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366日の愛の花束  作者: 辛已奈美(かのうみなみ)
1月
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1月 カーネーション

夕暮れの日差しが差し込んでいる。花屋の店先に色とりどりのたくさんの花が並んでいる。僕はその中から赤いカーネーションを一本手に取った。今日は彼女の誕生日だ。


彼女の名前は優子。出会ったのは三年前の春だ。同じ大学の図書館で、彼女が落としたしおりを拾ったのがきっかけだった。落とした赤いカーネーションのしおりがまるで彼女自身のようで、気が付いたら声をかけていた。


優子は控えめで、それでいて芯の強い女性だった。ゆっくりと、でも確実に僕らは惹かれ合っていき、恋人となった。初めての手繋ぎ、初めてのキス。全ての瞬間が、鮮やかな赤いカーネーションのように僕の記憶に焼き付いている。


しかし、去年の冬、優子は病気でこの世を去った。あまりにも突然の別れだった。悲しみに暮れる僕に、優子の母は小さな箱をくれた。中には、色褪せてしまった赤いカーネーションのしおりと、一枚の手紙が入っていた。


「これを読んでいるということは、私はすでに亡くなっているのだと思います。病気のことを隠していてごめんなさい。私があなたより先に逝ってしまったら、毎年私の誕生日に赤いカーネーションを供えてください。天国でその赤い色を見つけたら、きっとあなたのことを思い出すことができるから。でも、もし新しい恋人を作ることができたら私のことは忘れてその人と幸せになってください。

私はあなたのことを愛しています。あなたの恋人になれたことが人生で一番の幸せでした。」


涙が止まらなかった。優子は自分の死を覚悟していたのだ。そして、僕のことをこんなにも想ってくれていた。


今年も彼女の誕生日に、赤いカーネーションを買いに来た。花屋を出ると、空から一輪のカーネーションが舞い落ちてきた。拾い上げてみると、それは鮮やかな赤いカーネーションだった。まるで、優子が空から贈ってくれたみたいだ。


胸に込み上げてくる想いを抑えきれず、僕は空に向かって呟いた。「優子、ありがとう。僕も君を愛している。」


赤いカーネーションを握りしめ、僕は優子との思い出が詰まった公園へと歩き出した。空には、雲ひとつない晴天が広がっていた。











1月

誕生月の花:カーネーション

花言葉:無垢で深い愛

色別の花言葉

 紫:誇り、気品

 白:純粋な愛、私の愛は生きています

 桃:女性の愛、美しいしぐさ、感謝

 青:永遠の幸福

 黄:軽蔑

 赤:母への愛

科・属:ナデシコ科・ナデシコ属

和名・別名:麝香撫子

      オランダナデシコ

      ジャコウナデシコ

      オランダセキチク






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