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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
11/60

1月10日 フリージア

凛とした冬の空気の中、真白なフリージアの花束が、小さな花屋『フローラ』のショーウィンドウで輝いていた。その花束をじっと見つめていたのは、大学生の波瑠奈だった。卒業論文の提出も終え、卒業を控え、将来への不安と、恋人の翔太との微妙な距離に、彼女は心を締め付けられていた。


翔太は建築家を目指し、就職先が決まった後も多忙を極めていた。就職先が決まる前のように、二人でゆっくり語り合う時間も、デートどころか会って手をつなぐ時間さえ少なくなっていた。そんなある日、翔太から「卒業したら、しばらく連絡が取れないかもしれない。時差があるし、初任者研修で忙しくなるから。」と告げられた。半年間の海外での初任者研修が決まったのだという。


波瑠奈はそこまで遠くない会社で営業事務として働くことになっていた。仕事を始めると翔太の言う通り、時差もあるので連絡も取りにくくなる。現在でも話す時間も、会う時間もほとんどない。たまに電話して話すのが精いっぱいだ。仕事が始まると、今以上に連絡を取ることも、会うこともできないのではないか。場合によっては半年間、話すことすらできなくなってしまうのではないか。


言葉にならない不安に駆られた波瑠奈は、衝動的にフリージアの花束を買った。白く可憐な花は、彼女の繊細な心情を映すようだった。その夜、彼女は翔太に電話をした。久しぶりで、今後連絡を取るのも難しいという状況で、ぎこちない会話の後、波瑠奈はフリージアの花束を買ったことを話した。「この花の香りが、あなたのことを思い出させてくれるの」と。


電話の向こうで、翔太は少しの間、黙っていた。そして、静かに言った。「研修が終わったら、一番に、君にフリージアの花束を贈るよ。そして、一緒に、この花の香りを思い出そう。フリージアの花言葉の通り『期待』していて。」彼の声には、ぎこちなさが消え、かつての温かさが戻っていた。


波瑠奈にはフリージアの甘い香りが、二人の未来を優しく包み込むように感じた。離れていても、この花の香りが、二人の絆を繋いでくれるだろう。波瑠奈は、胸に温かいものが込み上げてくるのを感じた。卒業と、そして再会の季節が、ゆっくりと近づいてくる。











1月10日

誕生花:フリージア

花言葉:優雅

    天真爛漫

    親愛の情

    感謝

    友情

    期待

科・属: アヤメ科・フリージア属

和名・別名:香雪蘭

      コウセツラン

      浅黄水仙

      アサギスイセン

      菖蒲水仙

      アヤメスイセン






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