペリオルアクション《ブレイジングエクスカリバー》


二機が同時に武器を回転させ、雷と炎がフィールド中から集まる。

その雷と炎に包まれ、ガンマとドゥルーは全く動けなくなる。


同時に浮き上がると同じく集まったエネルギーの集合体の球体を作り出し、必殺技を発動する。


雷と炎の力を帯びたブラスター・ウイングとマグナ・オーバーロードが高速で突っ込み、ガンマとドゥルーを貫いた。


ビームジャベリンと両手クナイを振って構えると同時に両機の背後で爆発が起こる。




決着が付くと、エクレールはさっさと黒服達を帰らせた。


ヤマトは不思議に思ってアスカに耳打ちした。


「どうしてあの人達はエクレールさんの言うことを聞いてたの?」


「彼らは弱いけどGサイトの持ち主だから………姉さんの強すぎるGサイトにやられて軽い心酔状態に陥っていたのよ」


ヤマトは改めてGサイトを恐ろしく思った。

そんなことが出来るなんて……


アスカは続けて話す。


「だから、貴方のGサイトが完全に目覚めるまで私は出来るだけ傍観をしていたのよ……目立ったら姉さんが貴方を狙って来るから」



「そうよ。こんな素晴らしい子今すぐ欲しいくらいなんだから」


エクレールが二人の前に立つ。

そして、拍手をしながら二人を見る。


「さっきのファイトは見事だったわ。流石はアダムとイヴと言った所かしら?」


「ヤマトなら、もう貴女の言いなりにはならないわよ」


アスカはヤマトとエクレールの間に割り込んで身を持ってヤマトを守る。

エクレールはそれを見てクスクス笑った。



「まだ方法はあるじゃない。カスタムソルジャーで、ヤマト君を屈服させるって方法が」


「カスタムソルジャーはそんなことをする為にあるんじゃない!」


エクレールの発言に珍しくヤマトが怒る。

アスカも一緒にエクレールと対峙する。


エクレールを肩を竦めてため息をつく。


「分からず屋ねぇ……ま、今日はこの辺で勘弁してあげる。また会いましょう、二人とも」


エクレールは瞳を虹色に輝かせると、踵を返して去って行った。


ヤマトとアスカは掛ける言葉が見つからず、黙って見送ることしか出来なかった。

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