ローズガーデンへ
翌日、準備を済ませた5人は、早速バンパイアキャッスルに向かっていた。
マ「バンパイアキャッスルへは、このイベントガーデンを越えた先にある〝ローズガーデンフィールド〟を更に越えた先に建ってるよ!」
インプットしてあるデータを引き出し、マオは仲間たちにそう説明した。
ロ「はい、わかりました。ありがとうございます。」
ロードはそう返し、マオに笑みを見せる。
フ「あんなに難しい魔法の書を解読して、アイテムとその場所まで特定出来たなんて本当にすごいわね!」
ル「そうだな…。さすが天才コンビだ!」
マ「いやいや、それほどでも♪」
フレイシーとルクに尊敬の眼差しで見つめられ、マオは誇らしげな笑顔を浮かべた。
ロ「浄化魔法に必要なアイテムがどのくらいあるかはまだわかりませんが、今後も少しずつ解読していって、アイテムを特定して探し出していきたいと思います。みんな、これからもよろしくお願いしますね。」
今後の旅の方針を説明したロードは、仲間たちを見つめ、そう声を掛けた。
デ「…うん。こっちこそ、よろしく。」
ディムアは小さく笑みを見せ、ロードに返す。
ル「あぁ、改めてよろしくな!」
そう返したルクは、ニッと笑った。
フ「よろしくね!なんだか、新たな旅の始まりって感じでまた新鮮な気持ちね!」
ロ「そうですね。今までは魔法の書を見つける旅でしたが、今日からは浄化魔法に必要なアイテム探しの旅ですね。」
明るい表情のフレイシーの言葉を聞き、ロードは説明を付け加えた。
マ「…まぁ、リスクが何なのかがまだわからないのが心配だけどね…。」
デ「…そうだな…。」
不安な表情を浮かべてマオが言うと、同じ不安を抱えていたディムアもうつむいた。
ロ「…確かに、そこが不安要素ではありますね。でも、それは今は考えないようにしましょう。」
マ「…それもそうだね。わからないことを気にしてもしょうがないよね。」
ロ「そうですよ。せっかくみんなと旅が出来るんです、楽しく行きましょう!」
マオ、ディムアの不安を振り払うように、ロードは微笑んでそう言った。
フ「…うん!ロードの言う通りね!」
ル「旅は楽しんだもん勝ちだよな!」
フレイシーとルクは、笑顔で言い合う。
マ「…わかった。これからもみんなで楽しく旅しよう!」
デ「…うん。楽しもう。」
マオとディムアにも、笑顔が戻った。
ロ「みんな、ありがとうございます。では気を取り直して、マオ、案内お願いします。」
マ「オッケー!」
ロードに声を掛けられ、マオは元気よく頷いた。
マオを先頭に、5人はイベントガーデンを抜け、ローズガーデンフィールドに足を踏み入れた。
フ「すごーい!綺麗な薔薇がいっぱいね!」
辺り一面に咲く赤い薔薇を眺め、フレイシーは嬉しそうに声を上げる。
マ「その名の通り、薔薇園のようなフィールドだね。」
マオは言い、フィールドを見渡す。
ル「うんうん、薔薇に見惚れるなんて、さすがフレイシーは女の子だな!」
薔薇を見て瞳を輝かせるフレイシーを見て、ルクは笑っている。
デ「…薔薇に見惚れない私は女の子じゃないからな。」
ル「えっ!?いや、そんなことは言ってないけど!?」
いじけたようなディムアの発言を聞き、ルクは慌ててそう返す。
デ「冗談だ。」
ル「あ、あぁ、なんだ冗談か…。」
少しいたずらっぽい笑みを浮かべるディムアを見て、ルクは苦笑いをして呟く。
マ「ルクとディムア、そんなやり取りしたらさぁー…。」
そう言いかけたマオは、ロードを横目で見る。
ロ「心配しなくても、ディムアは可愛い女の子なので大丈夫ですよ。」
デ「…っ!?」
微笑むロードの言葉に、ディムアは頬を赤らめる。
マ「ほらーっ!ロードがディムアを照れさせてくるんだからー!」
ロードとディムアのその様子を見て、マオは困ったような笑顔で声を上げる。
ル「相変わらずの仲良しぶりだな。こっちが照れてくる。笑」
同じく2人のやり取りを見ていたルクは、ニヤッとした笑いを浮かべる。
フ「そうね!私たちも負けてられないわね!ルク♪」
ル「…へっ!?」
そう言って微笑むフレイシーに顔を覗き込まれ、ルクは内心ドキッとしたようだった。
マ(…おぉっ!こっちでも恋の予感が…!)
ルクとフレイシーのやり取りを見て、マオはニヤニヤと笑っていた。
そのとき、そんな和やかな雰囲気の5人の前に、突如何かが現れた。
「っ!」
5人は素早く身構え、現れたものの正体を確認する。 ドレスを着た、バレリーナのように片足でクルクル回って踊る、人形のように見えた。
ル「な、なんだこいつ…?目が死んでる…。」
ロ「…そうですね。どう見てもモンスターです。」
ルクが気味悪そうに呟くと、ロードは目の前のモンスターから視線を離さず、静かに返す。
マ「〝ダンサーイザベル〟っていうモンスターだよ!耐性は光と闇、弱点は物理と銃だって!」
モンスターのデータを頭の中で引き出し、マオは説明する。
フ「弱点が銃なら、ルクの出番ね!」
ル「おっしゃ!任せろ!」
フレイシーの言葉に、ルクは意気揚々と答え、銃を構えて1歩前に出る。
マ「あ、ちなみにマジックアロー使ってくるよ!」
ル「っ!?」
マオがそう言った瞬間、ダンサーイザベルは、ルクにマジックアローを放ってきた。
ルクは瞬時に地面を横に転がり、マジックアローの直撃を避け、その直後にダンサーイザベルにクイックショットを放った。
2発連続で放たれた銃弾は、ダンサーイザベルに命中し、消滅させることに成功した。
フ「やった!さすがルクね!」
ル「ははっ!余裕だな♪」
フレイシーに褒められ、ルクは照れ笑いを浮かべる。
ロ「ナイスです。またダンサーイザベルが現れたら、ルクに戦ってもらいますね。」
ル「了解!」
ロードの言葉に、ルクは頷いた。
再び歩き出すと、今度は目の前にイケメン風の男性が踊りながら出てきた。
デ「…これもモンスターか…?」
マ「もちろんモンスターだよ!〝ダンサーミッシェル〟、耐性は光と闇、弱点は物理!」
ディムアが呟くと、マオは頷き、そう説明した。
ロ「わかりました。」
頷いた後、ロードはウォーターシェルを唱え、ダンサーミッシェルに水の弾を放った。
水の弾をくらい、ダンサーミッシェルは一瞬で消滅した。
その後、モンスターはたまに出現する程度で、ダンサーイザベルはルク、ダンサーミッシェルはロード、ディムア、フレイシーが魔法攻撃で応戦しながら進んでいった。
マ「あっ!あそこだ!」
ローズガーデンフィールドをだいぶ順調に進んだ所で、マオがふと声を上げた。
マオが見上げる視線の先には、バンパイアキャッスルがそびえ立っていた。
ロ「…あれがバンパイアキャッスルですね。」
フ「わぁ…。なんだか外から見ただけでも怪しい雰囲気ね…。」
ル「あぁ、確かに、城から不気味なオーラが出てる気がするな…。」
バンパイアキャッスルを見据え、ロード、フレイシー、ルクは呟く。
デ「…あそこまで行くには、この階段を上りきらなければいけないんだな…。」
バンパイアキャッスルの手前にある長い階段を見ながら、ディムアは唖然と呟く。
ル「階段か…長いなぁ。」
上に長くのびる階段を見て、ルクが既に気が遠くなっていた、そのときだった。
5人のすぐ近くに、服を着た大きな野獣が現れた。
「っ!!」
雄叫びを上げながら、野獣は5人に襲い掛かってきた。
ロードは瞬時にライトニングを唱え、野獣の頭上から稲妻を落とし、消滅させた。
フ「び、ビックリしたぁ…!」
野獣の迫力に、フレイシーは思わず目を見開き、声を上げた。
マ「…えーと、今の野獣は〝ビーストビンセント〟。耐性は物理と銃、弱点は魔法だよ!」
マオがそう説明した直後、複数のビーストビンセントが、草の陰から出てきた。
ロ「ルクは構わず進んでください。僕たちが魔法で攻撃しながら上ります。」
ル「あ、あぁ…悪い!よろしくな!」
ロードの言葉に、ルクは遠慮がちに頷き、階段を上り始めた。
ロード、ディムア、フレイシーも、それぞれ魔法でビーストビンセントを撃退しながら、階段を上っていく。
マ「…みんな、体力大丈夫!?」
全階段の真ん中程まで上った辺りで、マオが仲間たちにそう声を掛ける。
ル「…俺はなんとか大丈夫だけど…。」
そう答えながらも息が少し上がっているルクは、フレイシーとディムアに視線を向ける。
フ「…私も…なんとか…。」
デ「…大丈夫…。」
戦闘をしながら上っている2人は、少し辛そうな表情を浮かべていた。
ロ「ディムアとフレイシー、無理して戦わなくて大丈夫ですよ。」
襲い掛かってくるビーストビンセントにウィンドエッジを放ちながら、ロードは2人にそう声を掛けた。
デ「…うん。…ありがと。」
フ「ありがとう、ロード!」
ロードの気遣いが嬉しく、2人は小さく笑みを見せて答えた。
マ「あと少しだよ!みんな、頑張って!」
ロードの肩に乗っているマオは、仲間たちを応援していた。
そして、5人は階段を上りきった。
ル「あぁ、やっと着いた…!」
そう声を上げたルクは、座り込んで汗を拭う。
デ「…長かったな…。」
フ「そうね…。息が上がっちゃった…。」
ディムアとフレイシーは、呼吸を整えてそう言い合う。
ロ「みんな、お疲れ様です。それにしても、ダンジョンの手前で、体力を消耗させるような長い上り階段があることに、悪意を感じますよね。」
マ「本当だね。ダンジョン内での戦闘にも影響しちゃいそうだよ。」
小さく息をつき、困ったような笑みを見せるロードの言葉に、マオは頷いてそう返す。
ル「そういうロードは全然疲れてなさそうだけど…?」
ロ「一応、無駄な体力や魔力を使わないように気を付けていましたよ。」
不思議そうに言ったルクの言葉に、小さく笑みを見せてロードは答えた。
デ「相変わらず、すごい。」
フ「そうね!モンスターと戦いながらこんな階段を上ってきたのに、疲れないなんて…!」
ディムアとフレイシーは、尊敬の眼差しをロードに向けていた。
ロ「ありがとうございます。みんなの呼吸が落ち着いたら、バンパイアキャッスルに潜入しましょう。」
仲間たちに、ロードはそう声を掛けた。




