最後の5つ目のアイテム
デ「…ん…。」
ディムアは目を覚ました。
マ「…あ!ディムアが起きた!」
まだハッキリしない視界に、笑顔のマオが映る。
フ「よかった!気が付いたのね!」
ル「おー、お待ちかねのお目覚めだな!」
ルクとフレイシーの明るい声も、聞こえてきた。
デ「…みんな…?私、どうなったんだ…?」
ディムアは小さく呟き、まだ上手く働いていない頭で、記憶をたどる。
…確か、仲間たちと一緒にソキと戦っていて、最後に自分が闇属性の魔法でとどめを刺した。
ソキを倒した瞬間、目眩がして…そこから記憶がない。
デ「…そうか…。私は、気を失っていたのか…。」
ロ「…はい。心配しましたよ、ディムア。」
デ「…っ!!?」
そんなロードの声が聞こえた瞬間、ディムアは気が付いた。
今、自分はロードにおんぶをされているということに。
マ「ディムアいいなぁ、ロードにおんぶしてもらってるなんて!」
ロ「マオ…何を言ってるんですか…?」
ニヤけるマオを見て、ロードは苦笑いをしている。
デ「…ちょっと、待てっ…!!あ、わ、私は、もう歩ける!!歩けるから、降ろしてっ…!!」
顔が真っ赤になったディムアは、かなり慌てた様子を見せている。
ロ「まだ歩かない方がいいですよ。かなり疲れていると思うので、このまま行きましょう。」
デ「…うぅ…!でも、これではロードが疲れるだろ…!?」
ロ「僕は全然大丈夫です。」
ディムアが降りると言っても、ロードは微笑んでそう答え、彼女をおんぶしたまま歩き続けている。
フ「ディムア、本当に頑張ってソキと戦ってたものね!」
ル「あぁ、ディムアの闇魔法カッコよかったな!…って言っても、俺もソキに攻撃くらってて、そのときのことあんまりよく覚えてないけど…。笑」
明るいフレイシーの言葉の後に、ルクはそう呟き、苦笑いを浮かべる。
マ「そうなんだよね!ルクってば、ソキに銃は効かないってわかってるのに、銃弾撃ってるんだもん!」
ル「わかってたけど、あれはソキをフレイシーから気を逸らせる為にした行動なんだって!」
フ「体を張って私を護ってくれてありがとう…!ルクもかっこよかったわ!」
ル「えへへ…。まぁ、無謀だったけどな!」
ソキとの戦いを、マオとルクとフレイシーは、笑顔で振り返っている。
デ「…久しぶりの闇魔法だったからか、力が入りすぎたみたいだ…。それで倒れて、みんなに迷惑掛けた…。ごめん…。」
ロ「謝ることはないです。ディムアの強力な闇魔法のおかげで、ソキを倒すことが出来たんですよ。ありがとうございます。」
落ち込んでいる様子のディムアに、ロードは優しくそう声を掛けた。
デ「…。」
顔を赤くしたまま、照れ隠しで、ディムアは視線を落とす。
そのとき、大事なことを思い出し、仲間たちに慌てて尋ねる。
デ「…そ、そういえば、イエローストーンは入手出来たのか…!?」
マ「うん、もちろんちゃんとゲット出来たよ!ほらね!」
そう笑顔で言ったマオは、明るく輝くイエローストーンをディムアに見せる。
ロ「ソキが消滅した場所に、しっかり落ちていました。」
デ「…よかった…。」
ロードからの言葉も聞き、安堵したディムアは、小さく笑顔を浮かべた。
フ「これで、浄化魔法に必要なアイテムは4つ目ね!」
ル「あぁ、そうだな!順調順調!」
フレイシーとルクは、そう言って笑い合う。
とても和やかな雰囲気だった。
特に、ディムアは、ロードにおんぶされていることが、とても嬉しく、幸せを感じていた。
そして、5人は山小屋に到着した。
マ「着いたー!みんな、お疲れ!」
笑顔のマオは、仲間たちにそう声を掛ける。
デ「…ここは…?」
ロードの背中から降り、山小屋を眺めて、ディムアは呟く。
ロ「テチチ火山を登る旅人の為に建てられた山小屋らしいです。ここならモンスターにもほとんど見つからないようですね。」
マ「そうそう!テチチ火山に来る前に事前に調べて、ソキを倒してイエローストーンを入手したら、ここに泊まろうって決めてたんだよ!」
デ「そうだったのか…。」
ロードとマオの話を聞き、2人の事前リサーチの良さに、ディムアは感心したように呟く。
ル「どれどれ、中はどんな感じかなー?…おぉ!意外と広いしキレイだな!」
フ「本当ね!ゆっくり休めそう!」
マ「こんな山奥に、こんな快適な山小屋があるなんてねー!」
マオ、ルク、フレイシーは、早速山小屋の中に入り、既に寛いでいる。
デ「…あ、ロード…。」
ロ「…どうしました?」
3人に気付かれない場所で、ディムアはロードに静かに声を掛ける。
デ「…ええと…。ここまでおんぶしてくれて、ありがと…。う、嬉しかった…。」
ロ「…いえ。またいつでもしますよ。」
頬を紅潮させて小さく笑みを見せるディムアに、ロードは優しく微笑み掛けた。
マ「…実は、この山小屋に来たのには訳があるんだよ!ね、ロード?」
仲間たちの前でそう切り出し、マオはロードに視線を向ける。
フ「えっ?どんな訳かな?」
ル「なんかおもしろい話?」
ルクとフレイシーは顔を見合わせた後、ロードとマオの話に耳を傾ける。
ロ「はい。実は、浄化魔法に必要な…最後の5つ目のアイテムが、もう判明しているんです。」
フ「ほ、本当に…!?」
ル「おぉ!ついに次が最後なんだな!」
ロードの言葉を聞き、ルクとフレイシーは、驚いて声を上げる。
デ「…。」
同じく驚いた様子を見せるディムアも、ロードを見つめる。
ロ「最後は、〝タバスコ火山〟の山頂付近でしか入手出来ないという〝レッドストーン〟です。」
ル「…うん…辛そうな名前の山だ…!」
率直な感想を、ルクは真顔で言う。
フ「今までの流れで考えると…またボスが出るのかな…?」
ロ「はい、そうです。しかも、カバリア島の中で最も強いと言われているモンスター、〝スパイシードラゴン〟が出現するらしいです。」
ル「また辛そうな名前のモンスターだ!…って、ふざけてる場合じゃないよな…!!カバリア島で最強!!?」
ロードの話を聞き、ルクは驚愕する。
ロ「はい。そのタバスコ火山へは、テチチ火山を越えなければ、行くことが出来ないんです。」
ル「…なるほど!だからテチチ火山を下山しないで、タバスコ火山に近いこの小屋に来たってことか!」
ロードの説明を聞き、ルクは納得したように声を上げる。
フ「…カバリア島最強のモンスターなんて…。考えるだけでも恐いわ…。」
フレイシーは怖々と呟く。
ロ「大丈夫ですよ。いくつもの強敵を倒し、いくつもの困難を乗り越えた僕たちなら、スパイシードラゴンにも絶対に勝てます。」
デ「…うん。絶対負けない…!」
ロードの言葉に、ディムアはしっかり頷いてこたえる。
ル「そうだな!俺たちに倒せないモンスターはいない!」
フ「みんなで力を合わせて、最後まで戦いましょ!」
マ「おーっ!!」
マオ、ルク、フレイシーも、既にスパイシードラゴンと戦う心の準備は万端のようだった。
その後、夕食を済ませた5人は、タバスコ火山へ向かう明日に備え、すぐに就寝した。
しかし、これが本当に5人での最後の旅になることなど、このときは誰も知らなかった。
マ『今日は、テチチ火山山頂付近を訪れたが、その前に、タンゴ村にて事件が起こった。イグナスは、5年前にディムアの母親の命を奪ってしまい、ディムアはイグナスを殺しかけてしまったという関係だったことが判明した。そして、ディムアの母親はメア族ではなく人間だったことを彼女は明かし、イグナスはショックで自殺をしようとした。しかし、寸前で食い止めることが出来、ディムアとイグナスは話をして、和解することが出来た。これがきっかけで、ディムアの深い心の傷が、少し癒えたようだ。そして、テチチ火山山頂に行くと、予想通り、ボスのソキが出現した。今までのボス同様、ソキもとんでもなく強かったが、みんなでいつも通り一生懸命戦い、最後はディムアが闇属性魔法でとどめを刺した。無事に4つ目のアイテムのイエローストーンを入手した。最後の5つ目のアイテムは、もうわかっている。タバスコ火山にある、レッドストーンだ。明日、タバスコ火山を目指そうと思う 。』
マ「次がいよいよ最後のアイテム!気合い入れるぞー!」
そう意気込んだマオは、研究所に文章を送信した。
12*闇に染まった過去―完―




