バンパイアキャッスルへ潜入
5人は、バンパイアキャッスルへ足を踏み入れた。
予想以上の暗さと不気味な雰囲気に、5人は息を呑む。
フ「…うぅ…暗くて怖い…。」
ル「…大丈夫だよ。俺から離れないで。」
フ「う、うん…!」
怖がるフレイシーを、ルクは安心させるように優しく声を掛けていた。
マ「…あれ?ルクってこんなに頼もしかったっけ?」
2人のやり取りを見て、マオはニヤニヤしている。
ロ「ルクも頼もしく成長したんですね。良いことです。」
デ「…うん。よかったな。」
ロードとディムアは、顔を見合わせて微笑む。
そんなやり取りをしていた、その直後だった。
?「オソウジオソウジ、ランランラン♪」
少女のようなそんな声が、5人には聞こえた。
「―っ!」
その声の方に、5人は一斉に視線を向ける。
大広間の中央で、メイド服を着て、悪魔の羽を羽ばたかせながら床のモップがけをしているモンスターがいた。
鼻歌を歌いながら掃除をしているその姿を、5人は身体を硬直させて見ていた。
そして、5人に気が付いた瞬間、そのモンスターは目を見開く。
?「シンニュウシャ、ハッケン!!シンニュウシャ、オソウジシマス!!」
そして、そう叫びながら、モンスターはモップを構えて5人に急接近してきた。
フ「きゃぁっ!?」
そのモンスターの形相に、フレイシーは悲鳴を上げる。 ロードは咄嗟にウィンドエッジを唱え、モンスターを風で弾き飛ばした。
マ「…ええっと、このモンスターは〝メイドのリディア〟!耐性は魔法、弱点は銃だよ!」
ル「オッケー!俺が倒す!」
マオの説明で、リディアの弱点が銃と聞き、ルクはニッと笑い、銃を構える。
リ「…ケルベロスゥ!!カモーン!!」
?「バゥッ!!バゥッ!!」
体勢を整えたリディアがそう声を上げると、部屋の奥から、犬の見た目のモンスターが、悪魔の羽を羽ばたかせ、吠えながら数体飛んできた。
ル「うわっ…!番犬!?」
そう呟きながらも、ルクはリディアにクイックショットを放つ。
リ「ギャアッ!?」
2発の銃弾をくらったリディアは、悲鳴を上げて消滅した。
マ「…こっちの犬モンスターは〝ケルベロス〟!耐性は銃、弱点は魔法だよ!」
ロ「了解しました。ケルベロスは範囲魔法で一気に片付けましょう!」
デ「…わかった!」
フ「範囲魔法ね…!」
マオの説明を聞いて指示を出すロードに、ディムアとフレイシーは頷いた。
ロードはフレイムトルネードを唱え、数体のケルベロスを炎で一瞬にして燃やし尽くす。
フレイシーがガルベスタタイフーンの風の攻撃で数体のケルベロスにダメージを与えた直後に、ディムアがライトニングでとどめを刺した。
ル「うぉっ!?」
後ろから素早く噛み付かれそうになり、ルクは咄嗟にそのケルベロスにパワーショットを放つ。
しかし、銃が耐性のケルベロスは、ルクの銃攻撃の効きか弱く、すぐにまた襲いかかってきた。
そのケルベロスに、フレイシーがアイスクリスタルを唱え、氷塊をぶつけて消滅させた。
ル「フレイシー、ありがとな!」
フ「どういたしまして!」
2人は、笑顔を見合わせた。
ロ「…まずはメイドと番犬がお出迎えでしたね。」
周囲にモンスターがいなくなったことを確認し、ロードは杖の構えを解いて呟く。
デ「そうだな…。いかにも城に住み着くモンスターという感じだな。」
ディムアも小さく息をつき、答えた。
マ「…どうでもいいんだけど、なんかさっきのケルベロスって、見た目がオレに似てなかった?」
先程出現したケルベロスの姿を思い出し、マオはふと尋ねる。
ロ「確かに似ていましたね。でも、マオの方が何万倍も可愛いですよ。」
マ「やったー!えへへ♪」
そう返して微笑んだロードに頭を撫でられ、マオは満面の笑顔を浮かべた。
デ「可愛いって言われたかっただけだな?」
マ「いや、別にそうじゃないけど?」
ディムアに横目で見られ、マオはいたずらっぽく笑い、視線を逸らす。
フ「マオがケルベロスより何万倍も可愛いのは、私も同感よ♪」
マ「本当に?嬉しいー!」
フレイシーの言葉に、マオは更に嬉しそうだった。
ル「はいはい、そうですね。笑 じゃあ、先に行こうか?」
適当に話を終わらせ、ルクは城の奥の方を指す。
ロ「あ、はい、行きましょう。」
ロードは頷き、歩き出す。
仲間たちも後ろに続いた。
1つのドアの前に立ち、ドアノブを回すが、そのドアは開かない。
マ「…開かないね。鍵が掛かってる?」
ロ「そうですね。そっちのドアはどうでしょうか?」
マオの言葉にロードは返し、少し離れた場所にある扉の方へ行く。
しかし、そのドアも開かなかった。
ロ「…?」
マ「…ん?どうしたの、ロード?」
ドアを見つめ、何かに気が付いた様子のロードに、マオは問い掛ける。
ロ「このボタンは何でしょう?」
ドアの横にあるボタンを、ロードは指す。
ル「本当だ…。いかにも罠のような怪しいボタンじゃないか?」
そのボタンを見て、ルクは苦笑いをする。
マ「あ、そのボタン、さっき見たドアの横にもついてたよ。」
ロ「…もしかしたらですが、2つのボタンを同時に押したら両方の扉が開く、というような仕掛けでしょうか?」
マオの言葉を聞き、ロードはそう予想する。
フ「そうなの?なんだか、押すの怖いわ…。」
ル「…よし!俺は向こうのドアのボタンを押してみるな。」
怖がるフレイシーにいい所を見せる為か、ルクが率先して最初に立ったドアの前に向かう。
ロ「はい、お願いします。」
ロードは頷き、仲間たちとともに先程のドアの前に立つルクを見つめる。
ル「…じゃあ、押すな?」
ロ「はい。せーので押しましょう。」
ル「…お、おう。」
ロードの言葉に、ルクは躊躇しながらも頷く。 仲間たちも、2人を見守っていた。
ロ・ル「せーのっ!」
声を合わせてそう言った瞬間、ロードとルクはドアの横のボタンを押した。
すると、2つのドアからカチッと鍵の開く音がして、両方のドアは開いた。
マ「おぉっ!ビンゴだね!」
フ「やったわ!2人とも、ありがとう!」
ドアの鍵が開いたことに、マオとフレイシーは喜んだ。
ル「よかった…。これで先へ進めるな!」
ルクも笑顔を浮かべ、安心したのも束の間、次の問題が発生した。
ロ「…ルク、今ドアは開きますか?」
ル「え?さっき鍵が開いたから開くはずじゃ…。あれ?開かない…?」
ロードに声を掛けられ、ルクがドアノブを回すと、ドアは開かなくなっていた。
ロ「今、僕はボタンから指を離しています。」
ロードがそう説明すると、ディムアは嫌な予感をめぐらせたようだ。
デ「…もしかして…。同時に押してる間しか、ドアは開かないのか…?」
ロ「どうやら、そのようです。」
ディムアが静かに呟くと、ロードは小さく息をついて頷いた。
マ「ってことは…この先からは、2手に別れないと先へ進めない!?」
ル「…マジか…。」
その事実に気付いたマオは、仲間たちとともに呆然とする。
フ「ええと、2手に分かれたら、すぐ合流出来るのよね…?」
ロ「それはわからないですね…。この先ですぐ合流出来るかもしれないですし、しばらく出来ないという可能性も考えられます。」
不安そうに尋ねるフレイシーに、ロードは少し険しい表情を浮かべて答える。
ル「…大丈夫!すぐ合流出来るだろ!」
仲間たちの不安を払拭するように、ルクは明るく笑顔でそう声を掛けた。
マ「…うん、そうだよね!一瞬離れるだけだよね!」
ルクの言葉に、マオも明るい表情で頷く。
ロ「そうです。僕たちなら、2手に分かれても乗り越えられますよ。」
デ「…そうだな。きっと大丈夫。」
ロードとディムアは、視線を合わせ、小さく笑みを見せる。
ル「じゃあ、どういうふうに分かれる?」
マ「ルク・フレイシーと、ロード・ディムア・オレで分かれるのでいいんじゃないかな?」
ルクが尋ねると、マオが分担の提案をする。
ロ「…。マオ。ルクとフレイシーと一緒に行ってもらってもいいですか?」
マ「…えっ!?」
ロードの予想外の発言に、マオは声を上げてしまう。
デ「…珍しいな。ロードがマオと別行動を指示するなんて…。」
ディムアも、驚いた様子で呟く。
ロ「僕とマオは、お互いの居場所が把握出来ます。万が一ルクたちと連絡が取れなくなった場合でも、居場所さえわかっていれば、合流するのが楽だと思うんです。」
ル「な、なるほど…!」
ロードの説明を聞き、ルクは感心したように声を漏らす。
マ「…そうだね。わかった!オレはルクとフレイシーと一緒に行く!」
ロードと離れてしまうのが心細かったが、マオはその思いを振り払い、しっかり頷いた。
フ「マオ、よろしくね!」
ル「なんか、ロードといないマオって新鮮だな。よろしく!」
マ「オレもロードといないの慣れてないけど、頑張るよ!2人ともよろしくー!」
3人は、笑顔を見せ合った。
デ「…。」
ロードの隣にいるディムアは、安心しているような穏やかな表情を見せていた。
ロ「では、先へ進みましょう。みんな、くれぐれも気を付けてくださいね。」
ル「あぁ、何かあったら連絡する。また後でな!」
そう言い合った2人は、ドアのボタンを同時に押し、ドアの鍵を開けた。
最後に5人は頷き合い、それぞれがドアの向こうの部屋へ入って行った。




