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カスタムソルジャー  作者: バームクーヘン
第2章 炎翼銀眼
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第10話 ブラスター・ウイング

あれから数日が経ち、いよいよ全国大会が始まった。

ヤマトもトーキョー代表として参加している。


アムはカジオ達と一緒に観客席から大会を観戦していた。



「ヤマト、大丈夫かしら?」


「あれから、一度も顔見せてないよね」


カジオは不安気な顔をしている。

ゴン太郎はウーンと唸る。


「いくらヤマトでも、大してカスタムしていない市販の量産機で勝ち抜くのは無理だろうな」


「あーもーどうするんだよ!」


カジオは頭をバリボリ掻きながら嘆く。

アムは両手をギュッと握り締めた。


「あー!」

「ヤマトだー!」


ネジスケとパナスケが指を指す。

その先にはGキューブに向かって歩いているヤマトがいた。


いよいよヤマトの一回戦が始まろうとしていた。


「ヤマトー!頑張れー!!」


カジオが声を張り上げて応援する。

しかし、ヤマトは何の反応も無かった。


「あれ?」


「聞こえなかったんじゃないのか?」


ゴン太郎がカジオに話し掛ける。

確かにこの盛り上がりの中では、カジオの声が伝わらなくても不思議ではない。




ただ、ヤマトはその時別の事を考えていた。


結局、今持って来たのはアスカから譲り受けた機体、ブラスター・ウイングだ。


しかし、迷いが無かった訳ではない。

いきなり自分がこんな高性能のロボを使えるのだろうかとも思った。


念のため当初の予定通り、ショップでガンマを買って家に帰った。


部屋に入り、ブラスター・ウイングを机に置くとガンマを取り出した。


「とりあえず、ガンマを使ってみるかな」


そして、ガンマを操作しようとした瞬間、


ブラスター・ウイングがガンマの首を掴み、床へ叩き付け始めた。


「……あっ、やめて!」


ヤマトは止めようとしたが、ブラスター・ウイングは飛び上がりガンマを地面へぶん投げた。


整備も無しに何度も攻撃されたせいで、ガンマは無惨にもボロボロに壊れてしまった。


ヤマトはブラスター・ウイングを使うしかない、と思いながら機体を手にした。

同時に、恐ろしくもなった。


「もう………お前を使わないと許されないんだよね」





「おい、ビビってんのか?」


対戦相手がヤマトを挑発する。

ヤマトは慌ててGキューブの前に立つ。


「俺は優勝目指してんだ。お前みたいなチビに構ってられないんだよ!」


対戦相手はヤマトを見下しながら笑う。

そして、自分の機体を出した。


「行け、ガンマァ!」


カスタマイズされたガンマがフィールドに降り立つ。

装甲や重量が付け加えられ、通常のガンマよりも何倍も重くなっている。


チェーン付きのハンマーを振り回し、威嚇を始める。


「さぁ、お前の機体を出しなぁ! ぶっ壊してやらぁ!」



カジオはオロオロする。


「ヤマト、大丈夫かな?」


ゴン太郎が顔をしかめて答える。


「全国大会からは、ダウンフェイズが滅多に怒らなくなるアルティメットルールだからな……」


アルティメットルールとは全国大会や世界大会に適用されているルールで、ダウンフェイズが限界まで起こらなくなるルールだ。


ダウンフェイズは機体が大破しないようなダメージで起きるよう設定されているが、アルティメットルールでは大破するギリギリに設定される。


そのため、相手の機体を大破することも許されているのだ。



「さあ掛かってきな! ぶっ壊してやる!」


ヤマトは躊躇ったが、やがて決心し新しい機体を発進させた。


「ブラスター・ウイング!」


ヤマトの操作により、ブラスター・ウイングがその姿を現した。


サンソルジャーが太陽のような輝きだったのに対し、ブラスター・ウイングは月のように光を受けて静かに輝く。





「な!?」


「何あれ!?」


カジオとアムは驚愕して身を乗り出した。

ヤマトがあんな機体を持っていたなんて聞いていない。




アム達の驚きを余所にファイトが始まった。


「ぶっ壊せ!」


ガンマは頭の上で鎖を何度か回すと、勢いを付けてブラスター・ウイングに投げ付けた。


ブラスター・ウイングはハンマーを飛んでかわした。

相手はそれに動揺する。


「そ、空を飛ぶだと!?」


ブラスター・ウイングは空中を飛び回りながらビームライフルを手に取った。


ハンマーを避けながら飛行し、ライフルをガンマに向けて発射する。


ビームが何発も命中し、ガンマの体から火花が散る。


「くそっ!」


ガンマは躍起になってハンマーを振り回す。

ブラスター・ウイングはハンマーを避けながらガンマに接近し、左腰からビームジャベリンを抜く。


前に突き出すと同時にビームの刃が飛び出し、両方にビームの刃を持つ武器になる。


ガンマの目の前に降り立つと素早くビームジャベリンを振ってガンマを切り付ける。


ガンマは抵抗出来ずに切り刻まれていく。


「くそっ! ふざけんな!」


ガンマは背中から銀色の斧を引き抜く。

そして、ブラスター・ウイングに振り下ろす。


ブラスター・ウイングはブースターを起動させて後ろに飛んで回避し、斧は地面に突き刺さる。


そのまま後ろに進む……かと思わせて、ブラスター・ウイングはガンマに急接近する。

ビームジャベリンがガンマの胸に突き刺さり、思い切り引き抜くとビームライフルを突き付ける。


銃口にエネルギーが溜まり、チャージしたエネルギーを発射する。


ガンマは吹っ飛んで地面を転がる。



ガンマは起き上がると、斧を構えた。


「くそっぶっ壊れろ!」


スペリオルアクション《ジャイアントアックス》


ガンマの持っていた斧が巨大化し、ブラスター・ウイングに振り下ろされる。


「必殺アクション!」


スペリオルアクション《シューティングサン》


ビームライフルの銃口にオレンジ色のエネルギーが急速に集まり、まばゆいばかりの輝きを放つ。

そして、溜まったエネルギーを斧目掛けて発射した。


大きなエネルギー弾は斧に当たり、爆発が起こる。

同時に、巨大な斧はバラバラに砕け散った。


「何!?」


相手が驚いている隙にブラスター・ウイングはビームを撃ちながら接近する。

ガンマの装甲がビームに当たった所から砕けていく。


ガンマはチェーンハンマーで押し返そうとするも、その鎖をブラスター・ウイングがビームジャベリンで切り裂いた。


ブラスター・ウイングはビームジャベリンを振ってガンマの右腕を切り落とすと、逆側の刃で胸に突き刺した。

膝蹴りをしてジャベリンを引き抜くと、チャージショットをガンマにぶち当てた。


爆煙の中、ブラスター・ウイングの碧の瞳が輝く。

ヤマトはトドメをさそうとする。


「これで終わりだ!」


スペリオルアクション《ライトニンググングニル》


ブラスター・ウイングはビームジャベリンをクルクル回しながら天に掲げる。

すると、フィールド全体から雷のエネルギーがブラスター・ウイングに向かって集まり始めた。


ガンマはその雷のエネルギーに当たり、ビリビリ痺れ出す。


「う、動けねぇ!?」


相手はPCDを必死に操作するが、雷を浴びているガンマは動くことなど出来ない。


ブラスター・ウイングはまるで浮かび上がるようにゆっくりと後方に高く飛ぶ。

すると雷のエネルギーがビームジャベリンから離れ、ブラスター・ウイングの前に球体となって集まる。


ブラスター・ウイングはその球体目掛けてビームジャベリンを突き刺した。


ビームジャベリンが雷の球体に触れた瞬間、ブラスター・ウイングは劇的に加速して自身が雷の槍になったかのようになる。

ライトニンググングニルは動けないガンマの胸に直撃し、雷と共に激しい爆発を起こす。



煙は晴れ、中から一体の戦士が現れた。

まだ薄暗い中、碧の瞳が静かに輝く。


ブラスター・ウイングはガンマの残骸を足蹴にするとヤマトの右肩に飛び乗った。



「勝者、翼ヤマト!」


審判がヤマトに手を向けファイトの結果を宣言する。


対戦相手はガックシとうなだれた。

あれだけの大口を叩いたにも関わらずにこの負けっぷり。恥ずかしくて堪らなかった。


ヤマトはファイトの終了と共にGキューブから立ち去った。

次のファイトに備えなければ。




「凄かったねー。ヤマトの試合!」


カジオはゴン太郎とアムに興奮しながら話し掛ける。

ゴン太郎も感心して頷いた。


「まさかヤマトがあんな最新鋭っぽい機体を持っていたなんてな」


「言ってくれたら良かったのにねー」


カジオとゴン太郎が浮ついた中、アムはどこか違和感を感じていた。




アスカはパーカーを被って目立たないようにしながら、客席で成り行きを見守っていた。

アスカにとっても先程のファイトに不満は無かった。


「Gサイト抜きでここまで………順調に成長してるわね」


アスカは僅かに笑みを零す。

そして、その瞳を虹色に輝かせた。

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