タバスコ火山へ
そして、山小屋を出発した5人は、タバスコ火山へ向けて歩き出した。
ル「…帰らなきゃいけなくなったって…!?」
フ「…そんな…!」
ロードから衝撃の事実を聞き、ルクとフレイシーも、ショックを隠しきれない様子でいる。
ロ「…本当に突然のことで、僕もまだ現実を受け止めきれていないですが…。」
そう口にしたロードは、視線を落として落ち込む様子を見せる。
マ「再研究の話も出てたけど、それもいつになるかわからないしね…。」
マオも、ロードと同じような沈んだ表情で呟く。
ル「…そっか…。寂しいけど、もう決まったことだから、仕方ないよな…。」
フ「うん…。でも…。」
デ「…。」
ルクとフレイシーは、言葉を詰まらせ、落ち込むディムアに視線を向ける。
ロ「…次にまたカバリア島に来るときまで、命を落とさずに浄化魔法を唱えられる方法を探しておきたいんです。その為にも、最後のアイテムのレッドストーンも入手したいので…。ルクとフレイシーも、最後までよろしくお願いします…!」
ル「…そうだよな。これが最後だから、な…。」
フ「…うん。最後も頑張りましょ…。」
ロードの言葉に、そう返す2人も、寂しく悲しい気持ちが大きすぎて、元気が出ない様子だった。
マ「…みんな、明るく行こう!オレたちがこうして旅したことは、きっと一生の思い出になるよ!明るい思い出にする為に、最後も笑って旅を終わりにしようよ!」
仲間たちの沈んだ空気を変えるべく、マオは彼らに明るく声を掛ける。
フ「…そうよね!大切な思い出を、暗いものにしたくないもの!」
フレイシーは言い、笑顔を見せた。
ル「おおぉ!マオが珍しくいい事言ったなー!」
マ「ちょっと!珍しく、は余計だよ!」
ニッと笑ったルクの言葉に、マオはツッコミを入れる。
ロ「…その通りですね。今まで、辛いことも、苦しいことも、みんなで笑顔に変えてきましたからね。最後まで笑顔でいましょう。」
デ「…うん…!」
仲間たちのやり取りを見て、ロードとディムアにも、少し笑顔が戻った。
そのとき、5人の前に、赤い羽を持つ何かが飛んできた。
「っ!」
飛んで近付くそれを凝視し、5人は身構える。
マ「こいつは〝炎蛾〟!耐性は風と土、弱点は物理と銃だよ!」
ル「よし、任せろっ!」
マオの説明を聞き、ルクは銃を構え、炎蛾にクイックショットを放つ。
2発の銃弾を直撃し、炎蛾は消滅した。
ロ「ルク、ナイスです。」
ル「おう!」
ロードに声を掛けられ、ルクは笑って頷く。
その直後、5人の周囲に生えている木々が揺れ、そこから出てきた数本のマジックアローが、彼らに向かって飛んできた。
「っ!?」
前にいたロードとルクに、マジックアローが直撃した。 そのすぐ後、ロードのサンダーカウンターが発動し、マジックアローを放ってきた、木の陰に隠れていた炎蛾に雷が落ち、消滅した。 そして、周りの木々から、数体の炎蛾が飛び出してきた。
フ「きゃっ!いっぱい出てきたわ!?」
接近してくる炎蛾を見て、フレイシーは驚き、声を上げる。
マ「ロードとルク、大丈夫!?」
ロ「はい、大丈夫です!」
ル「俺もっ!」
マオに声を掛けられ、マジックアローをくらった2人は、体勢を立て直し、しっかり頷く。
炎蛾たちから次のマジックアローが放たれる前に、ロードはライトニング、ルクはランダムショットを放ち、消滅させた。
マ「…うん!とりあえず、近くの炎蛾はいなくなったみたいだね!」
フ「よかったぁ!」
周囲を見渡したマオの言葉を聞き、フレイシーは安堵し、笑顔を見せる。
デ「…でも、まだ周りから気配を感じる…。」
耳を済ませるディムアが、周囲を警戒して小さく呟く。
ロ「そうですね。突然出てくるかもしれないので、気を付けて行きましょう。」
マ「オッケー!」
ロードの言葉に、マオは頷く。
その後、たまに現れる炎蛾と応戦しながら、タバスコ火山へのフィールドを進んだ。
そして、ある場所から、突然雰囲気が今までとは違うものに変わった。
ル「…なんか、急に暑くなってきた気がするな…?」
身体に触れる空気が熱気を持っていることに気が付き、ルクは呟く。
ロ「…暑いのも無理ないです。ここを見てください。」
そう言ったロードは、近くの地面を指す。
そこの割れ目から、赤いドロドロとしたものが流れている。
フ「っ!?なに、これ…!?」
その熱を持つ不気味な液体を凝視し、フレイシーは声を上げる。
デ「…もしかして…マグマ…?」
ロ「はい、マグマです。」
遠慮がちに呟いたディムアに、ロードは頷いて見せる。
マ「うわぁ…。地面からマグマが溢れ出てるなんて、危険だね。どうやら、ここからタバスコ火山の区域みたいだよ。」
マグマに驚きながら、マオは仲間たちにそう説明した。
ル「ついにタバスコ火山に来たか…。想像以上にヤバそうな所だな…。」
フ「そうね。強いモンスターも出てきそう…。」
ルクとフレイシーは、怖々と言い合う。
ロ「大丈夫ですよ。いつも通り戦えば、どんなモンスターにも勝てます。」
マ「その通りだよ!みんななら大丈夫!」
ロードの言葉に続き、マオが仲間たちを励ます。
デ「…うん。頑張ろう。」
ル「そうだよな!いつもの感じで戦おう!」
フ「うん!みんなとなら安心して戦えるわ!」
5人は顔を見合わせてそう言葉を交わし、タバスコ火山フィールドに足を踏み入れた。
ル「…暑っつ…。」
フィールドを歩き始めて間もなく、ルクがそう呟いた。
マ「ルク、すごい汗かいてるね…。」
フ「本当ね…!大丈夫?」
尋常ではない程の汗をかくルクの顔を、マオとフレイシーは心配そうに覗き込む。
ル「な、なんとか大丈夫だけど…。こんなに暑がってるの、俺だけ!?」
仲間を見渡し、自分だけが汗をかいていることに気が付き、ルクは声を上げる。
ロ「…ルク、スノーヒルのフィールドで、魔力で温度調節が出来るという話を僕がしたのを覚えていますか?」
ル「え?ええっと…。あぁ!俺がロードに抱きついたら、暖かくなったときの話!?」
ロードの問い掛けに、ルクは思い出したようにそう答える。
ロ「はい…そうです。」
マ「あれは軽く黒歴史だよね。笑」
デ・フ「笑」
ロードとマオが苦笑いを浮かべて視線を合わせると、ディムアとフレイシーも、つられて笑う。
ロ「寒いスノーヒルにいたときは、火属性の魔力を持つ僕とディムアが寒さを和らげることが出来ていました。今は逆に暑い気候のタバスコ火山なので、水属性の魔力を持つ、僕とフレイシーが暑さを和らげることが出来ているんです。」
フ「そっか!私は水属性の魔力を持っているから、自然と暑さを和らげることが出来ているのね!」
ロードの説明を聞き、何故自分が暑さをあまり感じないのかが、フレイシーには理解出来たようだった。
ル「なるほどな!いいなぁ。…でも、じゃあなんでディムアも暑そうじゃないの?」
全く暑がっていない様子のディムアに視線を向け、ルクは不思議そうに尋ねる。
マ「ロードがディムアに微量の水の魔力を分けてあげてるんだよ!その為に2人はずっとぴったりくっついて歩いてるんだって!気付かないのー?」
距離の近いロードとディムアに視線を送り、マオはニヤニヤしながら、ルクに尋ねる。
ル「そ、そんなのわかるわけないだろ!?この2人はいっつもこのくらいぴったりくっついて歩いてるし!」
ルクもロードとディムアを見ながら、苦笑いでマオに反論する。
フ「うんうん!そうよね!いつも通りだから、私も気が付かなかったわ!」
デ「…。」
フレイシーにも微笑み掛けられ、何だか恥ずかしくなったディムアは、ロードの背中の後ろに隠れ、少し頬を赤くした。
ロ「そういうことなので、ルクはフレイシーから少しの水の魔力を分けてもらうと涼しくなると思いますよ。」
ル「おぉっ!そういうことか!」
ロードの提案に、ルクは笑顔で声を上げる。
フ「水の魔力をルクに分けるなんて、私にも出来るのかな?」
自信のなさそうに、フレイシーは言う。
ロ「出来ると思いますよ。2人とも、手を繋いでみてください。」
ル・フ「っ!」
ロードの言葉を聞き、2人は視線を合わせた後、手を繋いだ。
ル「…本当だ!少し涼しくなった!」
フ「すごい!意識してないのに、手を繋ぐだけで水の魔力をルクに分けてるのね!」
ルクの嬉しそうな反応を見て、フレイシーも微笑みを見せた。
ロ「よかったです。暑いと体力を奪われてしまうので 、そのままで行きましょう。」
フ「うん♪えへへ…。」
ロードの言葉に、フレイシーは頷き、ルクと繋いでいる手を嬉しそうに見つめる。
マ「これはこれは、初々しい光景ですなぁ♪」
ル「あ、あはは…。」
マオにニヤニヤと見つめられ、ルクとフレイシーは少し顔を赤くし、照れ笑いを浮かべた。
その光景を、ロードとディムアも微笑んで見ていた。
そのとき、5人の前に、数体のモンスターが現れた。
マ「…わっ!モンスターだよ!」
「っ!」
マオが声を上げると、ロードたちは反射的に戦闘態勢を取る。
そして、前から迫って来る、赤色と青色の恐竜のようなモンスターを見据えた。
マ「赤い方は〝レッドサラマンダー〟、耐性は物理と銃、弱点は魔法!青い方は〝ブルーサラマンダー〟、耐性は火と土、弱点は物理と銃だよ!」
ロ「わかりました!」
ロードは頷き、群れの先頭にいるサラマンダーたちに、ガルベスタタイフーンを唱える。
風に切り裂かれ、動きを止めたサラマンダーたちに、フレイシーもガルベスタタイフーン、ディムアはライトニングを放った。
3人の攻撃魔法をくらったサラマンダーたちは消滅したが、それらの後ろから、違うサラマンダーたちが突進してきた。
ル「うおぉっ!?」
ブルーサラマンダーの体当たりをギリギリ避けたルクは、クイックショットを放つ。
2発の銃弾は、ブルーサラマンダーに直撃したが、消滅には至らなかった。
マ「…弱点をついてるはずなのに、なかなか倒せない!?」
戦闘の様子を見て、マオは焦ったように呟く。
ロ「消滅はしているので大丈夫です!このまま攻撃をしてください!」
デ「わかった!」
ロードの声掛けに、ディムアは頷く。
そして、攻撃を受ける前に、2人は同時にライトニングを放ち、向かってくる全てのサラマンダーを麻痺させ、動きを止めた。
ル「…よし!今のうちだ!」
フ「うんっ!」
そう言い合い、ルクはブルーサラマンダーを狙ったランダムショット、フレイシーはレッドサラマンダーを狙ったガルベスタタイフーンを放った。
5人に襲いかかってきた全てのサラマンダーを、消滅させることが出来た。
マ「やったね!みんな、ナイスー!」
周りのサラマンダーが一掃された光景を見て、マオは仲間たちに嬉しそうに声を掛ける。
ル「…ふぅ。モンスターがだいぶ固いな…。」
フ「そうね。弱点を狙って攻撃しても、なかなか倒せないわ…。」
戦闘態勢を解きながら、ルクとフレイシーはそう言い合う。
ロ「カバリア島で1番危険な地域ということだけあって、モンスターもかなり強くなっていますね。」
デ「…うん。気を付けて戦わないとな。」
ロードとディムアも言い、少し険しい表情を見合わせた。
マ「…なるべく、モンスターに遭遇しないように進もう。最終ボス戦の為に、体力と魔力は温存しておかないとね!」
疎らにサラマンダーたちがうろついている、山頂に向かう道を眺めながら、マオは仲間たちにそう声を掛ける。
ロ「そうですね。モンスターの視界から逃れながら進んで行きましょう。」
ル「了解!」
ロードの言葉に、ルクや仲間たちは同時に頷いた。
その後、モンスターたちに見つからないように、岩陰を利用しながら、5人は少しずつ慎重に山頂に近付いていった。




