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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
42/60

2月9日 ストック

凛とした紫色のストックの花束を抱え、穂乃花はカフェの窓際に座った。外は、冷たい雨が降っていた。待ち合わせは、午後三時。すでに五分過ぎている。彼は、今日の待ち合わせのカフェには、来ないかもしれない。そう確信しつつも、諦めきれずに、穂乃花はスマホを握りしめ、何度も画面を確認する。


彼、航太とは大学のサークルで出会った。少し遅れて、サークルに参加した彼女に、代表の代わりに、いろいろ教えたのがきっかけであった。優しくて、いつも笑顔で、周囲の様子をよく見ていて、穂乃花はすぐに彼の虜になった。付き合って半年。順調な日々だったはずなのに、最近は連絡が途絶えることが増え、彼の態度もどこかよそよそしくなっていた。


「僕たち、別れよう。」


その言葉が、彼の口から発せられるのを、穂乃花は想像しては、胸が締め付けられる思いだった。航太は、彼女にとって初めての恋だった。初めてのキス、初めてのデート、初めての全てが、彼との思い出で彩られていた。


三時十五分。彼はまだ来ないので、穂乃花は、半分諦めかけていた。30分になっても来ない場合は帰ろう、そう心に決めた。その時、カフェのドアが開き、雨に濡れた航太の姿が見えた。穂乃花は、思わず立ち上がろうとしたが、足が震えてうまく動かない。


「ごめん、遅れた。」


航太は、申し訳なさそうな顔で言った。そして、穂乃花の目の前に、紫のストックの花束を差し出した。


「これは、もしかしてストック?どうして?」


穂乃花は、少し震える声で尋ねた。ストックの花言葉は「豊かな愛」。航太は、穂乃花の瞳を見つめ、ゆっくりと口を開いた。


「僕は、ずっと、君と一緒にいたい。だから、君に、この花を贈ることにした。花言葉を好きな君なら、言葉でいうよりも、花で伝えるほうが、より伝わると思ったんだ。この気持ちを受け取ってくれるならば、この花束を受け取ってほしい。」


穂乃果は、その花束をそっと受け取った。雨は止んで、カフェの窓から、夕焼けが綺麗に見えた。穂乃花の頬には、涙が流れていた。それは、悲しみの涙ではなく、幸せの涙だった。航太の言葉と、紫のストックの花束が、彼女の心を温かく満たした。初めての恋は、まだ終わらない。











2月9日

誕生花:ストック

花言葉:愛の絆

    豊かな愛

科・属:アブラナ科・アラセイトウ属

和名・別名:アラセイトウ






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