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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
24/60

1月23日 マンリョウ

雪のちらつくとある寒い日の午後、凛とした空気の中、千鶴は古びた神社の境内で彼と出会った。彼は、普段は都会で働くという建築士、柊だった。実家に帰省した際に、散歩をしていて、たまたまこの神社を訪れたのだという。


千鶴は、代々この神社の氏子を務める家の娘だ。氏子は、神社に祀られている氏神を信仰する人のことで、その代表である、氏子総代を務めているのが、千鶴の父親である。千鶴は、神社の境内に自生するマンリョウの赤い実を、大切に育てていた。鮮やかな真紅の実が、雪景色の中でひときわ目を引く。その光景に、柊は息を呑んだ。


「これはセンリョウ、ではなくてマンリョウですね。すごいです。こんなにたくさんのマンリョウは初めて見ました。とてもきれいで、感動します。」


柊の言葉に、千鶴は照れくさそうに微笑んだ。マンリョウは、縁起の良い木として定番の植物の一つだ。1万両(現代でおよそ13億円)の豊かさにあやかりたいと、先祖代々大切に守ってきたものだった。年末やお正月には、参拝客の中で、希望する方に無料で、一部を渡すことにしている。


その後、二人は何度かこの神社で会った。千鶴は毎日、マンリョウの世話をしに来ていて、柊は都会の喧騒とは無縁な、落ち着いた神社の雰囲気に心惹かれて訪れていたのだ。柊は、都会の喧騒とは無縁の、静かで穏やかな千鶴に惹かれていった。千鶴もまた、柊の温かさと、繊細な感性に触れ、心惹かれるようになった。


ある日、柊は千鶴に、マンリョウの赤い実を模した、手作りの小さな銀のペンダントをプレゼントした。


「これは、この神社の、千鶴さんが丁寧に育てている、マンリョウをイメージして作りました。この輝きのように、私は、君とずっと一緒にいたいです。」


柊の真摯な言葉に、千鶴は涙を堪えきれず、ほほを赤らめて小さくうなずいた。雪が舞い散る中、二人は静かに抱き合った。マンリョウの赤い実のように、二人の愛は、静かに、そして力強く、未来へと育んでいく。それは、価値をつけることができない、かけがえのない宝物だった。 翌年の冬、二人はこの神社で結婚式を挙げた。境内のマンリョウの実が、二人の幸せを祝福するように、鮮やかに輝いていた。











1月23日

誕生花:マンリョウ

花言葉:寿ぎ

    陰徳

科・属:ヤブコウジ科・ヤブコウジ属

和名・別名:万両






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