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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
37/60

2月4日 ヒトリシズカ

静かな山里で暮らす、20歳の女性の静香は、山菜採りが得意だった。この山里で生まれ育った彼女は、幼い頃から山と親しみ、山菜の名前はほとんど全て知っていた。キノコも見れば食べられるものかどうかすぐに判断することができた。


そんな彼女が彼と出会ったのは、春先の山菜採りの最中だった。彼は、都会育ちで、都会での生活に疲れてこの山里に移住してきた、静香より少し年上の男性のである武志である。優しくて、おとなしくて、真面目すぎる彼は、人づきあいが苦手であった。人波にまじるのも苦手で、電車や、街中でも気分が悪くなることもあった。そのため、人があまりいないところに行きたくてこの山里に移住してきたのだという。


はじめは偶然の出会いだった。その後も、度々、人から離れたい武志と、山菜を取りに来た静香が山であった。そういうことを繰り返すうちに、二人で山に入るようになった。


武志は静香の生き生きとした山菜採りの姿に目を奪われた。都会では決して見られない、人と自然とが一体になったかのような静香の輝きに、武志は強く惹かれた。静香は武志の優しさに触れ、次第に心を開いていく。二人は山道を一緒に歩き、静香は武志に山菜の名前や、山の恵みについて語り、武志は静香の穏やかな笑顔に癒された。ほかの人といるときは常に気を張っているが、彼女といるときは、自然体でいることができるようになったのだ。


ある日、二人で深山に分け入った時、珍しい「ヒトリシズカ」という名前の花を見つけた。可憐な白い花は、まるで静香そのもののように美しく、武志は静香にその花を贈った。「君に会うまで、僕は一人だった。でも、君と出会って、心が満たされたんだ。今迄はずっとできなかったけど、あなたといると、自然体でいることもできるようになった。僕は、あなたに救われたんだ。ありがとう。」と、武志は静香に気持ちを伝えた。静香もまた、武志への想いを隠せないでいた。


ヒトリシズカの花言葉は「隠された美」「愛にこたえて」。彼らの恋は山里の静寂の中で、ゆっくりと、そして確実に育まれていった。山々が二人の愛を見守り、静かに祝福しているようだった。二人の未来は、まだ見ぬ山々の稜線のように、美しく、そして希望に満ち溢れていた。











2月4日

誕生花:ヒトリシズカ

花言葉:隠された美

    愛にこたえて

科・属:センリョウ科・チャラン属

和名・別名:一人静






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