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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
41/60

2月8日 ホトケノザ

春の陽射しが、まだ少し肌寒い地面を温め始める頃。高校三年生の、桜子はいつものように通学路脇の空き地で立ち止まった。そこには、鮮やかな紫色のホトケノザが群生していた。


桜子はホトケノザが好きだった。その控えめな美しさ、そして、雑草扱いされながらも強くたくましく咲く姿に、どこか共感していた。 彼女自身も、たいして目立たない存在だが、図太くいろいろなことができる存在だと感じていたからだ。


ある日、空き地でスケッチをしていた桜子は、同じようにホトケノザを眺めている少年に出会った。彼は、優しげな目元と、少し日焼けした肌をしていた。名前は譲治というらしい。彼は、桜子が通っている高校の近くにある、高校に通っている桜子と同じ3年生の生徒であった。


譲治は、桜子と同じようにホトケノザに惹かれているようで、二人は花について、そして、それぞれの好きなこと、将来の夢について語り合った。譲治は、ホテルで働くコックを夢見ているという。春の七草であるホトケノザと同じ名前でありながら、食用ではなく、そもそも分類が違うことから、ホトケノザに興味を持ったのだという。桜子は、彼の言葉に、自分の内に秘めていた小さな夢を思い出した。それは、いつか、たくさんの花を描いた絵本を出すことだった。


それからというもの、二人は毎日、高校での授業が終わってから、空き地でホトケノザを眺めながら会話を交わすようになった。春の陽光を浴び、ホトケノザの紫色に彩られた時間の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていった。


ある日、譲治は桜子に、小さな、丁寧に乾燥されたホトケノザの花束をプレゼントした。「この花束は、君の絵のモデルになれるかな?できたら絵本のモデルにしてほしいな。これを見て、僕のことを思い出してほしい。」と、彼は照れくさそうに言った。 桜子は、その花束と、譲治の温かい眼差しに、胸がいっぱいになった。ホトケノザのように、静かに、しかし力強く、二人の恋は芽生えていった。 卒業の季節が近づき、二人はそれぞれの進路へ進むことになるが、ホトケノザが咲くあの空き地は、二人の大切な思い出の場所として、いつまでも記憶に残るだろう。











2月8日

誕生花:ホトケノザ

花言葉:調和

    輝く心

科・属:シソ科・オドリコソウ属

和名・別名:サンガイクサ

      三階草

      ホトケノツヅレ

      仏の綴れ






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