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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
10/60

1月9日 スミレ

陽だまりに咲く、小さなスミレ。その可憐な姿に、僕、雄二はいつも心を奪われていた。スミレは、初恋相手である、幼馴染みの美沙都に似ていた。小さく控えめだけど、凛とした強さを持ち譲れないところは何があっても意志を押し通す、そんな彼女。


高校三年生となった。進路を決め、将来を真剣に考える時期だ。美沙都は地元の大学に進学し、そのまま実家で暮らし、大学卒業後は地元には就職できるところがないので、東京に来る予定らしい。一方僕は、東京の大学に進学することを決めていた。入学試験も終わり、僕も美沙都も無事に第一志望の大学に合格することができた。


卒業式の日に、校庭で一人、スミレを摘んでいた。すると、後ろから美沙都の声がした。「この花きれいだね。雄二がいつも見ている花だよね。」気がつくと彼女は、僕と同じようにスミレを眺めていた。


沈黙が流れた後、美沙都はぽつりと話し始めた。「東京はとても遠いね。今迄みたいに、毎日会うことができなくなってしまうね。」彼女の言葉は少し震えており、寂しさが滲んでいた。僕は、彼女の手を取った。小さくて、温かく、柔らかな手だった。


「美沙都、僕、君が大好きだ。恋人になってほしい。」気がつけば口をついで出ていた。何年間も抱えていた、今まで口に出せなかった気持ちを、ようやく伝えることができた。


美沙都は、明日から準備のために雄二が東京に行くため会えなくなる、最後の日に告白したことに、とても驚き、そして少し考えてから、ゆっくりと頷いた。「私も雄二のこと好きだよ。」彼女の瞳には、スミレと同じくらい可憐な涙が浮かんでいた。


東京と地元。物理的な距離はかなり離れるけれど、二人の心は、小さなスミレのように、強く繋がっていると感じていた。卒業後、僕は東京で一人暮らしを始めたが、夕方になるとどちらともなく電話をし、週末には必ず美沙都に会いに行った。何度か、二人でデートとしてスミレを一緒に摘みに行った。


一人暮らしも、遠距離恋愛も決して楽ではないけれど、美沙都とスミレの存在が、僕の支えだった。そして、その小さな紫の花は、二人の愛の証となった。二人とも大学を卒業し、東京で一緒にスミレを摘める日を夢見て毎日を過ごしているのだった。











1月9日

誕生花:スミレ

花言葉:謙虚

    誠実

科・属: スミレ科・スミレ属

和名・別名: 菫






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