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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
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2月24日 サクラソウ

春の陽射しが、まだ少し冷たい頬を撫でる。誠子は、丘の上のサクラソウ畑で、一人佇んでいた。鮮やかなピンクや白の花々が、風に揺られて優しく囁く。誠子は、毎年この場所で、彼を待っている。


彼、亮とは、高校時代の同級生であった。誠子は、亮の温かくて少し照れくさそうな笑顔に、いつも胸を締め付けられていた。卒業後、亮は東京の大学へ進学。遠距離恋愛は想像以上に辛く、何度も別れを告げようとした。けれど、亮からの「サクラソウのように、春になったら必ず君に会いに行く。」という、少し照れくさいメールが、誠子を繋ぎ止めていた。


二人が高校時代に初めて出会ったのは、図書館だった。亮は、誠子がよく利用していた隅っこの席で、静かに本を読んでいた。彼は、科学や歴史に興味を持っていて、特に星空の観測が好きだった。誠子は、亮が時折見せる夢中な表情に、魅了されていった。彼の語る宇宙の話や、星々の神秘に、誠子は引き込まれるようになった。


約束のサクラソウの季節。亮からの連絡は、いつも直前だった。今年は、例年よりサクラソウの開花が早く、誠子は不安に駆られていた。もう来ないのじゃないか、と。彼女の心には、亮との遠距離恋愛の辛さや、彼の忙しい大学生活に対する不安が募っていた。


丘の上で、誠子は一人、涙を堪えていた。風が、サクラソウの香りを運んでくる。その時、背後から優しい声が聞こえた。「誠子…」。振り返ると、そこにいたのは、少し日焼けした顔で、少し大人びた亮だった。


亮は、東京での生活を懸命にこなしていた。彼は大学の勉強だけでなく、アルバイトやインターンシップにも取り組んでいた。そんな多忙な日々の中でも、誠子への気持ちは変わらなかった。彼の携帯電話の待ち受け画面には、誠子と一緒に撮った桜の花の写真が飾られていた。


「ごめん、来るのが遅くなってしまって。」亮は、少し照れくさそうに笑った。手に持っていたのは、誠子の大好きな、白とピンクのサクラソウの束だった。「毎年、サクラソウのように、君に会いに来ているよ。」彼はそう言って、花束を誠子に渡した。


誠子は、涙をこぼしながら、亮の胸に飛び込んだ。彼の温かい腕に抱かれ、誠子は、この春の喜びを、全身で感じた。彼女の不安や辛さは、亮の温かさで溶けていった。サクラソウの花びらのように、繊細で、そして、力強い愛が、二人の心を繋いでいた。











2月24日

誕生花:サクラソウ

花言葉:初恋

    純潔

    希望

    可愛い

科・属:サクラソウ科・サクラソウ属

和名・別名:桜草

      日本桜草






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