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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
14/60

1月13日 スイセン

凛とした白い花びら、中心の鮮やかな黄色。陽だまりに咲くスイセンは、まるで彼女のようだった。 凛とした美しさを持つ、高校時代の同級生、雪乃。僕は、彼女に対する恋心を抱えながら、いつも彼女を遠くから見ていた。卒業後、たまたま買い物をしているときに、同じお店で偶然再会するまで、十数年もの月日が流れた。


彼女は高校時代から全く変わっていなかった。あの頃と同じ、澄んだ瞳と、少しだけ控えめな笑み。カフェで、久しぶりに話す彼女の言葉は、相変わらず優しく、それでいてどこか遠くの存在であることを感じさせた。互いの仕事の話をしたり、近況を報告したり、気兼ねなく会話が弾んだ。高校時代に遠くから見るだけで、話すことができなかったのが噓みたいだった。高校時代の話に花が咲いた時、僕は勇気を振り絞って、彼女に長年の想いを伝えた。


「雪乃さん、あなたのことが高校生の時からずっと好きです。」


言葉が零れると、彼女の瞳に戸惑いが映った。沈黙が流れ、静かに流れるカフェのBGMだけが聞こえる。雪乃は、ゆっくりと、そして丁寧に言葉を選んで答えた。


「ありがとう。私を好きになってくれて嬉しい。だけど、ごめんなさい。高校の同級生には誰にも教えていないのだけど、私、もうすでに結婚していて子供もいるの。興味本位で色々聞かれるのは嫌だから、できたらほかの人には言わないでほしいな。」


胸に突き刺さる言葉だった。その瞬間、カフェの窓から差し込む陽光が、今までとは違う色に見えた。再会できた喜びで光輝いて見えていたのに、急に輝きを失ったのだ。スイセンの花びらのように、美しく、そして儚く。彼女の言葉に悲しみはなかった。穏やかな、それでいて少し申し訳なさをにじませた表情だった。


「そっか。教えてくれてありがとう。絶対に誰にも言わない。今が幸せそうでよかった。」


僕はそう呟き、苦い笑みを浮かべた。彼女の幸せを祈る気持ちと、片思いをし続けて、ほかの人を好意の対象として考えなかった、失ってしまった十数年の後悔が、胸の中で入り混じった。帰り道、街路樹に咲く、小さなスイセンの花を見つけた。あの頃の純粋な気持ち、そして今の複雑な感情を、静かに見つめながら、僕は一人、歩いて帰った。











1月13日

誕生花:スイセン

花言葉:自己愛

    神秘

科・属:ヒガンバナ科・スイセン属

和名・別名:水仙

      雪中花






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