ネイビスとの戦い・フレイシー救出
モンスターとの戦闘を最小限に抑えながら城を進み、ある部屋のドアの前で、ロードは足を止めた。
ロ「…ここです。この部屋から、光と闇の魔力を感じます。」
ロードがそう静かに呟くと、仲間たちは顔を見合わせる。
ル「…この中に、フレイシーが…!?」
ルクはドアノブに手を掛け、ゆっくりドアを開ける。 そして、暗く広い部屋の中を見渡した。
視界がはっきりしない中、部屋の隅に、人影があるのを4人は見つけた。
マ「…あっ!!」
その人影に恐る恐る近付き、マオは声を上げる。
四方が格子に囲まれたそのスペースに、フレイシーが倒れているのを確認したからだった。
ル「フレイシーっ!!」
ルクは叫び、必死の思いでフレイシーの元へ駆け寄った。
ロ「…!ルク!気を付けてください!!」
そのとき、何者かの気配を感じたロードは、ルクに向かって声を上げた。
ル「―っ!!」
その直後、ルクの全身は、黒いもやに包まれた。
デ「ルク…!!」
その場に膝を着いたルクに、仲間たちは急いで駆け寄る。
ネ「…貴様ら、待っていたぞ。」
彼らの目の前に、その声とともに、突如ネイビスが現れた。
マ「…こ、コイツがフレイシーを…!?」
ネイビスを目の前に、マオは怖気付き、ロードの背後に隠れる。
「…。」
ロード、ディムア、ルクは、ネイビスを見据える。
ネ「クククッ…。勝手に我の獲物に近付くのはご遠慮願おうか。」
ル「…獲物だって…!!?」
不気味な笑みを浮かべるネイビスの言葉を聞き、ルクの怒りは既に我慢の限界を超えていた。
ネ「そうだ。このラファ族の女を使って仲間の貴様らをおびき寄せた。貴様らを殺した後、最後にこの女をじっくり殺してやるのだ…!どうだ、最高の獲物だろう!?」
デ「…狂ってる…!!」
恐ろしい形相で恐ろしい言葉を発するネイビスを見て、ディムアは震える声で呟く。
ロ「ふざけるのはいい加減にしましょう。こんなことをして、自分がどうなるかわかっていますか?」
笑みを見せるロードは、冷静にネイビスに声を掛ける。
ネ「どうなるかだと?我がこの女も貴様らも殺して笑っている未来しか見えんがなぁ…!?」
ニヤリと笑い、ネイビスはそう答える。
ル「…ロード、こいつメア族らしいけど、殺ってもいいか…?」
ロ「…はい、いいですよ。どうやら、闇の魔力を持ったモンスターのようなので。」
ルクの静かな問い掛けに、ロードは答える。
マ「…えっ!?こいつ、モンスターなの!?メア族じゃなくて!?」
ロ「そうです。あの生気のない目は、間違いなくモンスターです。」
デ「そうか…。モンスターとわかれば、倒すだけだな。」
ル「そういうことだな…よしっ…!!」
4人は静かにそう話し、視線を合わせて頷き合った。
ネ「…死ぬ覚悟が出来たようだな!!」
そう言ったネイビスは、両手に魔力を溜める。
それと同時に、周囲に複数のモンスターが出現した。
マ「あいつの正体はわからない…!耐性も弱点も不明!あのボーンファイターと、あの金色の鎧の〝ブラスナイト〟の耐性は雷属性だから、ロードとディムアは気を付けて!」
ネイビスの正体は、マオにもわからないようだった。
出現したボーンファイターとブラスナイトを指し、マオはロードとディムアにそう伝えた。
ロ「了解です!」
デ「わかった…!」
2人は頷き、詠唱を開始した。
一斉に襲い掛かってくるモンスターたちに、ロードはガルベスタタイフーン、ディムアはフレイムトルネードを唱え、数を減らす。
ル「よくもフレイシーを…!!絶対許さねぇ!!」
怒り心頭のルクは、遠くからネイビスをクイックショットで狙い撃ちした。
しかし、ネイビスはその2発の銃弾を、闇の魔力で弾き飛ばした。
ル「―っ!!?」
ネ「そうか!!貴様から死にたいようだな!!」
ニヤリと笑みを浮かべ、そう叫んだその直後、ネイビスはシャドウランスを唱え、闇色の矢をルクに放った。
ル「うっ…!!」
シャドウランスが腕をかすめ、ルクは体勢を崩した。 その隙を狙い、周囲の数体のモンスターと、ネイビスがルクに攻撃を仕掛けようとする。
それを、ロードのライトニングが阻止した。
ネ「グゥッ!?」
ネイビスは動きを一瞬止める。
ロ「…貴方のような非常に極悪なモンスターは、仲間に近付いて欲しくないので、僕の相手をしてください。」
笑みを見せてそう言ったロードは、スナップウインドを唱え、ネイビスを強い風で切り裂く。
ネ「…クククッ…!!面白い!!受けて立とう!!」
不気味な笑みを浮かべたネイビスは、ロードに向けて手を突き出した。
ロ「―っ!?」
その瞬間、ロードの身体は、突然何かが取り憑いたように重くなった。
間髪入れずに、ネイビスは〝ハードグラビティ〟を唱え、ロード、ディムア、ルクの全身を、黒いもやが覆った。
デ・ル「うぅっ…!!」
モンスターたちと応戦していたディムアとルクは、突如襲って来た激しい息苦しさに、その場にうずくまる。
マ「…く、苦しい…!?」
ロードの肩に乗っているマオも、巻き添えをくらっていた。
ロ「…っ。」
攻撃を受けながら、ロードは目の前のネイビスの姿を凝視する。
ロードのファイアーカウンターが発動し、ネイビスの全身を炎が覆った。
ネ「…フンッ!!」
ダメージを受けながらも、ネイビスは炎を振り払った。
ロ「…話が違いますね…。攻撃するなら僕だけに、と言ったんですが…。」
少し苦しそうな表情を浮かべ、ロードはネイビスを見据えて呟く。
ネ「敵の言うことを正直に聞く馬鹿が何処にいると思っている!!全員まとめて殺してやるまでだ!!」
そう叫んだネイビスは、ディムアに向かってシャドウランスを放った。
デ「あぁっ…!!」
闇色の矢が身体に突き刺さり、ディムアは倒れる。
ロ「ディムア…!!」
ロードはフレイムトルネードを唱え、ディムアに襲い掛かろうとしている複数のモンスターを焼き尽くし、一気に消滅させた。
ロードはディムアのところに駆け寄ろうとするが、ネイビスの〝ダークスロー〟の効果で、上手く動くことが出来ない。
マ「…ロード!!危ない!!」
ロ「っ!!」
マオの言葉に、ロードは後ろを振り向く。
ネイビスは、〝ヘルファイア〟を唱え、闇色の炎をロードに放ってきていた。
ロードは咄嗟に杖で炎を弾き、ダメージを最小限に抑えた。
その直後、サンダーカウンターが発動し、ネイビスの頭上に大きな稲妻が落ちた。
ネ「…グフッ…!!」
その衝撃で、ネイビスは膝を着いた。
マ「…雷の魔法が効いてるね!多分、こいつの弱点は雷属性だよ!」
ロ「…わかりました…。マオ、ありがとうございます…。」
マオの言葉を聞き、息を少し切らしながらも、ロードは小さく笑みを見せ頷いた。
ネ「…煩わしい…!!貴様は絶対に最初に殺してやる!!」
ロ「はい、どうぞ。殺れるものなら殺ってみてください。」
恐ろしい形相のネイビスに、ロードは冷静にそう返した。
そのとき、ロードの背後から剣を振り下ろそうとしたモンスターを、ルクがクイックショットで消滅させた。
自分の周りに出現したモンスターを、何とか一掃したようだった。
ル「ふぅ…。こっち任せっぱなしで悪いな、ロード。」
ロ「ルク…!ありがとうございます!」
2人は小さく笑い合う。
その直後、ライトニングの稲妻が、ネイビスに直撃した。
ネ「ぐおぉあっ…!!」
大きなダメージを受けたネイビスは、苦痛な悲鳴を上げた。
デ「はぁ…はぁ…。」
ライトニングをネイビスに唱えたディムアが、息を切らしながら立っていた。
ロ「ディムア…!大丈夫ですか?」
デ「…大丈夫だ。雷が弱点なのは、朗報だな。」
ロードの問い掛けに、ディムアはそう答え、笑みを見せた。
ネ「…おのれぇぇえ!!ふざけるなぁぁぁぁ!!!」
怒り狂ったネイビスは叫び、〝ダークウィスパー〟を唱えた。
ハードグラビティよりも強い苦しみが、ロードたちに襲い掛かった。
「―っ!!!」
意識を失ってしまいそうな苦しさに、ディムア、ルクはその場にうずくまる。
マ「…うぅっ…!!」
マオも攻撃を受け、とても辛そうな表情で、ロードの肩にしがみついていた。
ロ「…ふざけているのは…貴方です…!!!」
激しい苦しみに必死に耐えながら、ロードはネイビスを強く睨み付け、サンダーカウンターを発動した。
ネ「ぐっ…!!」
稲妻をくらい、ネイビスは再び膝を付いた。
ロ「仲間たちの苦しみ…その身をもって思い知ってください!!!」
ロードは叫び、〝ライジン〟を放った。
ライトニングよりも遥かに高威力の雷が、ネイビスに容赦なく直撃した。
ネ「あぁぁぁぁあぁっ……!!!」
眩い光と、凄まじい轟音とともに、ネイビスの悲鳴が辺りに響いた。
そして、その光が消えるとともに、ネイビスの姿も、跡形もなく消えていた。
マ「…消えた…!…やったね!」
ネイビスが消滅したことを確認し、マオは喜びの声を上げる。
ロ「…っ。」
その瞬間、ロードは床に膝を着き、項垂れた。
マ「っ!?ロード…!大丈夫!?」
ロ「…はい…。なんとか、大丈夫です…。」
とても心配そうな表情のマオに顔を覗き込まれ、ロードは小さく頷いて答える。
デ「…ロード…苦しいのか…?」
ル「…ごめん…。俺がもっと攻撃出来ていれば…!」
同じく、ダメージをかなり受けたディムア、ルクも、ロードに歩み寄り、心配していた。
ロ「…みんな、ありがとうございます。…少し休めば大丈夫ですよ。」
そんな仲間たちに、ロードは微笑み掛ける。
ネイビスによる闇魔法のダメージが思いの他大きく、身体を起こしていることが少し辛かった。
デ「今、リカバリー掛けるから…。」
ロ「…いえ、僕のことはいいので…先にフレイシーの回復をしましょう…。」
自分にリカバリーを掛けようとするディムアの手を止め、ロードはそう声を掛ける。
マ「…本当に、大丈夫…?」
ロ「…はい、大丈夫です。」
少し呼吸が落ち着いたロードは、仲間たちにもう一度しっかり頷いて見せた。
デ「…。」
しかし、ディムアはまだロードを心配そうに見つめていた。
ル「…ありがとう、ロード。」
ルクは小さく笑みを見せ、そう言って立ち上がり、鉄格子の中で倒れているフレイシーの前まで歩み寄る。
ロードとディムアもそこまで行き、鉄格子の隙間に手を入れ、フレイシーの身体に触れ、同時にリカバリーを掛け始めた。
フ「…っ…?」
程なくして、フレイシーは目をゆっくり開けた。
ル「…フレイシー!大丈夫…!?」
フ「…ルク…!!」
ルクと視線が合ったフレイシーは、大粒の涙を流した。
ル「助かってよかった…。こんなことにさせてしまって、本当にごめん…。」
フ「…ううん…!…ルク…みんな…助けに来てくれて…本当にありがとう…!!」
視線を落としたルクの言葉に、フレイシーは、泣きながら感謝の言葉で返す。 鉄格子越しに、2人は手を繋いだ。
マ「フレイシー、無事で本当によかったね!」
デ「あぁ、それはよかったが…。この鉄格子は、どうやったら開くんだろう?」
フレイシーの無事を確認し、マオは喜ぶが、鉄格子を開ける方法はないかと、ディムアは首を捻る。
ロ「…どこかに、鉄格子の扉の鍵があるようですね。」
鉄格子の扉に鍵穴を見つけ、ロードは言う。
マ「鍵を探さなきゃいけないんだね…。」
手掛かりのない鍵をこれから探さなければいけないことに、気が遠くなるような思いで、マオは呟いた。
ロ「…。」
ふと、ロードは近くにモンスターの気配を感じた。
?「…ソロリ…ソロリ…。」
部屋からこっそり出て行きそうにしているその執事の格好をしたモンスターに、ロードは接近した。
ロ「…すみません、少々よろしいですか?」
?「ッ!!?」
笑顔のロードに声を掛けられ、モンスターは目を見開き、身体をビクつかせる。
マ「…このモンスターは〝ミスターフリークス〟、耐性は闇と雷、弱点は風だよ。」
執事風なモンスターを見つめ、マオは説明した。
ロ「…ミスターフリークス。この鉄格子の鍵がある場所を教えていただけませんか?」
笑顔を見せたまま、ロードはミスターフリークスに尋ねる。
ロードが構えた杖に、小さい風がまとわりついていて、今にも風魔法が唱えられようとしているようだった。
ミ「…ヒッ…!!コ、コレデス!!アゲルカラユルシテクダサイ!!」
恐怖に怯えた様子のミスターフリークスは、ロードに鍵を差し出した。
ロ「お持ちでしたか。ありがとうございます♪」
ミ「…ヒィ~ッ!!」
ロードが鍵を受け取った瞬間、ミスターフリークスは悲鳴を上げながら、部屋から出て行った。
マ「やったね!こんなにすぐ鍵が手に入っちゃった!」
デ「…ナイスだな、ロード。」
マオとディムアは、ロードに笑顔を向ける。
ル「何でかわからないけど、おもしろいやり取りだったな!」
ニッとした笑みを見せ、ルクは言う。
ロ「ちょうど鍵を持っていたモンスターがいてよかったです。」
小さく笑って言ったロードは、鍵を鍵穴に差し込み、回した。
ロックが解除され、鉄格子の扉は開いた。
ル「―っ!?」
その瞬間、フレイシーは、ルクに抱きついた。
フ「…恐かったよぉ…ルク…!!」
ル「…あ、あぁ…。本当に、ごめん…。」
泣いて震えるフレイシーの背中を、ルクは優しくさする。
ルクの顔は、赤くなっていた。
マ「おぉ…。これはロマンチックなシーンですな…!」
抱き合う2人を見て、マオはニヤニヤしている。
ロ「…よかったですね。」
デ「…うん。」
ロードとディムアは、微笑んで視線を合わせた。
マ「…あっ!!」
マオは突然声を上げ、部屋の中央へ飛んで行く。
ロ「?マオ、どうしました?」
ロードがマオに視線を向けたとき、彼は床に落ちている何かを拾っていた。
マ「…ほら!これが落ちてたよ!」
ロードの目の前まで飛んで来たマオの手には、紫色に輝く小さな石が握られていた。
デ「…もしかして…これが…。」
ロ「…パープルストーン…ですね?」
ディムアに続き、ロードがマオに尋ねる。
マ「うん!あの極悪モンスターが隠し持っていたのかもしれない!」
ロ「…見つかってよかったですね。ありがとうございます。」
パープルストーンを受け取り、ロードはマオ、ディムアと笑顔を見せ合った。
ル「…よし、モンスターがまた襲って来る前に、ここから出よう。」
フ「…うん!」
泣き止み、落ち着いたフレイシーと立ち上がったルクは、彼女と頷き合う。
ロ「はい。行きましょう…。」
デ「っ!」
歩き出したロードはよろけてしまい、隣にいたディムアが咄嗟に支えた。
ロ「…っ!すみません…!」
ハッとしたロードは、ディムアから離れ、しっかりと立ち直す。
デ「…無理するな。じっとしてろ。」
心配そうに声を掛けたディムアは、ロードの身体に手を添え、リカバリーを掛け始めた。
ロ「…。ありがとうございます、ディムア。」
懸命にリカバリーを掛けるディムアを、ロードは見つめる。
マ「ディムアにリカバリー掛けてもらったら、ロードはたちまち元気いっぱいだね!」
ロ「そうですね。とても元気になれます。」
デ「…っ。。」
笑顔のロードとマオのその会話を聞き、ディムアは頬を赤くし、うつむいた。
ルクとフレイシーも、ロードとディムアを微笑みながら見守っていた。
ディムアのリカバリーにより、ロードの傷が回復した後、5人はバンパイアキャッスルを後にした。
マ『魔法の書の解読を進め、浄化魔法を習得するにあたり、いくつかアイテムが必要なことが判明した。今日は、その1つ目のアイテム、パープルストーンを探しに、バンパイアキャッスルに潜入した。そこでは、我々が2手に分かれなければならない仕掛けがあり、オレはロードと離れて行動することになった。フレイシーがさらわれ、ルクはモンスターに攻撃されて、大変な目に遭った。ルクはオレのことを身体を張ってモンスターの攻撃から守ってくれて、かっこよかった。ロードとディムアも助けに来てくれた。そして、合流した我々は、さらわれたフレイシーを救出しに向かった。相手は闇の魔力を持つ、正体不明の極悪モンスターだった。高威力の闇属性魔法を使うとても恐ろしいモンスターだったが、なんとか倒すことが出来た。フレイシーも無事救出し、パープルストーンも入手した。だんだん敵も強くなってきているようだが、ロードと一緒にいれば怖いものなんてない。今後も解読を進めて、必要アイテムを揃えていこうと思う。』
マ「ルクとフレイシーもラブラブだったなぁ!笑」
今日もマオはニヤニヤしながら、研究所に文章を送信した。
9*闇に溶け込む悪魔―完―




