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ラファメア・プロテクション  作者: あおいきりん
10*大波乱の女装コンテスト
62/92

コンテスト決勝戦

そして、あっという間に翌日。


女装コンテストの決勝戦の日を迎えた。


フ「いよいよ決勝戦…!ロード、ルク!落ち着いて頑張ってね!」


ル「あ、あぁ。頑張ってくる…。」


フレイシーのエールを受けるも、ルクは緊張で表情が強ばっている。


マ「ルクちゃん!?緊張しすぎてオネエ口調じゃなくなってるよ!?」


ル「…あ!が、頑張ってくるわね!」


マオの指摘にルクはハッとし、オネエ口調で言い直した。


デ「ロード…絶対優勝出来るから!頑張れ…!」


ロ「ありがとうございます、ディムア。精一杯頑張ります。」


静かな声援を送るディムアに、ロードは落ち着いた微笑みを見せた。


マ「2人とも、頑張ってね!」


マオの掛け声で、5人は頷き合い、ロードとルクは控え室へ向かった。




控え室に来たロードとルクは、舞台上で行うパフォーマンスの最終チェックをしていた。


ロ「…流れは昨日話した通りです。僕が魔力を最小限に抑えた魔法を出していくので、ルクは銃を撃つ格好をしながら、華麗な動きで避けてください。」


ル「了解よ!前まで私たちはそうやって戦ってたものね!それを思い出しながらやれば、簡単よ!」


ロードの説明を聞き、ルクは緊張しながらぎこちなく笑って頷く。


ロ「そうですね。盛大に転んだりしないように、気を付けてくださいね。」


ル「う、うん。ロードこそ、魔力の加減を間違えて、私に攻撃しないでよ?」


ロ「まぁ、出来る限り気を付けます。」


ル「で、出来る限りなの…?」


苦笑いを浮かべるルクを見て、ロードは笑っている。


ロ「…それにしても、決勝戦はなにか特技でパフォーマンスをしなければいけないと、リリアンさんから説明を受けたときは、困ってしまいましたね。」


ル「本当よね…。私たちこれといって何も特技ないし…。でも、これなら私とロードで一緒に出来るって、一生懸命考えたのよね!」


ロ「はい。2人一緒にパフォーマンスをすることを特別に許可してもらえてよかったですね。」


ル「それはよかったわね。でも、女装コンテストなのに特技パフォーマンスって…。このコンテスト、やっぱりちょっと変わってるわよね。」


昨日リリアンから特技パフォーマンスの話を聞いた瞬間の絶望感を思い出し、ルクは苦笑いをする。


ロ「そうですね。でも、これがこのコンテストのルールなので仕方ないですよ。とにかく落ち着いて精一杯やりましょう。」


ル「もちろんよ!お手合わせ、よろしくね!」


ロ「こちらこそ、よろしくお願いします。」


2人は頷き合った。




リ「…それでは、続きまして、エントリーNo.126と127の方です♡特別に2人でパフォーマンスをしてくれます♡それではお願いします♡」


マ「ついに来るよ…!ロードとルク!」


フ「上手く行きますように…!」


リリアンのそのアナウンスが聞こえると、観客席にいるマオとフレイシーは、緊張の面持ちでステージを見つめる。


デ「…。」


2人の隣で、ディムアもロードとルクの成功を祈り、ステージを見つめていた。


そして、ロードとルクが舞台袖から出てきて、ステージの真ん中まで歩き、足を止めた。


2人は観客席に向かって一礼した後、距離を取って向き合った。


そして、ロードは杖を構え、ルクは手で銃の形を作り、銃を構えたような体勢になる。


その直後、ロードはルクの近くに極小の竜巻を出現させた。 ルクは華麗にステージを転がって立ち上がり、ロードに向かって銃を撃つフリをする。


ロードも横にステップを踏んで華麗に銃弾を避けるフリをして、その直後に今度は極小の雷をルクの横に向けて放った。


その光景は、まるで2人が一緒にダンスを踊っているように、観客全員には見えていた。


更にロードの魔法による小さな光と音も相成り、迫力のあるダンスステージになっていた。


見応え充分な素晴らしいそのステージに、観客席から大きな拍手が巻き起こっていた。


フ「すごい…!かっこいい!!」


マ「2人とも動きが綺麗だね!!」


デ「こんなパフォーマンス、よく考えたな…。」


フレイシー、マオ、ディムアも感動している。


最後に、ロードは小さな炎を自分たちの近くに上へ向けて放ち、ルクとともに決めポーズを取った。


観客席から再び拍手喝采が起き、2人は一礼し、舞台袖へと戻って行った。




ル「あぁー!無事に終わったぁ!ロード、魔力の加減完璧だったな!」


ロ「はい、頑張りました。ルクの動きも完璧でしたよ。」


舞台の裏に戻った直後、2人は安堵の笑顔で顔を見合わせた。


リ「とっても素敵なパフォーマンスでしたね♡それでは、採点タイムです♡」


表で、リリアンのアナウンスが聞こえる。


ロ「…次は彼の出番ですね。すぐ行きましょう。」


ル「そうだな、行こう!」


真剣な表情でロードとルクは言い、逆側の舞台裏へ向かった。




舞台裏では、間もなく出番を迎えるシャルンが1人で立っていた。


シ(…くっ!なによ、あのパフォーマンス…。2人でやるなんて…。まぁ、私の可憐なダンスパフォーマンスで、あの2人の印象を薄くしてやるんだから…!)


ロードとルクの圧巻のパフォーマンスを見て焦りを感じているシャルンは、そう意気込んでいた。


ロ「…シャルンさん。」


そんな彼に、ロードは背中から静かに声を掛ける。


シ「…っ!?あ、あんた…なに?もうすぐ私出なきゃいけないんだから、邪魔しないでよね!?」


振り向いたシャルンは、不機嫌そうに強い口調でロードに言い放つ。


ロ「それは失礼しました。では…〝キャンセル〟。」


ロードは小さく笑みを浮かべ、シャルンの肩に軽く触れ、静かにそう呟いた。


シ「…は?」


その行動の意味がよくわからず、シャルンは気の抜けた声を漏らす。


リ「…お待たせしました♡エントリーNo.154の方のパフォーマンスです♡」


ロ「…出番ですよ。頑張ってください。」


リリアンのアナウンスを聞き、ロードは笑顔でシャルンに声を掛ける。


シ「…ふん!あんたに言われなくても頑張るわよ!」


シャルンはそう言い捨て、ステージに出た。


ロードは、後ろにいるルクと、小さく笑い合った。




舞台袖から出てきたシャルンは、ステージの中央に立ち、観客席に向けて一礼する。


そのとき、観客の誰もが唖然として彼を見ていた。


フ「…え…?この人、シャルン…さん?」


マ「嘘!?なんか浮腫んでるというか…太ってない?」


デ「…誰かわからないくらい変わってしまったな。」


フレイシー、マオ、ディムアも、シャルンを凝視してそう話す。


ステージ上に立つシャルンは、先程までの美貌の面影はまるでなくなり、小太りな体型になっていた。


リ「…え、えーと、あなたはシャルンちゃんで間違いないですか?」


シ「…?ええ、エントリーNo.154のシャルンです♡」


戸惑いながら確認するリリアンに、太ってしまったシャルンは微笑み掛ける。


そして、音楽が流れ始め、彼のダンスパフォーマンスが始まる。


パフォーマンス中、観客席は騒然、中には太った彼の踊る姿に笑っている人々もいた。


ロ「…。あれが彼の本来の姿のようですね。」


ル「…うわ…。本当に別人みたいだな…。」


舞台裏からシャルンを覗き込んでいたロードとルクも、唖然としてそう話す。


ロ「出番直前に掛けるのはやりすぎでしたかね?こんなに変わるとは思わなかったので…。」


ル「いや、気にすることないよ。ズルしてたあいつが悪いんだからさ!」


少し落ち込んでいるロードに、励ますようにルクは笑顔を向けた。


ロ「…そうですか?でも終わったら謝りに行こうと思います。」


ル「謝るんだ…。笑」


ロードの発言に、ルクは笑っていた。


2人が話しているうちに、シャルンはパフォーマンスを終え、一礼をして舞台袖へと退いた。


観客席は最後までザワついていた。


リ「…シャルンちゃん、ありがとうございましたー…。」


苦笑いをしながら、リリアンはそうアナウンスをした。




シ「…ど、どうして…!!??」


控え室に戻ってきたシャルンは、鏡を見て言葉を失う。


人魚に綺麗になる魔法を掛けてもらう前の、太った醜い身体に戻ってしまっていたからだった。


「シャルンちゃんったら、どうしちゃったのかしらね?」


「昨日暴飲暴食しちゃったんじゃない?」


決勝戦に残った他のオネエたちのひそひそ話と、クスクスという笑い声が、シャルンの耳に入ってきた。


シ「…っ!!」


青ざめた顔のシャルンは、控え室を飛び出していった。


ロ「っ!」


シャルンを追いかけようとするロードの腕を、ルクは咄嗟に掴む。


ル「待って。もうすぐで結果発表だ。それが終わってから話をするんでも、いいんじゃない?」


ロ「…。そうですね。」


ルクの言葉に、ロードは静かに頷いた。


エ「ね、ねぇねぇ!ロードちゃん、ルクちゃん!」


2人の元に、エイミーが慌てた様子で駆け寄ってきた。


エ「シャルンちゃん、あの身体どうしちゃったの!?やっぱり、今まで何か怪しいことをしてたとか…!?」


周りに聞こえないように、エイミーは2人に静かに問い掛ける。


ロ「…いえ。彼は怪しいことは何もしていませんでしたよ。」


エ「そうなの?じゃあ、どうしてあんな身体に…。」


ロ「僕にもわかりませんが、昨日の夜、今日の優勝を願って美味しい物を食べたら、美味しすぎて食べ過ぎてしまったのかもしれないですね。」


不思議そうな様子のエイミーに、ロードは小さな笑顔を見せてそう答えた。


ル「…ああ見えてシャルンは食いしん坊だったんだな。笑」


笑いを堪えながら、ルクは言う。


エ「なにそれー!笑 まぁ、これであの子の今回の優勝はなさそうね。もったいないことしたわねぇ。」


ロ「本当に…もったいないですよね。」


呆れたように言うエイミーに、ロードも残念そうにうつむき、静かに返した。




いよいよ結果発表のときが来た。


ステージ上に、決勝進出した、シャルン以外の7人と司会のリリアンが上がっていた。


リ「さぁ♡8名全員の審査員による採点が終わりました♡ついに結果発表のお時間です♡」


シャルンがいないことには、リリアンは触れなかった。


フ「ロード、ルク…!お願い…!!」


マ「優勝して…!!」


デ「…っ。」


フレイシー、マオ、ディムアは、手を合わせ、2人の優勝を祈る。


ロ・ル「...。」


ロードとルクも、かなり緊張した様子で、ステージに立っていた。


リ「それでは、まず3位から発表します♡第3位は…。エントリーNo.126、ルクちゃんです♡おめでとうございます♡♡」


ル「…っ!?お、俺が3位!!?」


信じられないといった様子で、ルクは声を上げる。


フ「ルクが3位なんて!!すっごーい!!」


マ「うん!!すごい!!頑張ったね!!」


デ「…やったな…ルク…!」


フレイシー、マオ、ディムアは、笑顔を見合わせる。


ロ「ルク、3位おめでとうございます!」


ル「あ、ありがとう…。マジでびっくりした…!」


ロードが笑顔を向けて言うが、ルクはまだ喜びより驚きの方が勝っているようだった。


リ「それでは、続いて準優勝を発表します♡準優勝は…。エントリーNo.104、エイミーちゃんです♡おめでとうございます♡♡」


エ「…っ!!」


名前を呼ばれた瞬間、エイミーは顔を手で隠し、涙ぐんでいるようだった。


ル「おめでとう!準優勝すごいな!」


ロ「おめでとうございます、エイミーさん。」


エイミーの隣にいた2人は、彼に笑顔で祝福の言葉を掛けた。


エ「…ロードちゃん、ルクちゃん…ありがとう!」


エイミーは、2人に涙ながらに微笑み返した。


リ「さぁ♡いよいよ優勝者の発表です♡第10回、マーメイドパレス女装コンテスト、優勝者は…♡」


「…。」


仲間たちは、ロードの優勝を懸命に祈った。


緊張の一瞬だった。


リ「…エントリーNo.127、ロードちゃんです♡優勝おめでとうございます!!♡♡♡」


その瞬間、会場全体が、大きな歓声と拍手に包まれた。


ロ「……。」


驚きで、ロードは固まっていた。


ル「…やったぁぁ!!ロード優勝おめでとう!!」


満面の笑顔で、ルクはロードの肩に手を回し、祝福した。


ロ「…は、はい!ありがとうございます!」


ロードも、とても嬉しそうな笑顔をルクに見せた。


デ「や、やった…!ロードが優勝した…!!」


マ「さっすがロード!!最高だよー!!」


フ「ロード、本当におめでとうー!!」


観客席から、ディムア、マオ、フレイシーが、笑顔でロードに手を振り、祝福した。


その仲間たちに、ロードは微笑んで手を振り返した。


リ「それでは、このまま授与式に移ります♡ロードちゃん、エイミーちゃん、ルクちゃんは中央へお願いします♡」


リリアンの指示で、名前を呼ばれた3人は中央へ立った。


そして、3位のルク、準優勝のエイミーに、賞金が渡された。


2人に渡された瞬間も、会場に拍手が鳴り響いた。


リ「そして♡見事今コンテストの優勝者に輝いたロードちゃんへ、優勝賞金と賞品が授与されます♡」


リリアンのアナウンスで、コンテスト実行委員の女性が、グリーンストーンを手渡した。


「おめでとうございます!」


ロ「…ありがとうございます。」


緊張の面持ちで、ロードはグリーンストーンを受け取った。


その後、賞金も受け取り、会場に再び大きな拍手が鳴り響く。


リ「では♡優勝者のロードちゃん、最後にスピーチをお願いします♡♡」


ロ「…えっ?スピーチですか?」


優勝者のスピーチがあるとは思っていなかったロードは困惑し、差し出されたマイクを躊躇しながら受け取った。


ル「スピーチだって!?…ロード、頑張れ!」


隣に立つルクが、声援を送る。


ロ「…ええと、会場の皆さん、今回のコンテストで優勝させていただき、ありがとうございました。本当に嬉しいです。僕自身初めての出場で、最初は正直、女装なんて…と戸惑いました。でも、僕のかけがえのない仲間たちの支えがあり、女装を楽しむことが出来、こうして優勝という成績を収めることが出来ました。仲間たちには、本当に感謝しかありません。みんな、ありがとうございます。」


そう話すロードは、隣にいるルクと、観客席にいるディムア、マオ、フレイシーと視線を合わせる。


ロ「そして、女装コンテストのことを教えてくださったリリアンさん、とても楽しい貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。また僕が出場する機会がありましたら、よろしくお願いします。最後に、今会場にいる皆さん、たくさんの拍手やご声援、ありがとうございました!」


スピーチを終えたロードは、深々と頭を下げた。


会場内に、大きな拍手が巻き起こった。


デ「…っ。」


フ「…ディムア?どうしたの?」


隣にいるディムアが涙を流していることに、フレイシーは気が付く。


デ「…ちょっと、感動してしまった…。」


フ「…うん!そうね!ロードのスピーチ、感動したね!」


ディムアの背中を、フレイシーは優しく擦り、彼女に微笑み掛ける。


マ「ロードってば、スピーチも完璧だぁ…。」


マオは目を輝かせ、ロードを見つめた。


リ「ロードちゃん♡とっても素敵なスピーチ、ありがとうございました♡では、これにて、第10回マーメイドパレス女装コンテストを閉会させていただきます♡また次回のコンテストでお会いしましょうね~♡」


そのリリアンのアナウンスにて、女装コンテストは無事に終了した。

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