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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
22/60

1月21日 ローズマリー

凛とした香りを放つローズマリー。陽だまりに育つそのハーブは、まるで由美子そのものだった。由美子は、両親が生きていたころは、旅館を兼ねていた、古びた洋館「風の音」を一人で守る、27歳の女性だ。静かで、少し寂しげな笑顔が、彼女のトレードマークだった。「風の音」が大切で、家族の思い出もあるために、ホテルとして再開したいが、人がいないためできなかった。


ある日、東京から孝一と名乗る、一人の青年が訪ねてきた。彼は、亡くなった祖母が「風の音」で過ごした思い出を綴った日記を元に、この地を訪れたという。由美子は、孝一の祖母の日記の内容を教えてもらい、また由美子の祖父母のことも孝一に話した。孝一の祖母も、子どもを妊娠するまでは、「風の音」で従業員として働いていたのだという。互いの身内の話をし、孝一に庭の手入れを手伝ってもらううちに、由美子も次第に心を開いていった。


ある日、ローズマリーが茂る庭で、孝一は由美子に祖母のことを語った。祖母は、若き日にこの場所で、一人の男性と幸せな時間を過ごしたらしいことについてだ。その男性の名前は、日記には記されていなかった。が、孝一は、その男性が由美子の祖父だと推測していた。由美子から聞く祖父の話と、祖母に聞いた話や日記に書かれている男性の特徴が、完全に一致していたからだ。


ある夕暮れ、孝一は由美子に、自分が由美子の祖父の孫だと告白した。うっすらとその可能性を考えていたが、驚きを隠すことができない由美子だった。が、孝一の普段通りの態度に、少し安心した。伝えられてどう反応したらいいかわからないが、可能性として考え続けるのも不安だったのだ。


孝一は、幼い頃から祖母から由美子の祖父の話を聞いて育ち、いつか会いたいと思っていたのらしい。ここに来ることで、祖父のことを知ることができて、うれしく、隠しておくことも考えたが、誠実に向き合いたかったから伝えたという。


祖母の残したローズマリーのように、二人の恋も静かに、そして強く育ち始めた。幾世代にも渡る、不思議な縁で結ばれた二人。風の音に吹き抜ける風は、彼らの未来への希望を運んでいた。


由美子は、ローズマリーの花束を孝一に贈った。それは、祖母の愛情と、そして、新たな恋の芽生えを象徴する、忘れられない贈り物となった。マンネンロウと呼ばれるローズマリーのように、二人の愛は、永遠に続くことを願って。











1月21日

誕生花:ローズマリー

花言葉:思い出

    追憶

    あなたは私を蘇らせる

    記憶

    忠誠

    静かな力強さ

    誠実

    変わらぬ愛

    私を忘れないで

    貞節

    献身

科・属:シソ科・マンネンロウ属

和名・別名:マンネンロウ

      迷迭香






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