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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
16/60

1月15日 オンシジューム

陽射しが温かいカフェの窓辺に、小さなオンシジュームの鉢が置かれていた。黄色い小さな花が、風に揺れるように幾重にも重なり、繊細な美しさを見せている。その前で、莉子は静かにコーヒーを啜っていた。


待ち合わせの相手は、真守だ。大学時代のサークルの先輩で、卒業後も時々連絡を取り合っていた。莉子は、真守に淡い恋心を抱いていた。しかし、彼はいつも忙しそうで、莉子は告白することができず、二人の距離はなかなか縮まらなかった。


今日は、真守から久しぶりに連絡があった。「どうしても話したいことがある」と。莉子は、胸の高鳴りを抑えきれず、このカフェを選んだ。このカフェは真守が教えてくれた、二人が好きなコーヒーがおいしいカフェで、大事な話があるときはいつも使用している店だからだ。


約束の時間より少し遅れて、真守が現れた。仕事が忙しくて、時間に間に合わせることができなかったらしい。彼の顔には、少し疲れたかたい表情が浮かんでいた。莉子は、何かを察した。


「莉子、急だったのに会ってくれてありがとう。実は、結婚することが決まったんだ。」


真守の言葉は、カフェに漂うコーヒーの芳ばしい香りとオンシジュームの甘い香りを打ち消すほど、重く響いた。相手は、大学の同じ学部の同級生で、同じ職場で働く同僚で、莉子もあったことがある人だという。莉子の胸には、小さな棘が突き刺さるような痛みを感じた。


そのまま、真守は続けた。「君に恋愛感情は持っていない。だけど、心を許せる一番の友として、一緒にいると落ち着くことができるんだ。僕は勝手に君のことを親友だと考えている。だから、ほかの人に結婚することを伝える前に、君には直接伝えたかった。君と友達でいられたことが、本当に嬉しかった。できればこのまま君と、友達でい続けたいと考えている。」


真守の言葉は、莉子の心に温かい光を灯した。恋は叶わなかったけれど、大切な友情は残ったからだ。カフェの窓辺のオンシジュームは、相変わらず優しい光を浴びて、静かに揺れていた。莉子は、ゆっくりと深呼吸をし、未来へ向かう決意を胸に秘めた。 オンシジュームの可憐な花びらのように、莉子の心も、少しずつ前を向いていくのだった。











1月15日

誕生花:オンシジューム

花言葉:清楚

    一緒に踊って

科・属:ラン科・オンシジウム属

和名・別名:オンシジウム

      雀蘭

      すずめらん

      群雀蘭

      むれすずめらん






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