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ラファメア・プロテクション  作者: あおいきりん
2*潜入!ピラミッド
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砂漠の地へ

翌日。


ロードとディムアとマオは、コーラルビーチのフィールドにいた。


3人の少し離れた場所に、弱いモンスターがいる。


ロ「…では、さっき教えた呪文を唱えてみてください。」


デ「…うん。」


ロードの言葉に、ディムアは静かに頷く。


そして、標的のモンスター、タコの姿の〝フラタコス〟を見据えながら、小さく詠唱をする。


詠唱を終え、手に持つ杖の先を、モンスターに向けて突き出した。


すると、フラタコスの頭上に、小さな稲妻が落ちた。


フ「キュッ!!」


稲妻を直撃したフラタコスは、一瞬動きを止めたが、すぐにディムアに襲い掛かって来た。


デ「…っ!」


ロ「ディムア、あとはマジックアローで倒せます!」


デ「…わ、わかった!」


ロードの指示に、ディムアは頷き、フラタコスの攻撃を受ける前に、マジックアローを唱えた。


フ「キュー…。」


マジックアローを直撃し、フラタコスは消滅した。


デ「…ふぅ。」


フラタコスを倒したディムアは、小さく息をついた。


ロ「すごいですね。1度教えただけなのに、もうライトニングを覚えましたよ。」


デ「…自分でも、まさか出せるとは思わなかった。」


笑顔で言ったロードに、ディムアは唖然とした表情でそう返す。


ロ「君ならすぐ攻撃魔法が上達しそうですね。頑張りましょう。」


デ「…うん。」


小さく笑い、ディムアは頷く。


闇魔法以外で初めての属性魔法を習得出来て、悪い気はしなかった。


マ「…ねぇ、ロード。今更だけど、ディムアに魔法教えない方がいいんじゃない?」


ロ「…どうしてですか?」


2人のやり取りを黙って見ていたマオの発言に、ロードは疑問を投げ掛ける。


マ「だって、ディムアは今後敵になるかもしれないんだよ?もしそうなったら、敵に魔法教えてるようなものじゃない。」


デ「…。」


少し機嫌が悪そうにマオが言うと、ディムアは少し寂しそうにうつむく。


ロ「ディムアは僕たちの敵になんてならないですよ。」


マ「どうしてそう言いきれるの?オレたちは、メア族のことをまだ何も知らないのに…。」


ロ「何も知らないからと疑ってかかるのは良くないです。ディムアがメア族であろうと、こうして一緒に旅をしているんですから、仲間なんですよ。」


マ「…だからお人好しなんだよ、ロードは。」


ロードの意見を聞いたマオは、心のモヤモヤが晴れない様子で、小さくそう呟く。


ロ「お人好しとはよく言われるので、気にしてないです。それに、たった1日で雷属性の魔法を習得出来て、ディムアは優秀ですよ。一生懸命魔法を覚えようとしてくれているのだから、僕もその思いに答えて精一杯教えたいんですよね。」


デ「…ま、まぁ…新しく魔法を覚えておいて、損はないからな…。」


ロードに褒められ、照れ隠しで視線を逸らし、ディムアは戸惑いながらそう返した。


ロ「そういうことです。なので、ディムアにはこれからも少しずつ魔法を教えていきますよ。」


マ「…ふーん。」


ロードの考えにまだ納得していないように、マオはやる気のない相槌を打つ。


ロ「今日はライトニングを習得出来たので、充分です。先へ進むことにしましょう。」


デ「…うん。」


マ「ほーい。」


ロードが笑顔で言うと、ディムアとマオは返事をして、3人は次の目的地へと歩き出した。




3人は、コーラルビーチのフィールドを抜け、砂漠のような砂地を歩いていた。


ロ「…少し暑くなってきましたね。」


デ「…そうだな。」


ロードに声を掛けられ、ディムアは頷く。


マ「この辺りは砂漠だからね。あと少し行けば、砂漠の街〝マリンデザート〟、そこを抜ければ都心の〝メガロポリス〟に行けるよ!」


事前にインプットしていた情報を頭の中に引き出し、マオはそう説明する。


ロ「わかりました。まずはマリンデザートの街に行き、休憩しましょう。」


マ「オッケー!」


ロードの提案に、マオは手を挙げて賛成する。




3人は、無事にマリンデザートの街にたどり着いた。


マ「着いたー!」


ロ「はい、お疲れ様です。」


デ「…お疲れ。」


街の入り口で、3人は顔を見合わせる。


マ「コーラルビーチは砂浜の街だったけど、マリンデザートは砂漠の街だね。」


ロ「どちらの街ものどかな雰囲気で、落ち着きますね。」


ロードとマオは、歩きながら街の中を見渡し、そう話している。


デ「…。」


その2人の後ろを、ディムアは人目を気にするような様子で、うつむき気味について行く。


マ「…さて、休憩だよね!どこで休憩する?」


ロ「…あそこの店はどうでしょう?」


マオに尋ねられ、目の前の『Cafe』と書かれた看板が立っている店を、ロードは指す。


マ「いいよ!じゃあ早速入ろう。」


マオは頷き、率先して店内に入る。


ロ「ディムア、入りましょう。」


デ「…あ、あぁ…。」


戸惑っている様子のディムアに声を掛け、ロードは彼女と一緒に店内に入った。




店内に入ると、店員に案内され、3人は席に座った。


マ「わぁ!美味しそうなスイーツがいっぱいあるね!オレは食べれないけど!」


メニューを見て、マオは声を上げる。


ロ「どれも美味しそうですね。何を注文しますか?


デ「…私はいらない。」


ロードに尋ねられ、ディムアはうつむいて答える。


ロ「甘い食べ物は苦手ですか?」


デ「いや…。こういうの、食べたことない…。」


ロ「そうなんですね。では、今日初めて食べてみましょうか。」


デ「…うん…。」


ロードの提案に、ディムアは戸惑いながら頷く。


ロ「マオが頼むとしたら、どれがいいと思いますか?」


マ「えーとね…。あ、これなんかいいんじゃない?」


ロードに尋ねられたマオは、メニューに大きく写真が載っている『マリンデザート限定フルーツタルト』を指した。


ロ「いいですね。僕はこのフルーツタルトを注文しますが、ディムアも同じにしますか?」


デ「…うん。なんでも…。」


ロードに声を掛けられ、ディムアは頷いた。


注文からしばらくして、2つのフルーツタルトが、テーブルに置かれた。


マ「来た来た!フルーツがいっぱい乗ってて美味しそうー!」


フルーツタルトに顔を近付け、マオは瞳を輝かせている。


ロ「そうですね。いただきます。」


デ「…えと…。いただき…ます。」


ロードの真似をして、ディムアは手を合わせて言う。 そして、ロードとディムアは同時にタルトを1口食べた。


デ「…っ!」


ロ「…どうですか?」


食べた瞬間、目を見開いたディムアの顔を、ロードは覗き込む。


デ「…美味しい…。こんなに美味しいもの、初めて食べた…!」


ロ「それはよかったですね。」


思わず笑顔が零れたディムアの言葉に、ロードは微笑んでそう返した。


マ「うんうん。ロードの感想は?」


ロ「僕もとても美味しいと思いますね。マオ、選んでくれてありがとうございます。」


マ「えへへー!」


ロードがそう答えると、マオは満面の笑顔を見せた。 こうして、3人は、ひと時の休息を楽しんだ。


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