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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
34/60

2月1日 ウメ

春の陽射しが、まだ冷たい土を温め始めた頃。僕は、ウメの木の下で彼女と出会った。彼女は、いつも白いマフラーを巻いていて、その姿は満開のウメの花のように清楚で、凛としていた。名前は、凛子と云う。


凛子は、シルエロという名前の園芸農家でアルバイトをしていた。その園芸農家は、代々彼女の家族が守り続けてきた、古い農地で、育てている植物のほとんどはウメであった。彼女によると、シルエロというのは、スペイン語でウメをあらわす単語らしい。シルエロを作ったときに手伝ってくれた人が、教えてくれて、その人に感謝してつけた名前だそうだ。シルエロは、見学だけは、一般の人にもできるようになっていた。


僕は、近所の大学に通う学生で、学部は農学部である。大学の授業の予習や、卒業論文の準備のために、休日の度に、シルエロに通っていた。凛とした佇まいと、淡いウメの香りに惹かれて。


彼女とは、最初は、ぎこちない会話から始まった。ウメの種類や、花の咲く時期、そして、僕の故郷の話。凛子は、言葉少なだが、その瞳には、実家の園芸農家への深い愛情が宿っていた。少しずつ、彼女の笑顔を見る機会が増え、僕は、彼女に惹かれていくのを感じた。


ある日、早朝にシルエロを訪れた僕は、凛子が一人で、枯れ枝を丁寧に剪定している姿を見かけた。その真剣な姿に、僕は思わず声をかけた。すると、凛子は少し驚いた表情を見せながらも、優しい笑顔で応えてくれた。


凛子は毎日、早朝から植物の手入れをしているのだという。シルエロが大好きだから守っていきたいというのだ。その日、初めて凛子の手を取った。気温が低いのに、手袋をしていない彼女の手が心配になって、彼女に声をかけて、両手で温めたのだ。彼女の手は、冷たくて、少しだけ震えていた。


「来年も、一緒にウメを見に来ませんか?僕にも、ここの植物を育てるお手伝いをさせてください。」


僕は、そんな言葉を口にした。凛子は、少しだけ頬を染めながら、静かに頷いた。ウメのつぼみは、まだ固く閉じられていたが、僕たちの未来は、春の陽射しのように、暖かく、希望に満ち溢れていた。 シルエロには、これから、僕たちの新しい物語が、静かに咲き始めるだろう。











2月1日

誕生花:ウメ

花言葉:不屈の精神

    高潔

科・属:バラ科・サクラ属

和名・別名:梅






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