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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
53/60

2月20日 カルミア

真紅のカルミアの花言葉は「野心」「大きな希望」。その花束を抱えたまま、京子は彼、雄介のマンションの前に立っていた。付き合って3年。そろそろ、と京子は思ったのだ。結婚の話、指輪の話、未来の話。


インターホンを押す指が震える。心臓が高鳴り、手汗がにじむ。雄介は、いつも通りの優しい笑顔でドアを開けてくれた。しかし、京子の緊張は解けない。カルミアの鮮やかな赤が、二人の関係の脆さを映し出すかのようだった。


「京子?どうしたの。」雄介は花束に目を留め、「その花綺麗だね。」と呟いた。その言葉は、京子の心を深く刺した。綺麗だと、それだけ。結婚の話や未来への展望は、一切ない。心の中で、京子は自問自答した。「このままでいいのか、私はどうしたいのか。」


京子は深呼吸をして、用意していた言葉を口にした。「雄介、私達、そろそろ結婚しよう。」沈黙が二人を包む。京子の心臓は、今にも飛び出しそうだった。彼の答えを待つ間、無限にも思える瞬間が過ぎた。


雄介は、ゆっくりと目をつむり、そして大きく息を吸った。「京子。ごめん。まだ、そういう話をする準備ができていない。」


言葉に詰まる雄介。その言葉は、京子の耳に冷たい風のように感じた。彼の優しさの裏に隠された、漠然とした不安と、将来への具体的なビジョンがないことを悟った。涙がこぼれそうになるのを必死で堪えながら、京子は心の中で叫んだ。「なぜ、私たちはこうなったのだろう?」


カルミアの赤は、今や、京子の涙の色と重なって見えた。「わかった。」と、京子は絞り出すように言った。花束をそっと地面に置いた。真紅のカルミアは、今にも枯れてしまいそうなほど、虚しく揺れていた。


京子は、雄介の優しさに甘えていた、自分の甘さを痛感した。そして、二人の関係に、大きな希望ではなく、現実的な覚悟が足りなかったことを痛感した。彼の優しさに包まれた日々は、今や遠い昔のように感じられた。


踵を返し、京子は去っていった。残されたカルミアは、夕闇に染まる街灯の下で、静かに、そして力強く、その存在を主張していた。京子は、心の中で新たな決意を固めた。「これからは、自分自身の幸せを見つけるために生きる。」











2月20日

誕生花:カルミア

花言葉:優美な女性

    大きな希望

    にぎやかな家庭

    さわやかな笑顔

    大志を抱く

    野心

科・属:ツツジ科・カルミア属

和名・別名:アメリカシャクナゲ

      ハナガサシャクナゲ

      アメリカン・ローレル






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