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ラファメア・プロテクション  作者: あおいきりん
12*闇に染まった過去
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タンゴ村にて

1日の野宿を経て、5人はタンゴ村へ到着した。


ル「…やっと着いたぁ…!」


ルクは村の入口で倒れ込んだ。


フ「きゃっ!?ルク、大丈夫!?」


ル「あ、ごめん!大丈夫だよ。達成感でつい力がぬけちゃって…。」


驚いて顔を覗き込んできたフレイシーを見て、ルクは慌てて起き上がり、苦笑いをする。


フ「そっかぁ!もう、びっくりしたわ!」


安心したフレイシーは微笑んだ。


ロ「達成感で力が抜けるのはわかりますね。みんな、長旅お疲れ様でした。」


デ「ん…お疲れ。」


2人のそのやり取りを見て、ロードとディムアは視線を合わせて小さく笑う。


マ「本当、長かったね。ここがタンゴ村かぁ…。」


マオは村を見渡し、呟く。


遠くに村人が何人か見えた。


フ「私、早くタンゴ村長に会いたいなぁ!」


ロ「そうですね。村長がどこにいるか、聞いてみましょう。」


マ「オッケー。」


ワクワクしているフレイシーを先頭に、仲間たちはタンゴ村の中へと進んでいく。


ル「あ、待って…。みんな元気だなぁ。」


ルクはまた苦笑いを浮かべ、仲間たちの後を追った。




村を進むと、村人の中で一際目立つ存在の人?を、5人は発見した。


マ「あっ!もしかして…。」


フ「あの人がタンゴ村長かも!?」


マオとフレイシーは、その人?を凝視する。


?「…にゃ?旅人さんですかにゃ?」


その人…いや、その猫は、5人に気付くと、目を丸くして彼らと視線を合わせた。


ロ「こんにちは。あなたがタンゴ村長ですか?」


?「にゃー、こんにちはにゃ!その通り、ボクはこのタンゴ村の村長、タンゴにゃ!」


ロードの問い掛けに、タンゴは目を細めて笑顔で答える。


フ「うわぁぁ!可愛いー!」


タ「にゃっ!?えへへ、照れるにゃー。」


瞳を輝かせるフレイシーに頭を撫でられ、タンゴは照れ笑いを見せている。


デ「…本当に、猫がしゃべっている…。」


ル「すごいなぁ、さすがファンタジーの世界…。笑」


ディムアとルクは、タンゴを見つめて驚いている。


マ「なんか人の言葉をしゃべる動物って、オレ親近感湧くなぁ!」


タ「にゃにゃ!?キミも動物なのにしゃべるのにゃ!?親近感にゃ!よろしくにゃー!」


ロ「マオは小動物型のAIですけどね。」


意気投合して触れ合うタンゴとマオを見て、ロードはタンゴにそう説明した。


タ「皆さん、ここまで来るのに長旅じゃなかったにゃ?お疲れでしょうから、よかったらボクの家に来ないかにゃ?」


フ「えっ!?ご迷惑じゃないですか?」


タンゴの提案に、フレイシーは遠慮がちに尋ねる。


タ「全然にゃ!わざわざこんな小さな村に来てくれたんだにゃ、ちゃんとおもてなしするにゃん!」


タンゴは笑顔を見せる。


ロ「ありがとうございます。遠慮なくお邪魔させていただきますね。」


タ「にゃー!早速行くにゃー!ついてきてにゃ!」


ロードが頷いて答えると、タンゴは自宅に向かって歩き出す。


5人はタンゴの後を追った。


しばらく歩くと、小さな一軒家に着いた。


タ「ここがボクの家にゃ!上がって上がってにゃ!」


フ「お邪魔しまーす!」


タンゴに促され、フレイシーと仲間たちはあいさつしながらタンゴの家に入った。


?「おかえり、タンゴ。」


そのとき、家の奥の部屋から青年が出てきた。


タ「にゃー!〝イグナス〟、お客さんをお招きしたにゃ!」


タンゴは、青年イグナスにそう声を掛ける。


ロ「こんにちは。お邪魔します。」


イ「あぁ、こんにちは。ゆっくりしていってください。」


ロードがあいさつをすると、イグナスは微笑んでそう返した。


デ「…。」


イグナスと視線が合ったディムアは、違和感を覚えた。


彼とは、どこかで会ったことがある気がした。




5人は、タンゴに促され、リビングに腰掛けた。


タ「どーぞにゃ!ウェルカムドリンクにゃ!といっても、ただのお茶だけどにゃ!」


タンゴは5人の前にお茶とお菓子を出した。 ロ「ありがとうございます。」


ロードと仲間たちは、タンゴにお礼を言う。


フ「タンゴ村長とイグナスさんは、ご家族なんですか?」


イ「ううん、俺はただの居候だよ。元々俺は旅をしていたんだけど、数年前に大事故で足を悪くしてしまってね…。」


フレイシーの問い掛けに、イグナスは少し切なそうにそう答える。 イグナスは、右足が不自由だった。


ル「事故…?一体何があったの?」


タ「イグナスは、事故のことはボクにも話したがらないんだにゃん。」


ル「あ、そっか…ごめん。」


困った表情で言ったタンゴの言葉に、ルクは少し慌てて頭を下げる。


イ「いや、大丈夫だよ。それで、事故で搬送された病院がタンゴ村の隣の村の病院で、ちょうど病院にいたタンゴと出会ったんだ。…そして、右足が動かなくなってしまった俺のことを心配して、タンゴが一緒に住むことを提案してくれたんだよ。」


マ「そうだったんだ…。タンゴ、優しいね。」


タ「にゃーん!困ったときはお互い様だにゃ!」


マオに褒められ、タンゴはニコッと笑う。


ロ「イグナスさん、タンゴと出会えて良かったですね。」


イ「うん。本当に、タンゴには感謝してるよ。」


タ「にゃー。ボクもイグナスと一緒にいられるのが嬉しいにゃー!」


微笑み合うタンゴとイグナスを見ていると、まるで自分たちのようだと、ロードとマオは思い、2人の心は温かくなった。


タ「ロードさんたちは、どんな目的で旅をしているのにゃ?」


今度は、ロードたち5人に視線を向け、タンゴは尋ねる。


ロ「僕たちは…。ひと言で言うと、『メア族を救う』という目的で旅をしています。」


イ「…えっ…メア族…?」


ロードの言葉に、イグナスの表情が変わった。


デ「…。」


彼の表情の変化に、ディムアは反応する。


タ「メア族を救いたいのにゃ…?」


ロ「はい。メア族が命を狙われないように、闇の魔力を消し去る浄化魔法を習得して、メア族に掛けたいんです。」


タ「すごいにゃー!メア族を救うなんて、なかなか出来ない発想だにゃ!」


ロードの話を聞き、タンゴは驚いた様子を見せている。


ロ「はい。それで、今は浄化魔法の習得に必要なアイテムの1つ、イエローストーンを探しているのですが、どこにあるのかご存知ですか?」


タ「イエローストーンにゃ…!?それは、テチチ火山の山頂辺りでしか見つからないといわれている石にゃ!」


ロードが尋ねると、タンゴは少し険しい表情でそう答える。


マ「テチチ火山の山頂辺り?ふむふむ…!」


興味津々の様子で、マオはタンゴの言葉を聞いている。


タ「そこへ行くということことにゃ?そこには、テチチ火山のモンスターの中でも恐ろしい程強い力を持つ〝ソキ〟というモンスターが出現するかもしれないから、気を付けてにゃ…!」


今度は真剣な表情で、タンゴは言った。


ル「ボスか…。もう、今までの流れからして、予想は出来てたよな。」


ロ「そうですね。心して向かうことにしましょう。…タンゴ村長、教えていただきありがとうございます。」


ルクの呟きに頷いた後、ロードはタンゴに礼を述べた。


タ「いえいえにゃ。本当気を付けてにゃ…。でも、メア族って会ったことないけど、人を襲う怖い種族ってよく聞くにゃ…。」


フ「ううん、全然怖くないメア族もいるのよ!ほら、ディムアもメア族なんだけど、この子はとっても優しい子なの!」


少し怖がっているタンゴに、フレイシーはずっと無言のままのディムアに視線を向けてそう言った。


タ「にゃにゃ!?キミはメア族だったんにゃ!?びっくりにゃー!」


タンゴは驚き、ディムアを凝視する。


イ「…メア族…。君が…。」


デ「―っ!!」


イグナスがそう唖然と呟き、視線を合わせた瞬間、ディムアの中で、ある恐ろしい過去が突然フラッシュバックした。


そして、ディムアは突然立ち上がり、家を出て行ってしまった。


ロ「っ!?ディムア…!?」


突然の出来事に、ロードやその場にいた全員が困惑する。


マ「えっ…!?ディムア、急にどうしたんだろう…?」


ル「…なんか、すごい顔色悪かったみたいだけど…。」


フ「急に具合悪くなっちゃったのかな…?」


マオ、ルク、フレイシーは、心配そうな表情で顔を見合わせた。


タ「…もしかして、ボク悪いこと言っちゃったにゃ…?」


タンゴは不安そうに呟く。


ロ「…様子を見てきます。みんな待っていてください。」


ロードはそれだけ言い残し、ディムアを追って急いでタンゴの家を出た。


マ「だ、大丈夫かな…。」


フ「ロードが行ってくれたなら心配ないと思うわ。」


ル「そうだな…。待っててみよう。」


不安を抱えながらも、仲間たちは2人を待つことにした。


イ「…。」


イグナスは、まだ唖然とした様子だった。




デ「…はぁっ…はぁっ…。」


タンゴの家から少し離れた、周りに誰もいない木の陰で、ディムアは立ち止まり、胸を押さえていた。


イグナスとは、やはりあのとき会っている。


先程視線が合ったとき、そう確信してしまった。


思い出したくもない過去が、鮮明に蘇ってきてしまった。


心臓がバクバクとうるさく鳴っている。


冷や汗も止まらない。


ディムアの頭の中は、パニックになっていた。


ロ「…ディムア…!」


そのとき、ディムアの後を追いかけてきたロードが、静かに声を掛けた。


デ「…はぁ…はぁ…。ロー…ド…。わ、たし…っ!」


ロードに気付き、話そうとするも、呼吸が荒すぎて声を出すこともままならなかった。


ロ「…大丈夫ですよ。無理して声を出さなくていいです。…落ち着きましょう。」


呼吸が荒く、酷く怯えた様子のディムアに、ロードは静かにそう声を掛け、背中を優しく擦り続ける。


デ「…はぁっ…ふぅ…。」


しばらくすると、呼吸が落ち着いてきたようだった。


ロ「…大丈夫ですか?」


デ「…うん…。ありがと…。」


ロードが顔を覗き込むと、ディムアは小さく頷く。


しかし、まだ少し苦しそうな表情をしていた。


ロ「…。しばらくここにいますか?」


デ「…うん…。」


ロードは、このときはディムアに何も聞こうとしなかった。


先程の様子だと、突然何か怖いことを思い出してしまったのだろうか。


彼女が完全に落ち着きを取り戻すまでは、そっとしておこうと思った。


デ「…私…もう、あそこに戻れそうにない…。」


しばらくすると、ディムアはそう静かに呟いた。


ロ「わかりました。今日はこの近くで休む場所を探して、みんなとは後で合流しましょう。」


デ「…うん…。ごめん…。」


ロ「気にしないでください。」


落ち込んでいるディムアに、ロードは微笑み掛けた。


タンゴの家にいる仲間たちに連絡を取り、もう戻れないことを伝え、宿で合流しようと、ロードは伝えた。




マ『今日、オレは衝撃的な事実を知ってしまった。なんと、浄化魔法を唱えた者は命を落としてしまうという内容が、魔法の書に記載されていたのだ。ロードが死んでしまうなんて、そんなこと考えたくない。だから、ロードや仲間たちに、浄化魔法の習得は諦めようと言ったのだが、命を落とすことを回避する方法がきっとあるから探そうと、ロードは答えた。その言葉を信じ、我々は引き続き浄化魔法の習得を目指すことにした。大丈夫、ロードならきっと大丈夫。今日は、浄化魔法の習得に必要な4つ目のアイテムイエローストーンを探しに、テチチ火山のタンゴ村を訪れた。タンゴ村で、人の言葉を話せる猫、タンゴ村長と出会った。タンゴと、彼の家で居候している、片足が不自由な青年イグナスから、イエローストーンは、テチチ火山の山頂付近で採取出来ると教えてもらった。そこには、ソキというボスが潜んでいるかもしれないとも聞かされた。ディムアの具合が悪そうな為、明日テチチ火山山頂付近を目指すことにした。』


マ「ロード…絶対死んじゃダメだよ…。」


不安で押しつぶされそうになりながら、マオはそう呟き、研究所に文章を送信した。


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