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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
31/60

1月30日 ムスカリ

春の陽射しが、まだ冷たさを残す地面を優しく温めていた。陽だまりに群生するムスカリの淡い青紫が、春の訪れを告げていた。その群生の中に、一人佇む女性、天音は、胸に込み上げる複雑な感情を隠せないでいた。


天音は、幼馴染の樹と、この場所で毎年ムスカリを眺めていた。青紫色の小さな花は、彼らの友情、そして、天音の一方的な淡い想いを静かに見守ってきた。樹は、いつも穏やかで、優しい笑顔で天音に接してくれた。その優しさに、天音は恋心を抱きながらも、告白する勇気を持つことができなかった。


今日、樹は、彼女に「大切な話をしたい。今から、毎年会っていた、ムスカリが群生する丘に来てほしい。」と電話した。丘に来てみると、樹はまだ来ておらず、胸が高鳴り、震える手で、天音はムスカリの一輪を摘もうとした。その時、背後から樹の声がした。


「遅れてごめん。急に言ったのに、天音は来て待っていてくれたんだ。ありがとう。」


振り返ると、樹は、少し緊張した表情で、手に小さな箱を持っていた。それは、天音が以前、樹と一緒に見ていた、アクセサリーショップの、ムスカリの形をしたネックレスが入った箱だった。天音は欲しかったが、予算が足らず泣く泣くあきらめたものであった。樹は、欲しがっていることも、あきらめたことも、天音が言わなかったけれど気がついていた。


その箱を天音に差し出しながら、樹は、「実は、天音にずっと言えなかったことがあるんだ。君が大好きなんだ。恋人になってほしい。」と言った。


樹の言葉に、天音の目には涙が溢れた。天音は大きくうなずき、「私も樹のことが大好き。恋人になりたい。」と返答した。そして、彼の手にのっている、ネックレスが入った箱を受け取り、そのまま、中のネックレスをつけた。


長年の想いが、ついに実を結んだ瞬間だった。ムスカリの青紫は、二人の幸せを祝福するように、より一層鮮やかに輝いていた。


その日から、天音と樹は、毎年ムスカリが咲くこの場所で、お互いの愛を確かめ合うようになった。淡い青紫の花は、二人の大切な思い出、そして永遠の愛の証となった。 ムスカリの香りは、二人の幸せな未来へと繋がる、甘い春の香りだった。











1月30日

誕生花:ムスカリ

花言葉:通じ合う心

    明るい未来

科・属:キジカクシ科・ムスカリ属

和名・別名: 葡萄風信子






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