表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
8/60

1月7日 ヒヤシンス(赤)

真紅のヒヤシンス。それは、高校三年生、蒼井遥が彼からもらった高校生活最後のプレゼントだった。卒業式の日、教室の片隅で、照れくさそうに渡されたそれは、遥の胸に温かいけれど、どこか切ない感情を残した。


彼、神崎拓実は、遥にとって初めての恋であり恋人でもあった。彼の優しさ、少し不器用な笑顔、そして何よりも、彼の絵を描く腕に惹かれた遥は、一年間、彼の恋人として、幸せな時間を過ごした。しかし、拓実は卒業後、美術大学のある東京へ進学する。遥も東京にはいくが、拓実が通う芸術大学からはかなり遠い、美術大学に進学するための予備校に通う予定となっていた。遠く離れた場所で、予定も合わないような状況で、二人の恋はうまくいくのだろうか、という不安が遥の心を締め付けていた。


彼がくれたヒヤシンスは、彼が芸術大学を入学するための試験の絵を描くためのモチーフになった花だった。鮮やかな赤は、彼と過ごした日々を、そして未来への希望を象徴しているようだが、遥は寂しさを感じた。卒業式の日の帰り道、遥は拓実から電話を受けた。「遥、俺、東京で頑張る。だから、君もね。いつか、またこの花のように、鮮やかに再会しよう」。彼の寂しさなどで少し震える声が、遥の心に深く響いた。


東京での1人での予備校生活は想像以上に厳しく、寂しさも募った。それでも、机の上には、いつも彼の描いたヒヤシンスの絵と、本物のドライフラワーに加工した、彼からもらった赤いヒヤシンスが置かれていた。それは、彼が遠くから、遥を応援してくれている証だった。電話も遥からも、拓実からも頻繁にかけて互いの様子を話し合った。


一年後、遥は拓実が通っている芸術大学の近くにある東京の美術大学を受験し、見事合格した。合格通知を手に、彼女は再び赤いヒヤシンスのドライフラワーを手に取った。その鮮やかな赤は、もはや寂しさの色ではなく、未来への希望と、再び彼と出会う喜びで輝いていた。


遥は拓実に美術大学に合格したことを電話で報告した。電話越しに、彼の声が聞こえた気がした。「遥、無事に合格することを待っていたよ」。合格したお祝いに卒業式以来の二人でデートをすることにした。二人は鮮やかに咲き誇るヒヤシンスのように、再会を果たす。











1月7日

誕生花:ヒヤシンス(赤)

花言葉:嫉妬

科・属: キジカクシ科・ヒアシンス属

和名・別名: 風信子






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ