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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
36/60

2月3日 セツブンソウ

節分の朝、凛とした空気の中、雪解けの兆しが現れ始めた山道に、咲耶は一人立っていた。目的は、セツブンソウを見つけること。毎年、節分にはこの山に、彼、修吾との約束を果たすためだ。


二人は高校時代に、部活で出会った。修吾は山岳部で、咲耶は写真部であった。修吾が撮影のため山に登る咲耶を、しばしば手伝ってくれた。その中で、互いに惹かれ合い、付き合うようになった。部活としても、恋人としても、一緒に山に登って、きれいな写真を撮ることが多かった。そういう時は必ず、修吾が登山の支えとなり、咲耶がたくさんの写真を撮り、最もいいものを二人で選んでいた。とても幸せな時間であった。


しかし、修吾は卒業後、山岳ガイドとして海外へ旅立った。咲耶は地元の写真館に就職し、二人は遠距離恋愛になってしまった。修吾が出発するときに、二人がした約束は、一年に一度、節分にセツブンソウが咲くこの山で会うことだけであった。この山は、初めて二人で登った山だったので、二人の心のよりどころであり、思い出の地であり、たくさんの思い出という名の宝がある山であった。


今年は、咲耶にとって特別な年だった。修吾からの連絡は途絶え、不安が募っていたからだ。修吾は、ガイドとして危険な山に行くことも会ったのだ。それでも咲耶は約束を守り、セツブンソウを探し求める。凍える指先でカメラを構え、白く可憐な花を捉える。その姿は、修吾との思い出と重なり、胸が締め付けられる。


ついに一輪のセツブンソウを見つけた時、背後から声がした。「咲耶。」 振り向くと、そこには、少し日焼けした顔で、笑顔の修吾が立っていた。


「ごめん、連絡を取ることができなくて。」修吾は少し照れくさそうに、そして真剣な眼差しで咲耶を見た。「詳しくは話せないけど、仕事でいろいろあったんだ。でも、節分にこの山で会うという約束は絶対に忘れないでいた。それは、セツブンソウだね。良かった。見つけることができたんだ。いつも通り、二人で写真撮ろう。」


咲耶は、涙をこらえきれずに、修吾に飛びついた。セツブンソウの白さと、二人の再会の喜びが、春の訪れを告げるように、山全体を包み込んだ。約束通り、今年も、二人はセツブンソウの下で、再会を果たしたのだ。











2月3日

誕生花:セツブンソウ

花言葉:微笑み

    光輝

科・属:キンポウゲ科・セツブンソウ属

和名・別名:節分草






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