episode No.1 オザリナ大帝国
先代オザリナ帝国皇帝は穏やかで賢王ともよばれ、民に慕われており統治も上手くそれぞれのもつべきものを尊重し、優れた能力を持って円滑に国を運営していた。第一皇子リーニアスは先代に似ており賢く穏やかな皇子であった。
しかし、第二皇子ユークリナスはそんな父を愚王だと心の中で思っていた。何故手を伸ばせば手に入れられる領土や国を放置するのか、税を上げもっと軍事力に力を注ぎ手に入れぬのか。苛立ちは成長と共にユークリナスの中で膨らんでいく。
先王は兄弟仲良くと願っていたが、リーニアスは側室の子でありユークリナスは王妃の子、派閥ができることをいくら賢王といえど避けられず又ユークリナスの心の内も内心気づいていた。
先王はユークリナスの改心をずっと待っていた。とうとうリーニアスが成人の儀をむかえ、それでもユークリナスの思考が変わることはなかった。先王は王妃の子であるユークリナスを皇太子とする事を良しとせず、第一皇子のリーニアスを皇太子とした。
王位継承の儀をむかえた日、貴族や民の歓声喜ぶ声、リーニアスの晴れ舞台、皆の笑顔…ユークリナスの中で派閥や考えが違えどリーニアスは優しき良き兄で愛する兄だったそれが愛が、憎悪変わってしまった。
そこは私の場所であったのにと。
ユークリナスはワーワーとまだ外は歓迎ムードの中フラフラと部屋に帰る。あれを使えば…派閥会でとある貴族から渡されたものがあった、禍々しく触るのも躊躇うそれは黒魔術を扱える杖だという。これがあればあるいは…。
「父上、兄上。」
お祭りムードのオザリナ帝国に雲がかかり、雷がなる。
「えーもうお祭り終わり?」
「この雨じゃ無理よ早くお入り。」
晴天から空気が変わり人々が散らばっていく。貴族連中はまだパーティの最中。
「ふふふっふはははっ」
「オザリナ・テオ・マーズ・ユークリナス皇帝の戴冠式になるぞ!オザリナ大帝国の初まりだ。」
ユークリナスは先王に続き、皇太子、側室、母である王妃に続き敵対する貴族を皆殺しにし王座に座って泣きながら笑っていた。
____
_____
________
「はぁっはぁはぁ」
今のは夢?!息苦しい…。
「どうしたのリーナ?」
「はぁうえっ!」
父らしき男を初めて見てからわたくしは2歳になった。あれから一度も顔を見ていない。オザリナ大帝国第九女カタリーナ皇女これが今のわたくし。
「おそろしいゆめをみました…。」
「あらあらっ」
わたくしは怖くて母上に抱きついた。相変わらず母上は足枷と鎖に繋がれたまま首輪の様なものまでも…。
「ちぃうえのゆめをみました。」
「陛下の?夢?」
「はい、ちぃうえがたくさんのひとをころしてしまうゆめでした。こあかったです!」
「なんてこと…もう魔力が…。」
母上はわたくしを強く強く抱きしめ涙を浮かべた。ああ…そうかやっぱり夢じゃないのね。
「はぁうえまふうじします。」
「大丈夫よ、リーナ私がやるわ。」
「はぁうえはせいめいりょくをけずってまりょくをしなきゃなので、わたくしがやります!」
わたくしは前世では魔法を使えていた気がする。成人まで生きられなかったけれどね。
「うぐぐぐっ」
「あらまあっそれは違うわリーナ、
私たち妖精族は大気マナを使うの。」
「たいきまなですか?」
「そう、人間はね体内マナを使って魔法を使うのだけれどね?私たち妖精やエルフや古来からの長命種は皆大気マナを使うのよ。」
前のわたくしは誰かに聞いたことがあった。体内マナは体内の魔力を使い、大気マナは大地や空気、植物自然界の色んなものから分けてもらうのよね…。
「はぁうえ、おまどあけていいですか?」
「そうね、空けましょうか。」
「わぁすずしー。」
母上とわたくしはこの部屋とお隣りの部屋から出たことがない、扉は閉ざされたまま、窓にも鉄格子が存在する。いたる所に魔法陣が書いてあって本当にどこにも行けない。バスルームやお手洗いが付いていても、何不自由なく出てくる食事があっても籠の鳥でしかない。
「お空の力を借りましょうね、さぁリーナおそとに温かいものがあるのが分かる?」
目を閉じ、手を組みながら祈る。
「はい、わかります。」
「息をするように身体に取り入れるのよ。力をいれないで、そう、いい感じよ。」
ふぅふぅお腹が温かい。
正解か、不正解かは分からないけれど、母上には伝えておくべき事がある。
「はぁうえ、おつたえしたいことあります。」




