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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
35/60

2月2日 パンジー

パンジーの花言葉は「私を思って」。その言葉が、まるで二人の関係を予言していたかのようだった。


高校三年生、雨音の響く教室で、私は彼と出会った。進級祝いの、窓辺に置かれた、紫色のパンジーの鉢植えが、私たちの最初の共通点だった。彼の名前は、健斗という。誰も世話していなかったので、私が水やりなどをしていた、そのパンジーを、気がついたら丁寧に世話していた優しい青年だった。


初めは、クラスメイトとして、ごく一般的な関係だった。パンジーの世話をするときや、放課後、同じバス停で待つ時間に、ごくごく些細な会話をするだけの関係。でも、彼の優しい眼差し、少し照れたような笑顔に、私の心は少しずつ惹かれていった。


ある日、彼が持っていたパンジーの苗を、私にプレゼントしてくれた。学校のパンジーを、世話している私を見て、家でも育て始めていたらしい。「君の笑顔が、この花に似ていると思ったから。大切にしてほしいな。」と、照れくさそうに言った彼の言葉に、私は心臓が飛び出るかと思った。顔が熱くなって、おそらく真っ赤になっていた。


それから私たちは、毎日パンジーのように、少しずつ距離を縮めていった。放課後、彼にもらったパンジーの苗を、学校のそばの公園に、許可をもらって、一緒に植えた。週末には、公園で二人並んで座り、咲いたパンジーを眺める。彼の温かい手と、私の手がたまたま触れ合う瞬間が、たまらなく幸せだった。


卒業式の日、彼は私に一輪のパンジーを贈ってくれた。紫色の花びらは、私たちの共有した時間、そして未来への希望に満ち溢れていた。「ずっと、君のことを想っている。いままで、たくさん一緒にいてくれてありがとう。できればこれからも会いたい。」と、彼は静かに言った。


その言葉と、彼の真剣な眼差しに、私は微笑みながらも、涙が溢れた。パンジーの花言葉「私を思って」は、私たちの未来を彩る、美しい誓いとなった。彼の温もりを感じながら、私は胸いっぱいの幸せに浸った。卒業後も、彼の温かい想いは、私をきっと照らし続けてくれるだろうと確信した。そして、私もまた、彼を、この世で一番美しいパンジーのように、ずっと愛し続けるのだと。











2月2日

誕生花:パンジー

花言葉:もの思い

    私を思って

科・属:スミレ科・スミレ属

和名・別名: 三色菫






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