表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
2/60

1月1日 スノードロップ

スノードロップ。それは彼女の名前だった。本名ではない。僕が付けたあだ名だ。初めて彼女を見たのは、真冬のある日。降りしきる雪の中、彼女は白いコートに身を包み、まるで雪の妖精のように佇んでいた。その姿は、まるで春の訪れを告げるスノードロップの花のようだった。僕は一目惚れした。


彼女の名前は、ユキ。カフェでアルバイトをしている彼女に、毎日のように通い詰めた。最初は警戒していた彼女も、徐々に心を開いてくれるようになった。僕たちは、カフェで何時間も語り合った。彼女の夢、将来、好きなもの、嫌いなもの。全てを知りたかった。彼女の話す声は、まるで鈴の音のように心地よく、僕の心を温めてくれた。


ある日、勇気を出して彼女をデートに誘った。雪がちらつく寒い日だった。僕たちは、イルミネーションで彩られた街を歩いた。キラキラと輝く光の中で、彼女の笑顔は一層輝いて見えた。その時、僕は確信した。彼女を愛している、と。


「ユキ…、いや、スノードロップ。」


僕は彼女に、スノードロップの小さな花束を差し出した。


「僕は君が好きだ。付き合ってほしい。」


彼女は少し驚いた顔をした後、頬を赤らめ、小さく頷いた。彼女の瞳には、雪の結晶のように美しい涙が浮かんでいた。


その日から、僕たちは恋人同士になった。毎日が楽しくて、まるで夢の中にいるようだった。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。春が近づくにつれ、彼女の体調は悪化していった。彼女は、重い病を患ったのだ。


ある日、病院のベッドに横たわる彼女を見舞った。彼女は、まるで雪が溶けるように、弱々しくなっていた。


「…ごめんね。」


彼女は、か細い声で言った。


「もうすぐ…春が来るね。」


彼女の言葉は、まるで別れの挨拶のようだった。僕は、彼女の手に自分の手を重ねた。彼女の体温は、まるで氷のように冷たかった。


そして、春の訪れとともに、彼女は静かに息を引き取った。まるで、春の訪れを告げ、静かに姿を消すスノードロップの花のように。


彼女の死後、僕は毎年冬になると、スノードロップの花を彼女の墓前に供えている。雪が降るたびに、彼女のことを思い出す。僕の心の中で、彼女は永遠に、春の訪れを告げる美しいスノードロップとして咲き続けるだろう。











1月1日

誕生花:スノードロップ

花言葉:希望

    慰め

科・属:ヒガンバナ科・ガランサス属

和名・別名:待雪草

      マツユキソウ

      ガランサス

      雪の花

      ユキノハナ

      雪の雫

      ユキノシズク






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ