1つ目のアイテム
フェアリー神殿から魔法の書を持ち帰ってから、数日が経っていた。
深夜、仲間たちが寝静まった暗い部屋で、スタンドライトの明かりを頼りに、魔法の書の文字の解読を、ロードは懸命に進めていた。
デ「…。」
ロードの向かう机の端に、ディムアは無言でホットコーヒーの入ったカップを置いた。
ロ「…ディムア、ありがとうございます。起きていたんですか?」
魔法の書から目を離し、ロードはディムアに微笑み掛ける。
デ「…お前が頑張っているのに、寝ていられるわけないだろ。」
ディムアは静かに言い、照れ隠しをするように彼から視線を逸らす。
ロ「僕のことは気にしないでいいんですよ。ゆっくり休んでくださいね。」
デ「気にしないなんて無理だ…。お前はここのところ解読で睡眠時間をかなり削ってるだろ?いつか倒れてしまうんじゃないかって…心配なんだ…。」
そう言ったディムアは、悲しそうにうつむく。
ロ「…心配掛けてすみません。でも、僕は睡眠時間を削って勉強することは慣れているので、倒れたりしないですよ。安心してください。」
デ「…。」
笑顔のロードを、ディムアは見つめる。
ロ「でも、せっかく君がコーヒーをいれてくれたので、休憩することにします。」
デ「…うん。」
ロードの言葉に、ディムアは少し安心したように頷く。
ロ「…ここ、座りますか?」
ロードは座っている椅子の座る場所を半分空け、ディムアにそこへ座るように促す。
デ「…え?せ、狭くないか…?」
ロ「何とか座れそうですよ。座ってみてください。」
デ「っ!?」
戸惑うディムアの手を引き、ロードは自分の隣に彼女を座らせる。
1人用の椅子に2人が座る状況となった。
ロ「大丈夫ですね♪」
デ「あっ…うぅっ…。」
満足そうな笑顔を浮かべるロードのすぐ隣で、ディムアは顔を真っ赤にしてうつむいている。
そのとき、ロードの膝の上に、寝息を立てて眠っているマオがいることに、ディムアは気が付く。
デ「…マオ、こんなところで寝ていたのか…。」
ロ「はい。先程まで一緒に解読をしてもらっていたのですが、いつの間にか眠っていました。」
デ「…そうか。」
ロードと一緒に頑張って解読するマオの姿が目に浮かび、ディムアは微笑んだ。
デ「…私も何か手伝いたいが、とても読めそうにない。私たちメア族の為にしてくれていることなのに…ごめん…。」
同時に、自分の無力さに改めて気が付き、ディムアは落ち込む。
ロ「…いえ。君を救うという目標があるから、僕は解読を頑張れるんです。なので、君はこうして僕のそばにいてくれるだけで、充分なんですよ。」
デ「…ロード…。」
優しく微笑むロードの言葉に、ディムアは涙腺が緩みそうになる。
ロ「…そうそう、浄化魔法を習得する為に必要なアイテムがいくつかあるらしいのですが、今日解読した箇所で、そのアイテムが1つ判明しましたよ。」
デ「…え!?」
嬉しそうなロードの言葉を聞き、ディムアは彼を凝視する。
ロ「そのアイテムは〝パープルストーン〟です。場所はマオに聞いてわかったのですが、〝バンパイアキャッスル〟にあるらしいです。」
デ「…すごい…。もうアイテムのある場所もわかっているのか…。」
ロードとマオの解読力のすごさに、ディムアは唖然とする。
ロ「まだやっと1つ目のアイテムがわかっただけですよ。アイテムがあといくつあるのかもまだ不明です。」
小さい笑みを見せ、ロードは言う。
デ「でも、浄化魔法を習得する為に1歩前進したな。こんな意味不明の無数の文字からアイテムを見つけ出せるなんて…本当にすごい。」
ロ「ありがとうございます。これからも頑張って解読して、必要アイテムを特定していきますね。」
デ「…うん。ありがと。」
2人は小さく笑って見つめ合う。
ロ「とりあえずは、明日はバンパイアキャッスルへ向かいましょう。」
デ「そうだな。」
ロードの言葉に、ディムアは頷く。
その後しばらく話をして、2人は眠りに就いた。




