ベリッサ&キリカとの戦い
ル「⋯いた⋯!!」
その人影の正体が、ベリッサだということがすぐに確認出来たルクは、声を上げた。
マ「ついにたどり着いたね⋯!」
フ「絶対負けないわ⋯!」
ベリッサから視線を外さず、マオとフレイシーは呟く。
ロ「⋯ディムア、僕から離れないでくださいね。」
デ「⋯うん。」
ロードとディムアは、静かにそう交わした。
ル「…ベリッサ…。」
目の前に不敵な笑みを浮かべて立つ元相方の名前を、ルクは恐る恐る呼んだ。
ベ「ふふっ…!こんな奥までよく来たねー☆あんたにしてはよく出来ましたー☆…まぁ、お仲間と一緒だったからここまで来れたんだろうけど。」
ルクたち全員を、ベリッサは睨み付けた。
ル「あ、あのさ、とりあえず話そう?俺が悪かったのはわかってるから…本当にごめん…。」
ベ「は?今更謝って許す訳ないでしょ。この裏切り者。そっちの味方につきやがって…!」
ル「…と、とりあえず、ロードのメガネは返してくれないかな?それがないとロードは戦えなくて…。」
ベ「それを知ってるからそいつのメガネを盗んだんだけど。せっかく盗んだっつーのに、返す方がおかしいよねー。」
ルクが落ち着いて話そうにも、ベリッサは聞く耳持たないようだった。
ロ「僕のメガネを盗んだこと、メガネショップに爆破予告を出したことは、君の仕業で間違いないですか?」
ベ「そうよー☆まぁ、正確には、私はそれらを依頼しただけだけどー☆メア族を捕まえるには、まずはあんたを消したいから、弱点つかせてもらった訳ねー☆」
怒りを抑えながらのロードの問い掛けに、ベリッサは笑顔で答える。
ロ「…よく考えたと思いますが、残念ですね。」
ベ「…は?なにが?」
笑顔を見せるロードの言葉に、ベリッサはイラついた様子で聞き返す。
ロ「僕が戦闘が不利になっていることは確かですが、ディムアを護っているのは僕だけではないんですよ。ちゃんと仲間がいるので。」
フ「そうよ!私も、ディムアを護る為に戦ってるわ!」
マ「オレもだよ!オレはサポート役だけど…。」
ル「ロードやみんなが気付かせてくれたんだ。俺は間違っていたって…。だから、俺も君と戦う!」
デ「…みんな…。」
仲間たちの言葉を聞き、ディムアは涙を堪える。
ベ「…あははははっ!!あーあ、笑わせないでくれる!?あんたら、私たちに勝てると本気で思ってるんだ!?」
ロ「僕たちなら勝てます。」
怒り狂うベリッサを、怯むことなく、ロードは見据える。
ベ「あっそう…。じゃあ…やれるもんならやってみなぁ!!」
そう叫んだベリッサは、周りに数体のゴーストブルーに生息するモンスターを召喚した。
「っ!!」
5人は、戦闘態勢を取った。
マ「⋯ベリッサって、モンスターを召喚する魔術なんて持ってたの!?」
ル「元相方の俺でも知らなかった⋯!」
マオとルクは、驚いて声を上げた。
ベ「さぁ⋯たっぷり遊んであげるから、覚悟しなさいよ!!ルク!!」
笑いながらベリッサは叫び、ルクにスナップウィンドを放つ。
ル「⋯俺だって⋯!手加減しないからな!!」
風に覆われながら、ルクはベリッサにクイックショットを放つ。
2発の銃弾は、ベリッサに直撃する。
同時に、フレイシーが唱えたアイスクリスタルの大きな氷塊が、ベリッサへ飛んだ。
ベ「くっ⋯!?」
ベリッサは咄嗟に杖で氷塊をガードし、ダメージを軽減させた。
フ「ベリッサさん、はじめましてね!私はフレイシーよ!早速だけど、ロードのメガネを返してくれるかな!?」
真剣な表情のフレイシーは、ベリッサにそう声を掛けた。
ベ「あはははっ!!はじめましてだろうが返さないっての!!返して欲しければ、力ずくで取り返すことね!!!」
笑い声を上げ、そう言い放ったベリッサは、ライトニングを唱えた。
ル・フ「あぁっ!!」
雷をくらった2人は、同時に声を上げた。
ルクとフレイシーがベリッサと応戦している一方。
ロードとディムアは、ベリッサが召喚したモンスターと戦い、数を減らしていた。
そして、あの怪しい影は、突如襲い掛かって来た。
?「フフフッ⋯!!待ってたよぉ!!」
デ「っ!!」
その声が聞こえ、ディムアは咄嗟に1歩横に飛び、女の攻撃を回避した。
ロ「⋯こちらも、待ってましたよ⋯!!」
?「―っ!?」
ロードが笑みを浮かべた瞬間、怪しい女の全身から炎が上がる。
マ「よしっ!フレイムフィールド成功だよ!」
女にロードの炎魔法が命中したことを確認し、マオは声を上げた。
?「⋯ふぅん、そう来たか⋯。じゃあ、こっちも容赦しないからな?」
ニヤリと怪しく笑った女は、ロードとディムアの足元に何かを投げ、炎の攻撃から逃れるように姿を消した。
デ「⋯えっ⋯!?」 マ「な、何を投げたの⋯!?」
ディムアとマオは、女のした行動が読めず、困惑する。
ロ「⋯っ!!」
足元で、わずかに『カチッ、カチッ』と機械音が聞こえ、嫌な予感がしたロードは、咄嗟にその音からディムアを庇うような体勢を取った。
その瞬間、機械音を発するそれが、足元の砂からロードに向かって飛び出し、爆発を起こした。
デ「っ!!!」
衝撃音と爆風に驚いたディムアは、思わずロードに抱き着いた。
マ「うわっ!!ば、爆弾⋯!?」
ロードから離れ、爆風を逃れたマオは、恐る恐るそう漏らした。
デ「⋯ロード、大丈夫か⋯!?」
ロ「⋯はい、大丈夫です⋯。」
ディムアが心配そうに尋ねると、ロードはわずかに苦痛な表情を浮かべたが、小さく笑みも見せて頷いた。
同時に、彼らから少し離れた場所で、ロードのウィンドカウンターの風をくらった女が姿を現していた。
?「⋯チッ⋯!話で聞いてた通り、カウンターがウザイな⋯。」
そう呟いた女は、再び姿を消した。
マ「また消えた⋯!ロード、今の爆発くらって、本当に大丈夫だった!?」
女が見えなくなったことを確認し、マオはロードに尋ねる。
ロ「⋯魔力で防御力を高めましたが、咄嗟のことで少し反応が遅れてしまったので、少しダメージを受けてしまいました。でも、大丈夫ですよ。」
ロードは答え、小さく息をつく。
デ「⋯ありがと⋯。庇ってくれて⋯。」
視線を落としたディムアは、ロードに小さく感謝を述べる。
ロ「いえ。予想通り、彼女は相当厄介な敵のようなので、気を付けて戦いましょう。」
デ「⋯うん⋯!」
2人は頷き合った。
マ「⋯っ!2人とも、モンスターがこっちに向かって来るよ!!」
ロ「⋯わかりました!」
マオの言葉に、ロードとディムアは迫り来るモンスターと応戦をする。
女がいつ再び襲い掛かって来るか、全く予測は出来なかったが、今のうちになるべく周りのモンスターの数を減らそうと、2人は必死だった。
ルク、フレイシーは、ベリッサと互角の戦いをしていた。
ベ「⋯ねぇ、ルク?あんた本気出してる?」
ル「⋯いや、俺は本気だよ。本気出してないのはベリッサの方だろ⋯?」
戦いの最中、2人は呼吸を整え、睨み合いながら、ふと言葉を交わす。
ベ「あはは!さすがは元相方、わかってるわねー!本気出すまでもないから、すっごい手加減してるのよー!これくらいで本当に本気なら、あんた冗談抜きで弱っちぃわよー?」
ル「⋯。」
嘲笑うベリッサを、ルクは静かに見据える。
フ「⋯違うわ!ルクは、本当は、以前仲間だったあなたのことを傷付けたくないのよ!だから、ルクのこと弱いなんて言わないで!」
周りのモンスターと戦いながら、フレイシーはベリッサに向けて声を上げる。
ル「あ⋯いや、ええと⋯。」
フレイシーの言葉を聞き、ルクは慌てたような表情を浮かべる。
ベ「⋯はぁ⋯相変わらず甘いわね。あんたのそういうところが本当にイライラすんのよ⋯!私はもう敵なんだから、手加減しないで攻撃しなさいよ!!」
ルクを睨み付けて叫んだベリッサは、魔法を放とうとした。
そのとき、女が突如現れ、フレイシーに大きな針を投げ付けた。
フ「きゃぁっ!!」
フレイシーは悲鳴を上げ、針が刺さった腕を押さえ、しゃがみ込んだ。
ル「フレイシー⋯!!」
ルクはすぐにフレイシーに駆け寄った。
ベ「あれー?〝キリカ〟、あいつらの相手はどうなってんの?まさかのサボり?」
フレイシーを攻撃した女に、ベリッサは尋ねる。
キ「⋯笑わせんなよ、ベリッサ。アイツらがモンスターたちと戦って体力を勝手に消耗させてる間、暇だから様子を見に来ただけさ!」
ベ「暇ぁ!?だったら、モンスターと一緒にあいつらを攻撃しなさいよ!」
笑いを浮かべるキリカの言葉を聞き、ベリッサは呆れたように声を上げる。
キ「そう焦るなって!殺ろうと思えばすぐ殺れるんだから、ちょっとは楽しませろよな!?」
ベ「そういうのいいから、さっさと殺っちゃってよ!あ、メア族の方はギリギリでいいから生かしておいてねー?」
キ「⋯はいはい、わかってるよ!」
ベリッサと楽しそうなやり取りをした後、キリカは姿を消した。
ル「⋯なんなんだ、あのキリカってやつ⋯!?」
フ「こ、怖い⋯。」
2人の会話を聞いていたルクとフレイシーは、驚愕していた。
ベ「うんうん、キリカはかなり怖い殺し屋の女よ!あの男ももうすぐで殺されちゃうよー!あぁ、怖いねー☆」
そう言ったベリッサは、楽しそうに笑っている。
ル「ロードは絶対殺されない!あいつなら、絶対戦いに勝って、ディムアを護り抜くはずだ!」
フ「そうよ!私たちは、ロードとディムアを信じてるわ!」
ルクとフレイシーは、ベリッサに向けてそう声を上げた。
ベ「はぁ!?黙りなさいよっ!!」
目を見開いて怒りを露にしたベリッサは叫び、2人にウィンドエッジを放った。
ル・フ「⋯っ!!」
風が切り裂く痛みに、ルクとフレイシーは耐える。
ベ「私もいい加減遊びは終わりにするわ⋯。間違って殺しちゃうかもしれないけど、恨まないでね?☆」
不敵な笑みを浮かべたベリッサは言い、杖を構える。
ル「⋯そんな恐いこと言うなよな⋯!」
ルクは呟き、フレイシーとともに、戦闘態勢を取った。
ロードとディムアは、モンスターとの応戦をしていた。
マ「今のフレイムトルネード⋯当たったのは1体だよ⋯!」
ロ「⋯1体⋯ですか⋯。どんどん命中率が落ちていますね⋯。」
自分の放った範囲魔法が、モンスターにほとんど当たっていないことをマオの言葉で知り、ロードは深刻な表情で呟く。
マ「うん⋯。体力も魔力も消耗しているせいだね⋯。」
デ「⋯っ。」
落ち込んでいるロードを、モンスターにライトニングを放ちながら、ディムアは心配そうに見つめていた。
そのとき、3人の前に、再びキリカが姿を現した。
マ「きっ、来た!!」
ロ・デ「っ!!」
キリカを凝視して、マオは声を上げる。
その声に反応したロードとディムアも、キリカを警戒した。
その直後、ロードが唱えていた〝ゲイルブレイク〟が発動し、キリカの身体を風が切り裂く。
キ「フフフッ⋯!そろそろ本気で殺してやるからな!!」
そう叫んだキリカは、姿を一瞬消し、すぐにディムアの背後に現れた。
次の瞬間、ディムアの腕を、キリカは短剣で切り付けた。
デ「あぁっ⋯!!」
ロ「ディムア⋯!!」
悲鳴を上げたディムアを、ロードは咄嗟に庇う。
マ「ぜ、全然動きが見えない⋯!!?」
予測出来ないキリカの動きに、マオは愕然とする。
ロードはすぐにキリカに向け、ライトニングを放った。
しかし、キリカに雷は当たらなかった。
キ「はははっ!!どこ狙ってんだよ!?」
笑い声を上げたキリカは、今度はロードに針を投げた。
ロ「⋯っ!!」
身体に針が刺さり、ロードは態勢を崩す。
マ「ロード!!」
痛みに耐えるロードに、マオはしがみつく。
その直後、ロードのウォーターカウンターが発動し、大きな氷塊がキリカに直撃した。
キ「くっ⋯!なかなかやるなぁ!」
笑みを浮かべたキリカは、爆弾を2つ、ロードとディムアの足元に埋め、姿を消した。
マ「また爆弾だ⋯!しかも、今度は2つ⋯!!」
ロ「⋯さすがに、まずい状況ですね⋯。」
怖々とマオが声を上げると、ロードは参った様子で呟いた。
デ「⋯ロード⋯逃げろ⋯。」
傷付いた自分にリカバリーを掛けるロードに、ディムアは必死の思いで、静かに声を掛ける。
ロ「⋯え⋯?」
ディムアの思わぬ言葉に、ロードは彼女を見つめる。
デ「あの女の狙いは私だ⋯!死ぬのは私だけでいい⋯!ロードは⋯殺される前に⋯マオと早く逃げろ⋯!!」
そう叫んだディムアの瞳からは、大粒の涙が流れていた。
ロ「⋯逃げるわけにはいかないですね。僕は君を護ります。絶対死なせないですよ。」
微笑んでそう言ったロードは、ディムアを優しく抱きしめた。
デ「⋯ロードっ⋯。」
彼の名前を呼ぶディムアの声は、こんな状況でも、嬉しさで震えていた。
次の瞬間、2つの爆弾が同時に足元の砂から飛び出し、ロードの身体にぶつかって爆発した。
マ「わぁっ!!」
あまりの衝撃に、マオは大きく吹っ飛んだ。
キ「チッ…!!」
その直後、ファイアーカウンターが発動し、姿を現したキリカを炎が覆った。
ロ「⋯うっ⋯。」
デ「⋯っ!!」
大きなダメージを負い、苦痛な表情を浮かべて膝を着くロードに、ディムアはすぐにリカバリーを掛ける。
キ「⋯回復なんてさせないよ?」
笑みを浮かべたキリカは、ディムアの横腹を短剣で深く切り付けた。
デ「あぁぁあっ⋯!!!」
横腹に激痛が走り、ディムアは悲鳴を上げた。
ロ「⋯これ以上⋯ディムアを傷付つけたら⋯本当に許しませんよ⋯?」
ロードはゆっくり立ち上がり、怒りに満ちた瞳で、キリカを強く睨み付ける。
キ「あぁ、許さなくても別にいいよ?早くあたしに攻撃しなよ!!アハハ!!」
キリカはロードを挑発するように笑う。
ロードはスナップウィンドを放ち、大きな風でキリカを切り裂いた。
同時に、キリカが放った大針が、ロードの身体に刺さり、再びロードは膝を着いた。
ロ「…っ。」 大針を握るキリカがジリジリと迫り来る中、傷だらけのロードは、キリカの攻撃により弱ってしまったディムアを庇っていた。
キ「…はぁ…。そろそろあんたも、限界みたいだなぁ…。でも、なかなか楽しませてもらったよ…。」
自らもダメージを受けながらも、まだ余裕そうな不敵な笑みを見せて、キリカは言う。
デ「…ロード…ごめん…!!」
ロ「…大丈夫ですよ、ディムア。君のことは、絶対に僕が護ります。」
迫り来る恐怖に怯えたディムアを安心させるように、ロードは小さく笑って見せ、彼女の手を握る。
マ「た、大変だ…このままじゃ…!!」
最悪の光景が目に浮かんでしまい、マオはロードの元を離れ、ルクがいる方向へと飛んだ。




