表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
32/60

1月31日 チューリップ(赤)

陽は傾き、オレンジ色に染まった空の下、真紅のチューリップが風に揺れていた。その花束を抱え、私は駅前で彼を待っていた。出会って三年、付き合って一年。いつもは賑やかな駅も、今日は静かに感じられた。彼との最後のデートになるかもしれなかったのだ。


彼は約束の時間になっても現れなかった。携帯に何回かけても、メールを送っても繋がらない。不安が胸に広がり、冷たい風が身に染みる。涙が溢れそうになるのを堪え、チューリップを強く握りしめた。真紅の花びらは、私の焦燥感を映し出す鏡のようだった。


彼はいつもから遅刻魔だった。だけど、今日のこの遅れは、いつもとは何かが違う気がした。どこが違うとは断定できないが、彼の軽率な遅刻とは、明らかに質が違った。30分、1時間、2時間と時間が経つにつれ、私の胸には確信が芽生えていった。彼は、私を置いていってしまったのだ、と。


すると、突然、背後から声がした。「ごめん、遅れた。」あわてて振り返ると、彼が立っていた。息切れしながら、汗を拭う彼の手には、私が持っているのと同じ、真紅のチューリップが、一輪だけ、握られていた。


「どうして?もう来ないのだと思った。」


「実は、君に渡す前に、事故にあってしまったんだ。大きなけがはしなかったんだけど、それで、持っていたチューリップの花束もつぶれてしまったし、携帯も壊れてしまったから、連絡を取ることもできなかったんだ。」彼は言葉を詰まらせる。


「だから、病院で検査をしてから、花屋さんによって、同じチューリップを買いに行ってからこっちに来たんだ。何時間も君を待たせてごめん。」


彼の顔は青ざめ、震えていた。彼の手に握られたチューリップは、私の花束より少しばかり、小さかった。よく見ると、彼の手足やほほには、小さな擦り傷があった。服も汚れていて、持っているものにも小さな傷がたくさんあった。


その瞬間、私は全ての不安が消え去るのを感じた。彼の遅れの理由、そして、彼の真心。真紅のチューリップの花言葉には、「愛の告白」と、「真実の愛」というものがある。二人が持っていたのは、彼の、そして私の、本気の熱い愛の始まりを告げる、真紅のチューリップだったのだ。











1月31日

誕生花:チューリップ(赤)

花言葉:愛の告白

    真実の愛

    思いやり

科・属:ユリ科・チューリップ属

和名・別名:鬱金香






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ