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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
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2月18日 リュウキンカ

春の陽射しが、まだ雪解けの残る山肌を優しく温めていた。その斜面には、鮮やかな黄色のリュウキンカが群生し、まるで黄金の絨毯を敷き詰めたようだった。その輝く花々に目を奪われたのは、山菜採りに来た小百合だった。


小百合は、数年前まで都会で就職していたが、祖母が亡くなったのをきっかけに離職し、都会の喧騒を離れ、実家の山に戻って静かな日々を送っていた。それは、都会で疲弊した心を癒すためで、そして、亡き祖母との思い出を辿るためであった。リュウキンカの群生に惹かれ、近づいていくと、一人の男性がしゃがみこんで、リュウキンカを丁寧に撮影しているのに気がついた。


彼は、都会から来た写真家、信彦だった。リュウキンカの美しさに魅せられ、毎年この山を訪れているという。カメラを構える彼の真剣な眼差し、そして、リュウキンカに注ぐ優しいまなざしに、小百合は心を奪われた。


言葉を交わすうち、二人はすぐに打ち解けた。共通点がたくさんあったのだ。都会での生活経験があること、自然への思い、孤独を感じていること。気がつけば二人は、それぞれの抱える心の痛みを語り合っていた。信彦は、都会での過酷な仕事と孤独に疲れていた。写真で生きていくのは、とても厳しいにもかかわらず、周囲の人との関係が希薄で、助け合える人がいないのだ。小百合は、祖母の死を未だに受け入れられずにいた。


リュウキンカの黄金色の花びらは、二人の心を繋ぐ架け橋になった。夕暮れが迫る中、信彦は小百合に、リュウキンカをモチーフにした写真をプレゼントした。それは、彼が去年、この山で撮影した、山に沈む夕日と、黄金色のリュウキンカが織りなす、美しく幻想的な一枚だった。


その写真には、二人の未来が写し出されているような気がした。就職の時に都会に行った以外地元の山で生活してきた小百合と、生まれた時から都会で生活している信彦、異なる場所で生きてきた二人だが、リュウキンカの黄金色の輝きのように、互いの心を温めあい、互いの孤独を癒し、新たな未来を築いていける予感がした。リュウキンカの花言葉、「必ず来る幸福」が、二人の未来を祝福しているようだった。











2月18日

誕生花:リュウキンカ

花言葉:必ず来る幸福

    富

科・属:キンポウゲ科・リュウキンカ属

和名・別名:立金花

      流金花






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