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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
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2月22日 ローダンセ

ローダンセの香りが、夏の陽射しに揺られていた。海辺のカフェで、私は彼、海斗と向かい合っていた。彼の瞳には、いつもと違う何かが宿っていた。少し翳り、そして、深い愛情。


私たちは小学校に入学する時に、彼が引っ越してきて以来の幼馴染だ。いつも一緒にいたけれど、恋心を自覚したのはつい最近のことである。海斗の転勤が決まったと聞いた時、心臓が締め付けられるような感覚に襲われたのだった。この気持ちを伝えなければ、後悔するだろうと。


「海斗…」 震える声で、彼の名前を呼んだ。自分の声が、波の音にかき消されそうなほど小さく、しかし、それ以上に震えていた。心の中で何度も練習した告白の言葉が、うまく出てこない。この瞬間に、全ての勇気が試されているように感じた。


そのような私の様子を見て、海斗は静かに私の手を握ってくれた。彼の温かい掌の感触が、私の不安を少し和らげてくれた。その温かさが、私の心の奥にある不安を溶かしていくようだった。


「実は…」と彼は口を開き、深呼吸をした。「俺は、昔からずっと君が好きだった。一緒にいたい。だから、俺と一緒に、新しい町で…新しい生活を始めないか?」


彼の言葉に、涙が溢れてきた。心臓がドキドキと高鳴り、身体中に感情が波のように押し寄せてきた。その波は私を飲み込み、彼の言葉が心に響くたびに、涙が止まらなくなった。


ローダンセの香りが、更に甘く感じられた。それは、喜びと幸福の香りだった。海斗の提案に、即座に頷いた。心の中にあった迷いや不安は、一瞬にして吹き飛んだ。彼と一緒にいること、それが私にとって一番大切なことだと気付いた。


転勤の日、空港に向かう車中。窓から見えるローダンセ畑が、風にそよいでいた。海斗は私の手を握りしめ、力強く言った。「君と一緒なら、どんな場所でも大丈夫だ。」


新しい町は、海辺の町とは少し違った雰囲気を持っていた。でも、海斗が隣にいてくれる限り、どんな困難も乗り越えられる気がした。ローダンセの種を、庭に植えた。いつか、この町でも、あの時と同じように、甘い香りが風に運ばれるように。そして、私たちは、ローダンセのように、強く、美しく、一緒に咲いていこうと誓った。











2月22日

誕生花:ローダンセ

花言葉:情に厚い

    飛翔

科・属:キク科・ローダンテ属

和名・別名:広葉の花簪

      ヒロハノハナカンザシ






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