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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
2月
33/60

2月 ウメ

春の陽射しが、まだ冷たい地面を温め始めた頃だった。高校三年生、小野悠真は、通学路のそばの道に咲く一輪のコウバイに目を奪われた。鮮やかな紅色は、雪解けの後の世界に、鮮烈な彩りを添えていた。それから毎日、回り道にはなるが、そこを通って学校に通うようになった。ある日、その梅の枝には、小さな紙が結ばれていた。そこには、ひらがなで「すきだよ」と、女の子らしいかわいい文字で、一筆書きで書かれていた。


悠真は、その言葉が誰からのものか分からなかった。誰宛のものかもわからなかった。そこには宛名も差出人も書かれていなかったからだ。コウバイの近くに、はっきりと存在感を示す少女はいなかった。クラスメイト?それとも、全く知らない人? 毎日、そのコウバイの下を通るたびに、悠真は紙切れに書かれた「すきだよ」という言葉と、その純粋な情熱を想像した。そして、想像しているうちに、ひそかに、コウバイの花びらのように繊細で、美しい、その送り主を待ち望むようになった。


卒業式の日、悠真はもう一度、コウバイを見に行った。花びらは散り始めていたが、それでも凛とした姿は、彼の心を掴んで離さなかった。すると、コウバイのそがに一人の少女が立っていた。彼女の手に持っていたのは、コウバイの枝とそっくりな、小さなかわいらしいヘアピンだった。それは、まるで少女をあらわしているかのようでもあった。


少女は、ほほをうっすら染めながら、少し恥ずかしそうに、そして、力強く言った。「あの。ウメの花に結ばれていた小さな紙は、私が結びました。あの手紙の差出人は私で、あて先は悠真くんです。読んでもらえましたか?」


それは、隣のクラスの、静かな少女、木下恵美だった。いつも様々なかわいらしいイラストを描いている女子生徒で、どんなイラストでも描くことができるということで、有名だった。悠真も何回か、お願いしてポスターなどを作ってもらったことがあった。悠真は、恵美の澄んだ瞳を見つめ、これまで気付かなかった自分の気持ちに気付いた。だから、悠真もほほえみ、「手紙読んだよ。うれしいな。ありがとう。」と返答した。コウバイのように、鮮やかで、そして、深く、美しい恋の始まりだった。











2月

誕生月の花:ウメ

花言葉:不屈の精神

    高潔

色別の花言葉

 紅:優美

 白:気品

科・属:バラ科・サクラ属

和名・別名:梅






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