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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
43/60

2月10日 ジンチョウゲ

春の陽射しが、まだ少し冷たい地面を温め始める頃。高校生の祥子は、通学路にある古い神社の境内で、一輪の白いジンチョウゲを見つけた。強い芳香に、思わず顔を近づける。その香りには、懐かしいような、どこか切ない記憶が混ざっている気がした。


祥子は、幼い頃、この神社で祖母に連れられてよく遊んだ。祖母は、ジンチョウゲの香りを嗅がせながら、優しい声を掛けてくれた。「この香りは、幸せを運んでくるのよ」と。祖母は一年前に亡くなり、祥子は今でもその喪失感に苦しんでいた。


ある日、神社でスケッチをしていた青年と出会う。彼の名前は、啓太郎。祥子と同じ高校生で、放課後になると、毎日、この神社に絵を描きに来ているのだという。穏やかな笑顔と、ジンチョウゲのような優しい香りがした。啓太郎も、この神社に幼い頃、祖母とよく来たのだという。その時に、啓太郎と祖母とで、ジンチョウゲをじっと見ていたのだという。二人は、ジンチョウゲの香りと、幼少期に祖母と訪れていたという記憶を媒介に、少しずつ打ち解けていった。


毎日神社で会っているうちに、日常的な会話だけでなく、困りごとなども話せるようになっていった。学校のこと、友達のこと、家族のこと、趣味のこと、最近はまっていることなど。そのうち、祥子は祖母との神社での思い出を、啓太郎に話した。その思い出を話すと、何も言わずに静かに受け止めてくれた。啓太郎も、神社での祖母との思い出を話した。しかし、祥子は祖母が亡くなったことは、まだ受け止め切れていないので、言えなかった。


啓太郎は、祥子の悲しみを察し、静かに寄り添ってくれた。祖母が話してくれた「幸せを運んでくる香り」という言葉が、祥子の心の中で、新たな意味を帯び始める。それは、失った悲しみを癒すだけでなく、新しい幸せへの導きでもあるのだと考え始めたのだ。


啓太郎と過ごす時間の中で、祥子は、祖母の温もりを、ジンチョウゲの香りに重ねて感じていた。そして、啓太郎の優しい眼差しの中に、未来への希望を見出した。春の陽光の中で、二人は手をつなぎ、神社の境内を歩く。ジンチョウゲの甘い香りが、二人の幸せを祝福するかのように、風に舞っていた。











2月10日

誕生花:ジンチョウゲ

花言葉:栄光

    勝利

    永遠

    不死

    不滅

科・属:ジンチョウゲ科・ジンチョウゲ属

和名・別名:ジンチョウゲ科・ジンチョウゲ属






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