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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
18/60

1月17日 コチョウラン

コチョウランの白い花びらが、まるで彼の心を映すかのように、純粋に輝いていた。玲奈は、彼、章太郎が贈ってくれたコチョウランを眺めながら、静かに息を吸い込んだ。


出会いは一年半前、大学の図書館だった。静かに本を読んでいた玲奈の隣に、たまたま章太郎が座ったのだ。彼の穏やかな笑顔と、さりげない気遣いに、玲奈はすぐに惹かれた。それから、二人は一緒に勉強したり、カフェで話をしたり、自然と時間を重ねていった。


章太郎は、言葉はあまり多くないけれど、いつも玲奈の気持ちに寄り添ってくれる人だった。些細なプレゼントも、玲奈の好きなものをよく知っていて、いつも心を打たれるものばかり。今回のコチョウランも、玲奈が最近疲れているのを見て、彼の言葉の少ない優しさの現れだった。


しかし、玲奈には章太郎には言えない秘密があった。彼女は、幼い頃に両親を亡くし、親せきの家を転々としながら、一人で生きてきた。そのせいか、深く人を好きになること、そして愛されることに、強い不安を抱いていたのだ。また一人になってしまうのではないか、という恐怖が常にあるからだ。章太郎への気持ちも、本心では深く愛していることを頭では理解できているのに、それを心では素直に受け入れることができないでいた。


コチョウランの甘い香りが、部屋に広がる。玲奈は、白い花びらに指先を触れた。章太郎の温もりを感じながら、自分の心に問いかけた。この不安を乗り越え、章太郎の愛を受け入れることができるのだろうか? このことを、章太郎に惹かれ始めてから、ずっと考え続けていた。そして、二人の時間が重なっていくにつれ、気がつけば彼のことを深く愛していた。


玲奈は、ゆっくりとコチョウランの鉢に手を伸ばし、そっと花びらに頬を寄せた。その瞬間、涙がこぼれ落ちた。それは、不安の涙ではなく、章太郎への深い愛と、ようやく掴んだ幸せの涙だった。彼の優しさに包まれ、玲奈は初めて、自分の心を許せる気がした。彼とならちゃんと愛情をはぐくむことができ、ずっと抱えてきた不安や恐怖を、ゆっくり溶かしてくれると考えたからだ。コチョウランの花言葉、「幸福が飛んでくる」が、今、まさに現実になりつつあった。











1月17日

誕生花:コチョウラン

花言葉:幸福が飛んでくる

    純粋な愛

科・属: ラン科・ファレノプシス属(コチョウラン属)

和名・別名:胡蝶蘭

      ファレノプシス






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