氷のダンジョンへ
長い時間スノーヒルフィールドを進んだ頃、遠くの方で雪の山を発見した。
マ「あっ!あれ何だろう?」
真っ先にそれに向かって、マオは飛んでいく。 ロードたちも彼の後ろを追う。
ロ「…かまくらのようになっていますね。中には、氷で出来た、地下へと続く階段があります。」
かまくらの穴の中を覗き込み、ロードは言う。
デ「…もしかして、ダンジョンか…?」
ロ「…そのようですね。」
恐る恐る呟くディムアの言葉に、ロードは静かに頷く。
フ「カイルくんも、この中に入ったのかな…?」
ロ「そうですね。この中から、闇の魔力を感じるので。」
ル「ま、マジか…。」
フレイシーとルクは、唖然として顔を見合わせる。
マ「行く?…行くしかないよね?」
ロ「もちろん行きます。みんな、気を付けてください。」
マオの問い掛けに、ロードは迷うことなく頷き、先頭を切って氷の階段を下り始める。
デ「…。」
ル「滑ったらあの世に行きそうだ…。」
フ「こ、怖いこと言わないで…。」
仲間たちは、階段をゆっくり下りていった。
氷の階段を全て下り、ダンジョンの中を見渡す。
ル「…な、なんだここ…!全部氷で出来てる…!?」
全面の壁が氷だらけの光景に、ルクは唖然として声を漏らす。
フ「…すごいね。なんだか雰囲気も怖いみたい…。」
フレイシーも呟き、寒そうに両手で腕を擦る。
マ「一体どんなモンスターが出てくるんだろう…!?」
ロードの肩に乗っかりながら、マオは緊張した様子を見せる。
ロ「…ディムア、闇の魔力が弱まっているように感じませんか?」
デ「…うん。さっきより弱くなってる気がする…。」
ロードとディムアは、不安そうな表情でそう話す。
フ「えっ…!?弱くなってるって…カイルくんの身になにかがあったのかな…?」
ロ「…そうかもしれません。急ぎましょう!」
5人は顔を見合わせて頷き、ダンジョンの奥へと進む。
少し走ったところで、5人は足を止める。
彼らの前に、身体が氷で出来ていて、人間のようだが、足がなくて幽霊のように浮いている男女のモンスターが現れた。
マ「…男の方は〝プレレ〟、女の方は〝プレヤ〟!両方とも耐性は雷と闇、弱点は、プレレが物理、プレヤが銃だよ!」
ル「わかった!俺はプレヤの方を狙う!」
マオの説明を聞き、ルクは銃を構え、女の方のプレヤにクイックショットを放つ。
プレヤは銃弾をくらい、動きを止めたが、消滅しなかった。
そのとき、隣にいるプレレが、ルクに向かって息を吹き掛けた。
ル「―っ!!」
銃を握る右腕に息がかすった瞬間、ルクは銃を落とし、右腕を押さえた。
フ「ルク…!!」
マ「あ、危ない!!」
ルクに駆け寄るフレイシーに向かって、マオは叫ぶ。
フレイシーに、プレヤが息を吹き掛けようとしていた。
ロードとディムアが、フレイムトルネードを唱え、プレレとプレヤを炎で覆い、消滅させた。
ロ「ルク…大丈夫ですか?」
ル「腕が…凍ったみたいに動かない…!」
ロードが尋ねると、ルクは顔をしかめて声を上げる。
マ「…プレレとプレヤの息がかかったら、身体が凍ってしまうってこと…!?」
フ「そんな…!リカバリーで治るかな…!?」
怖々と口にしたマオの言葉を聞き、フレイシーはルクの腕にリカバリーを掛けようとする。
しかし、新たにプレレとプレヤが数体接近してきて、フレイシーはリカバリーを掛けることが出来ない。
ロ「僕とディムアがモンスターの相手をします!フレイシーは、ルクにリカバリーを掛けてください!」
フ「…うん!ありがとう!」
ロードの言葉にフレイシーは頷き、ルクにリカバリーを掛け始めた。
ロ「ディムア、プレレとプレヤの息には、充分気を付けてください!」
デ「わかった!」
そう交わしたロードとディムアは、襲い掛かってくるプレレとプレヤに、フレイムトルネードを放った。
炎を逃れたプレヤが、ルクとフレイシーに急接近し、息を吹き掛けようとした。
マ「ルクとフレイシーが危ない!!」
ロ「っ!!」
マオがそう叫んだときには、ディムアがシャワーオブアローを放ち、2人に接近したプレヤを消滅させていた。
マ「ディムア、避けて!!」
デ「―っ!!」
再びマオは叫んだが、ディムアは反応が遅れてしまい、動くことが出来なかった。
しかし、ディムアの前に咄嗟に出たロードの右腕に、プレレの息が掛かった。
デ「…ロードっ…!!」
ロ「…大丈夫です。」
酷く心配そうな表情のディムアに、小さく笑顔を見せ、ロードは杖を左手に持ち替え、プレレをスナップウィンドの風で切り裂き消滅させた。
マ「ロード、腕が…!!回復しなきゃ!!」
だらんと力が抜けているロードの右腕を見て、マオが心配そうな表情で声を掛ける。
デ「リカバリー掛けるぞ…!」
ロ「ありがとうございます…。でも、今はリカバリーをする時間がありません!またモンスターが来るようです…!」
慌ててリカバリーを掛けようとするディムアに、ロードは周囲の様子を見て静かに声を掛ける。
マ「本当だ…!また来る!」
プレレとプレヤが接近してくることを確認し、マオは声を上げる。
ル「…フレイシー、ありがとう!腕治った!」
フ「よかった…!」
フレイシーのリカバリーのおかげで、ルクの腕は回復し、2人は笑顔を見せ合う。
そして、すぐに立ち上がり、戦闘に戻った。
息の攻撃に注意しながら、ロードとディムアはフレイムトルネード、フレイシーはガルベスタタイフーン、ルクはランダムショットを放ち、無事にプレレとプレヤたちを一掃することが出来た。
マ「…みんな、プレレとプレヤの群れはいなくなったよ!」
辺りが静かになったことを確認したマオは、仲間たちにそう声を掛けた。
ロ「…とりあえず安心ですね。みんな、お疲れ様でした。」
安堵したように、ロードは小さく笑顔を見せる。
デ「…勝手に安心するな。腕を見せろ。」
ロ「あ、はい…。」
ディムアに静かに声を掛けられ、ロードは攻撃を受けた右腕を、彼女に差し出す。
デ「…腕が氷みたいに固くなってしまっている…。」
ロードの右腕を触り、ディムアは深刻そうに呟く。
ロ「右腕だけ感覚がなく、力も全く入らないです。」
心配そうなディムアに、ロードはそう説明する。
ル「元はと言えば、俺が最初に攻撃をくらって足を引っ張ったから、ロードも攻撃を受けてしまったんだよな…。ごめん…。」
デ「…違う。私が油断していたせいだ…。」
ルクとディムアは、落ち込んだように視線を落とす。
ロ「ルクもディムアも謝らないでください。あの恐ろしい攻撃をしてくるモンスターの群れを相手に、誰も大怪我をしなかったんですよ?よかったじゃないですか。」
微笑みながらロードは言い、2人を慰める。
マ「そうだよね!みんな、すごい頑張ってるんだから、落ち込まないでよ!」
フ「ロードとマオの言う通りね!」
マオとフレイシーも、笑顔を見せる。
ル「…あぁ。みんなありがとう。」
デ「…ありがと。」
ルクとディムアに、少し笑顔が戻った。
そして、ディムアがリカバリーを掛け終え、ロードの右腕は動くようになった。
ロ「ありがとうございます、ディムア。」
デ「うん。私こそ…庇ってくれてありがとう。」
2人は微笑み合った。
マ「治ってよかった!」
仲間たちも笑顔を見せ合い、再びダンジョンの奥へ進み始めた。




